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2020年06月07日

キャリアについて考える意味 Vol.5

~ みなさんへの質問 ~

キャリアについて考える意味Vol.5、最終回。講座のフェイズ4は『みなさんへの質問』。「お金があったら働くか?」「自身のキャリアプランに反する仕事を強いられたら?」「理想のライフ・キャリアプランは?」等の質問を投げかけてみた。

■お金があったら働く?
先ずは、「お金があったら働く?」と質問を投げかけてみた。仕事に就いたことの無い学生の多くは「仕事はお金を稼ぐためにあるんだから、就くわけない!」「やりたい仕事だったら就くかも…!?」「世間体もあるから就くかな…?」等々、働くことに消極的な反応を示すことが多いし、今回のチャットでも同じ様な印象を受けた。ボクは機会あるたびに、様々な年齢や立場の人にこの質問しているので、今までに聴いたいろんな人の話(ex.困っている人のためにボランティアしたい。自身のアイデアを試すために起業したい、etc…)を紹介した。
学生からの講義終了後の感想には、『普段アルバイトをしていると、もう働きたくないなぁと思ってしまうけど、コロナの影響でバイトが0になった時、初めて“働きたい”と思いました。人との関わりが欲しいと思ったし、自分の力を必要として欲しいと思いました(2年生)』とか、『授業終了後、実際に働いている人の意見も聴いてみたくなり、両親に質問したら、両親の答えはそろって“働く”でした。「仕事場は自分の居場所でもあるから」「人と関わらないとしんどい」「何かを作り上げる面白さはかけがえのないものだから」というのが理由でした(1年生)』等のコメントが記されていました。

■「自分のキャリアプランに反する仕事」を続けることは無意味か?
コレ、日本生産性本部で実施している「新入社員 春の意識調査」での質問で、2010年には「無意味だと思わない:83.5%、無意味だ:16.5%」だったのが、2018年には「無意味だと思わない:62.0%、無意味だ:38.0%」と無意味だと思う新入社員の増加が目立っている。今回の学生の反応からも同じ様な印象を受けた。
学生のチャットを読んだ後、「若い頃、そもそもボクにはキャリアプランなんて無かったし、こんな職業人生を歩むなんて想像すらしていなかった」「ボクに限らず、社会経験も無い中で“不変のキャリアプラン”なんて立てられるんだろうか?」等の話をした。確かに素晴らしいキャリアプランを描くことが出来、それを実現できるのは素晴らしいことかもしれないけれど、そもそもキャリアの語源はラテン語の「carrus(荷馬車)」。荷馬車の轍は通った後に残るモノなわけで…。

■貴女の理想のライフ・キャリアプランは?
ウチの会社の採用面接で、「結婚・出産後に仕事を続ける?」と質問すると、女子学生の十中八九は「続けます!」と答える。「面接だから…」というのもあるだろうし、「金銭的に働かないと無理かな…?」なんて思っている学生も少なくないんだろう。
ただ、ボクが聴きたいのは『仕事とどう付き合っていきたいか?』なので、“バリキャリ(総合職として男女の区別なく働く)で働きたい”のか“ゆるキャリ(事務職で補助的に働く)で働きたい”のか、はたまた“専業主婦志向”なのかを聴いてみた。
以下、女子学生からの講義終了後の感想抜粋。『私も専業主婦になりたいけど、せっかく大学に入って様々なことを学んでいるのだから、学んだ知識を少しでも活かせる様、専業主婦になるまでは“バリキャリ”で働きたい』『結婚して子育てするのが夢だけど、仕事をせずに専業主婦をやる気は無いので、両方実現出来る“ゆるキャリライフ”を希望』『結婚し、子供が出来ても仕事は続けたい。もちろん家事はしっかりこなすけど、同時に仕事にも専念することで、子供に「今の時代は女性も男性と同じ様に働くんだよ、守られるだけの立場じゃないんだよ!」ということを教えてあげたい』『“バリキャリ”で働かないことを選んだ際、万一配偶者からDVを受ければ、身の危険に直結すると感じた』等々…。

■貴方が配偶者(妻)に期待するライフ・キャリアプランは?
一方、男子学生には、『配偶者にはどんなキャリアを望むか?』を知りたくて、「1.バリキャリで働いて欲しい」「2.ゆるキャリで働いて欲しい」「3.専業主婦でいて欲しい」「4.本人の意志に任せたい」の四択で聴いてみた。チャットでの感覚値だけど、想定どおり(?)「4.本人の意志に任せたい」が多かった。“本人の意志に任せる”っていうのは、“男性が外で働き女性が家を守る”という考え方がベースにあるんだろうなぁ…。
女子学生の講義終了後の感想に、『女性の“キャリア”について考えた時、まだまだ社会の中で女性の働きやすい環境は不十分であると感じた』『奥さんに専業主婦になる事を望む男性が多いのは、日本の男女の差を示していると思った。確かに専業主婦になりたいと思っている女性もいるが、周りの人や環境によって専業主婦を強いられる女性もいると思う。それは、昔から言われ続けている「女だから」「女らしく」という考え方によるものだと思う。その様な男女差を減らすには、自分の価値観を持つことが大切なのだと感じた』とのコメントもあった。
キャリアについての考え方は、十人十色だったけど、今回もらった感想のボク的『いいね!』は、『女性に対して「“バリキャリ”で働くか?」という質問自体が出ない世の中になって欲しいと思いました』かな!!

■たくさんの感想、ありがとう
以下に、学生からの感想の一部を記載しました。全部は紹介できないけれど、たくさんの感想をありがとう!!
・キャリア概論ということで、なんだか小難しい話をする授業だろうと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。思っていたより、身近なお話で、考えさせられることが多くありました。
・杉山さんが学校にあまり行かなかったというお話を聞いて、とても驚きました。いわゆる、学校で言う優等生タイプではなかった人が、今、社会で活躍・活動されているということ自体が新鮮でした。
・今回の講義で杉山さんが、「キャリアとは、広義の意味では“生き方”です」とおっしゃっていたことに納得しました。
・私のキャリアに対するイメージはプラン先行でしたが、「過ぎてみないとわからない」と聞き、いつもと違った考え方を得ることが出来ました。
・「学生生活は、自分がどんな人生を歩むのかを考える機会なんだ」という言葉がとても印象に残りました。
・お話の中で最も心に残ったメッセージは、「学生時代に、やりたいと思ったことは、余すことなく何でもやっておけ」というものです。
・例えば、「就活がうまくいかず希望の職種に就けなくても“就いた職でしか出会えない人に出会えるかもしれないし、自分が気づかなかった一面にも気付けるかもしれない”そうやって思考を変換していければいい」というお話だと受け止めました。それってざっくり言うと、「どうにかなる」ってコトだと思います。うまくいかなかった時でも、どうにかなるからその時を全力でやるという考え方に切り替えるのは大事です。でもわたし個人の意見としては、「“これでも良かったんだけど、学生時代に○○していたら、その後の道が広がったのかな”の○○を大学生のうちに探してやっておきたい」と思います。
・「他人の評価を気にするのではなく、自分の評価軸を創ることが大切」というお話が心に残りました。絶対的な答えが無い問いに対し、「正解はなんだろう?」と考えるのではなく、「これが自分の意見・答え!」としっかりいえる人間になりたいと思います。


ということで、無事(?)終了です。

キャリアについて考える意味 Vol.5
※Pic:5月のとある日の静岡県立大学


注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。



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