2020年05月22日
キャリアについて考える意味 Vol.4
~ 社会環境変化について ~
■トヨタ自動車社長のコメントが物議をかもしている
昨年5月、日本自動車工業会の豊田章男 会長(トヨタ自動車 代表取締役社長)は会見で、「日本の“終身雇用”を守っていくのが難しい局面に入ってきた」と話した。
“終身雇用”を巡っては、経団連 中西宏明会長(日立製作所 会長)の「企業からみると、従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」、経済同友会 桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス 代表取締役社長兼CEO)の「“終身雇用”という制度は、『制度疲労』を起こしている可能性がある」等、経済界の重鎮が終身雇用見直し論ともとれる発言をしている。
マスメディアやSNS上では、「“終身雇用”の崩壊で若手社員の給与はアップする」vs「長期雇用は“雇用制度”ではなく“経営家哲学”だ!」他…、賛否両論が渦巻いている。
■“事実”で語ろう!?
ここでは、“終身雇用”の賛否は置いといて、事実を共有しておきたい。平成30年1月発表の内閣府の資料(日本経済2017-2018)によると、男性の場合、初職(学校卒業後はじめて就いた仕事)が正社員である割合は79%。そのうち一度も退職することなく“終身雇用”パスを歩んでいる(退職回数0回)のは、30代で48%、40代で38%、50代で34%。わかりやすく言うと、50代で初職の会社に勤め続けている人は、79%×34%≒26.9%、同年代の男性の4人に一人ということになる。
女性の場合、初職が正社員である割合は76%と男性と大きな違いは無いが、“終身雇用”パスを歩んでいるのは50代で7%程度(76%×7%≒5.3%)。つまり“終身雇用”パスを歩んでいるのは、同年代の女性の20人に一人ということになる。女性の場合は、仕事を辞めちゃう人の割合も高そうだ。
ボクは政治家でもないし、学校の先生でも無いので、“日本型雇用慣行”や“終身雇用”について、自身の考えを語るつもりはないけれど、事実を知っとくことは大切だ。
■人の意識は変わらない…
かつては、“日本型雇用慣行”の代名詞的に言われていた“終身雇用”。現実は前述した通りだが、人のもつ“イメージ”が“事実”として認識されるには、多くの時間を要するとも思っている。
1991年にバブル経済が崩壊し企業のリストラが進む中(この頃、“日本型雇用慣行”は崩壊したと言われていた)、ボクは再就職支援の事業に携わっていた。リストラされた中高年の人たちが、「こんなハズじゃなかった…」と言って肩を落とす姿を見て、自分の子供たちの世代の若者には、「同じ想いをさせたくない」と考え2002年に人材コンサルティングの会社をはじめた。
けれども、20年経っても、多くの日本人(老若男女)の意識が大きく変わったとは思えない。学生の就職相談でも「親からは、大きな会社・福利厚生が整った会社に入りなさい」とアドバイスされると聞くと、「ボクが40年前に就活する際に、母親から聞かされたアドバイスと変わってないよな~?!」と思ってしまう。
■労働寿命が企業の寿命を追い越しちゃう時代!?
“終身雇用”の良し悪しは別にして、“一つの会社で一生勤めあげるモデル”が一般的ではなくなってきつつあることを知っておく必要はあるだろう。
米国の調査会社の調べによるとS&Pの株価指数を構成する米国大企業の平均寿命は1960年の60年超から20年程度に短縮化し、今後は更に一段と短くなるとのこと。日本でも帝国データバンクによると現時点の企業の平均寿命は37.16年で、今後、米国と同様に短縮化が進んでいきそうだ。
一方、みなさんが22歳で大学を卒業して70歳まで働くとすれば、仕事に従事するのは48年間。人の労働寿命が企業の寿命を追い越してしまうことになる。
■『チーズはどこへ消えた?』、知っている…?
「“環境変化”を認識するには、多くの時間を要する!」って書いたけど、より重要なのは時間よりもキッカケの方かもしれない…。そんなことを考えていたら、2000年に発売されたビジネス書『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン 著)のことを想い出した。
迷路にあった大切なもの(チーズ)がなくなるという突然の「変化」に、ある者は状況を変えようと迷路を飛び出し、ある者はそのまま迷路に残って現状を維持しようとする。バブル経済崩壊後、大手企業が次々と社員教育のテキストに採用したことも話題となって、ミリオンセラーになった。
「20年も前の本だから、既に絶版になっているだろうな〜!?」とアマゾンで検索してみたら、「今でも売ってるんだ~?!」とビックリ、“環境変化”への対応はボクたちの永遠の課題なんだろうね。
『チーズはどこへ消えた?』、寓話形式で変化への対応の重要性をやさしく説いた100ページ足らずの本なので、「環境変化への対応に躊躇しちゃいそう…!?」ってヒトは、是非、読んでみて欲しい。

※Pic:紹介した『チーズはどこへ消えた?』。ステマじゃありません。
*********************
【学生さんの感想:Thanks!!】
・仕事を意味のあるものにするのは自分次第なのだと考えました。また、雇用制度というのは時代によって変わっていくので固定観念に縛られず、柔軟な考えでその都度対応していかないといけないのだということもわかりました。
・今回の講義を聞いて思ったことはコロナによる影響で被害が及ぶのは今年の就活生だけではないということ。その現状を理解しすべきことは、自分のキャリアを考え、行動に移す準備をすることだと想いました。
・転職せずに仕事を続けている男性が思った以上に少なかったことにとても驚きました。また企業の寿命が30年以下というのは本当に短く、もし自分が何年も続けている会社に就職することになったら数年経ったら潰れてしまうのか…、という不安も持ちました。長く続けることが出来ている会社にはどんな共通点があるのかと疑問に思いました。
【学生さんからのQuestion & ボクのAnswer】
Q1.コロナウイルスの影響は就職活動にどれほど出るのか知りたいです。
A1.程度はわからないけれど、少なからず影響はあるのだと思う。ただ、いくつかの視点から分析する必要はあるんだと思う。まず第一は、影響があるのは自分だけじゃなくライバル(?)とも言える他の学生も同じだということ。第二に、採用したい企業への影響も大だ。どこの企業も、どうすれば学生と接触出来るかを模索してる。第三は、経済の停滞による企業の採用意欲の減退かな…。いずれにしても“自分が変えられること”と“自分を変え無くちゃならないこと”を整理して考える必要があると思う。
Q2.現在、コロナウイルスの影響で自宅で仕事をする会社が増えています。この体制が終息した後も行うことができれば、女性や障がいを抱えた方など様々な人が働きやすくなると思うのですか、どう思いますか?
A2.ボクは今回、ウチの会社でも急遽、リモートワークをやってみた。やる前までは「出来るのかな〜?」と疑心暗鬼だったんだけど、今はリモートワークに大きな可能性を感じている。特にウチの場合は、子育て中の社員も多いし、そもそも仕事が出来さえすれば、何処で仕事をするのかは大きな問題じゃないわけだから…。ただ、導入の際は「個々のメンバーの自律心が必要条件になるよな〜!」とも思ってます。
ということで、今日はここまで。
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
■トヨタ自動車社長のコメントが物議をかもしている
昨年5月、日本自動車工業会の豊田章男 会長(トヨタ自動車 代表取締役社長)は会見で、「日本の“終身雇用”を守っていくのが難しい局面に入ってきた」と話した。
“終身雇用”を巡っては、経団連 中西宏明会長(日立製作所 会長)の「企業からみると、従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」、経済同友会 桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス 代表取締役社長兼CEO)の「“終身雇用”という制度は、『制度疲労』を起こしている可能性がある」等、経済界の重鎮が終身雇用見直し論ともとれる発言をしている。
マスメディアやSNS上では、「“終身雇用”の崩壊で若手社員の給与はアップする」vs「長期雇用は“雇用制度”ではなく“経営家哲学”だ!」他…、賛否両論が渦巻いている。
■“事実”で語ろう!?
ここでは、“終身雇用”の賛否は置いといて、事実を共有しておきたい。平成30年1月発表の内閣府の資料(日本経済2017-2018)によると、男性の場合、初職(学校卒業後はじめて就いた仕事)が正社員である割合は79%。そのうち一度も退職することなく“終身雇用”パスを歩んでいる(退職回数0回)のは、30代で48%、40代で38%、50代で34%。わかりやすく言うと、50代で初職の会社に勤め続けている人は、79%×34%≒26.9%、同年代の男性の4人に一人ということになる。
女性の場合、初職が正社員である割合は76%と男性と大きな違いは無いが、“終身雇用”パスを歩んでいるのは50代で7%程度(76%×7%≒5.3%)。つまり“終身雇用”パスを歩んでいるのは、同年代の女性の20人に一人ということになる。女性の場合は、仕事を辞めちゃう人の割合も高そうだ。
ボクは政治家でもないし、学校の先生でも無いので、“日本型雇用慣行”や“終身雇用”について、自身の考えを語るつもりはないけれど、事実を知っとくことは大切だ。
■人の意識は変わらない…
かつては、“日本型雇用慣行”の代名詞的に言われていた“終身雇用”。現実は前述した通りだが、人のもつ“イメージ”が“事実”として認識されるには、多くの時間を要するとも思っている。
1991年にバブル経済が崩壊し企業のリストラが進む中(この頃、“日本型雇用慣行”は崩壊したと言われていた)、ボクは再就職支援の事業に携わっていた。リストラされた中高年の人たちが、「こんなハズじゃなかった…」と言って肩を落とす姿を見て、自分の子供たちの世代の若者には、「同じ想いをさせたくない」と考え2002年に人材コンサルティングの会社をはじめた。
けれども、20年経っても、多くの日本人(老若男女)の意識が大きく変わったとは思えない。学生の就職相談でも「親からは、大きな会社・福利厚生が整った会社に入りなさい」とアドバイスされると聞くと、「ボクが40年前に就活する際に、母親から聞かされたアドバイスと変わってないよな~?!」と思ってしまう。
■労働寿命が企業の寿命を追い越しちゃう時代!?
“終身雇用”の良し悪しは別にして、“一つの会社で一生勤めあげるモデル”が一般的ではなくなってきつつあることを知っておく必要はあるだろう。
米国の調査会社の調べによるとS&Pの株価指数を構成する米国大企業の平均寿命は1960年の60年超から20年程度に短縮化し、今後は更に一段と短くなるとのこと。日本でも帝国データバンクによると現時点の企業の平均寿命は37.16年で、今後、米国と同様に短縮化が進んでいきそうだ。
一方、みなさんが22歳で大学を卒業して70歳まで働くとすれば、仕事に従事するのは48年間。人の労働寿命が企業の寿命を追い越してしまうことになる。
■『チーズはどこへ消えた?』、知っている…?
「“環境変化”を認識するには、多くの時間を要する!」って書いたけど、より重要なのは時間よりもキッカケの方かもしれない…。そんなことを考えていたら、2000年に発売されたビジネス書『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン 著)のことを想い出した。
迷路にあった大切なもの(チーズ)がなくなるという突然の「変化」に、ある者は状況を変えようと迷路を飛び出し、ある者はそのまま迷路に残って現状を維持しようとする。バブル経済崩壊後、大手企業が次々と社員教育のテキストに採用したことも話題となって、ミリオンセラーになった。
「20年も前の本だから、既に絶版になっているだろうな〜!?」とアマゾンで検索してみたら、「今でも売ってるんだ~?!」とビックリ、“環境変化”への対応はボクたちの永遠の課題なんだろうね。
『チーズはどこへ消えた?』、寓話形式で変化への対応の重要性をやさしく説いた100ページ足らずの本なので、「環境変化への対応に躊躇しちゃいそう…!?」ってヒトは、是非、読んでみて欲しい。

※Pic:紹介した『チーズはどこへ消えた?』。ステマじゃありません。
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【学生さんの感想:Thanks!!】
・仕事を意味のあるものにするのは自分次第なのだと考えました。また、雇用制度というのは時代によって変わっていくので固定観念に縛られず、柔軟な考えでその都度対応していかないといけないのだということもわかりました。
・今回の講義を聞いて思ったことはコロナによる影響で被害が及ぶのは今年の就活生だけではないということ。その現状を理解しすべきことは、自分のキャリアを考え、行動に移す準備をすることだと想いました。
・転職せずに仕事を続けている男性が思った以上に少なかったことにとても驚きました。また企業の寿命が30年以下というのは本当に短く、もし自分が何年も続けている会社に就職することになったら数年経ったら潰れてしまうのか…、という不安も持ちました。長く続けることが出来ている会社にはどんな共通点があるのかと疑問に思いました。
【学生さんからのQuestion & ボクのAnswer】
Q1.コロナウイルスの影響は就職活動にどれほど出るのか知りたいです。
A1.程度はわからないけれど、少なからず影響はあるのだと思う。ただ、いくつかの視点から分析する必要はあるんだと思う。まず第一は、影響があるのは自分だけじゃなくライバル(?)とも言える他の学生も同じだということ。第二に、採用したい企業への影響も大だ。どこの企業も、どうすれば学生と接触出来るかを模索してる。第三は、経済の停滞による企業の採用意欲の減退かな…。いずれにしても“自分が変えられること”と“自分を変え無くちゃならないこと”を整理して考える必要があると思う。
Q2.現在、コロナウイルスの影響で自宅で仕事をする会社が増えています。この体制が終息した後も行うことができれば、女性や障がいを抱えた方など様々な人が働きやすくなると思うのですか、どう思いますか?
A2.ボクは今回、ウチの会社でも急遽、リモートワークをやってみた。やる前までは「出来るのかな〜?」と疑心暗鬼だったんだけど、今はリモートワークに大きな可能性を感じている。特にウチの場合は、子育て中の社員も多いし、そもそも仕事が出来さえすれば、何処で仕事をするのかは大きな問題じゃないわけだから…。ただ、導入の際は「個々のメンバーの自律心が必要条件になるよな〜!」とも思ってます。
ということで、今日はここまで。
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
キャリアについて考える意味 Vol.5
キャリアについて考える意味 Vol.3
キャリアについて考える意味 Vol.2
キャリアについて考える意味 Vol.1
キャリア開発論、終了!!
就職相談から見える学生のマインド
キャリアについて考える意味 Vol.3
キャリアについて考える意味 Vol.2
キャリアについて考える意味 Vol.1
キャリア開発論、終了!!
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