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2014年06月13日

年収は「住むところ」で決まる

~エンリコ・モレッティ 著~


「イノベーション都市」の高卒者は、「旧来型製造業都市」の大卒者より、稼いでいる!?の帯に釣られて読んでみた。

現代の製造業がそうであるように、多くの産業では、グローバル化と技術の進歩によって雇用の大半は低賃金の国に出ていってしまうと考えるのが一般的。少なくとも私はそう思っていた。

にも関わらず、アメリカ経済の新たな成長エンジンであるイノベーション産業では、グローバル化と技術の進歩が雇用を増やす原動力になっており、結果的に成長する都市の高卒者の給料は衰退する都市の大卒者の給料よりも高くなるという現象が起きている。

イノベーションに取り組む企業にとっては、人件費やオフィス賃料等のビジネスをおこなうためのコストが格段に高くても、『生産性の高い働き手』が集まっている土地に拠点を置き続けるのが合理的であるというのがその理由だ。

では、『生産性の高い働き手』が集まる要因は…?

著者は、超一流の交響楽団や美術館などの文化施設を擁するクリーブランドやライフスタイルの面では魅力的なイタリアが新しい経済基盤を築くことが出来ていないことを例に出し、『魅力的な町というだけでは地域経済を支えられないことを示している。ものごとの原因と結果を混同しては、本質的な課題は見えてこない。大切なのは、どうすれば結果(雇用創出)を導き出すための効果的な対策が立てられるかだ。

雇用創出というと、行政の産業政策や補助金による企業誘致等が真っ先に思い浮かぶが…。

著者は、『地方政府は、その土地の強みと専門性を活用することを考えなくてはならない。その際、雇用創出のために税金を投入するのは、市場の失敗が放置しがたく、しかも自律的な産業集積地を築ける可能性が十分にあると判断できる場合に限るべき。』と警鐘を鳴らしている。また、『どの産業が勝者になるかを前もって予測することは、政策決定者にとって容易ではない。』とも…。


『私たちの仕事の環境と社会の基本的骨格は、グローバル化とローカル化という、21世紀の2つの潮流によって根本から様変わりしようとしている』という言葉で結ばれているこの本、示唆に富む良書だった。

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Posted by オルベア at 19:30│Comments(0)書評
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