2020年06月07日
キャリアについて考える意味 Vol.5
~ みなさんへの質問 ~
キャリアについて考える意味Vol.5、最終回。講座のフェイズ4は『みなさんへの質問』。「お金があったら働くか?」「自身のキャリアプランに反する仕事を強いられたら?」「理想のライフ・キャリアプランは?」等の質問を投げかけてみた。
■お金があったら働く?
先ずは、「お金があったら働く?」と質問を投げかけてみた。仕事に就いたことの無い学生の多くは「仕事はお金を稼ぐためにあるんだから、就くわけない!」「やりたい仕事だったら就くかも…!?」「世間体もあるから就くかな…?」等々、働くことに消極的な反応を示すことが多いし、今回のチャットでも同じ様な印象を受けた。ボクは機会あるたびに、様々な年齢や立場の人にこの質問しているので、今までに聴いたいろんな人の話(ex.困っている人のためにボランティアしたい。自身のアイデアを試すために起業したい、etc…)を紹介した。
学生からの講義終了後の感想には、『普段アルバイトをしていると、もう働きたくないなぁと思ってしまうけど、コロナの影響でバイトが0になった時、初めて“働きたい”と思いました。人との関わりが欲しいと思ったし、自分の力を必要として欲しいと思いました(2年生)』とか、『授業終了後、実際に働いている人の意見も聴いてみたくなり、両親に質問したら、両親の答えはそろって“働く”でした。「仕事場は自分の居場所でもあるから」「人と関わらないとしんどい」「何かを作り上げる面白さはかけがえのないものだから」というのが理由でした(1年生)』等のコメントが記されていました。
■「自分のキャリアプランに反する仕事」を続けることは無意味か?
コレ、日本生産性本部で実施している「新入社員 春の意識調査」での質問で、2010年には「無意味だと思わない:83.5%、無意味だ:16.5%」だったのが、2018年には「無意味だと思わない:62.0%、無意味だ:38.0%」と無意味だと思う新入社員の増加が目立っている。今回の学生の反応からも同じ様な印象を受けた。
学生のチャットを読んだ後、「若い頃、そもそもボクにはキャリアプランなんて無かったし、こんな職業人生を歩むなんて想像すらしていなかった」「ボクに限らず、社会経験も無い中で“不変のキャリアプラン”なんて立てられるんだろうか?」等の話をした。確かに素晴らしいキャリアプランを描くことが出来、それを実現できるのは素晴らしいことかもしれないけれど、そもそもキャリアの語源はラテン語の「carrus(荷馬車)」。荷馬車の轍は通った後に残るモノなわけで…。
■貴女の理想のライフ・キャリアプランは?
ウチの会社の採用面接で、「結婚・出産後に仕事を続ける?」と質問すると、女子学生の十中八九は「続けます!」と答える。「面接だから…」というのもあるだろうし、「金銭的に働かないと無理かな…?」なんて思っている学生も少なくないんだろう。
ただ、ボクが聴きたいのは『仕事とどう付き合っていきたいか?』なので、“バリキャリ(総合職として男女の区別なく働く)で働きたい”のか“ゆるキャリ(事務職で補助的に働く)で働きたい”のか、はたまた“専業主婦志向”なのかを聴いてみた。
以下、女子学生からの講義終了後の感想抜粋。『私も専業主婦になりたいけど、せっかく大学に入って様々なことを学んでいるのだから、学んだ知識を少しでも活かせる様、専業主婦になるまでは“バリキャリ”で働きたい』『結婚して子育てするのが夢だけど、仕事をせずに専業主婦をやる気は無いので、両方実現出来る“ゆるキャリライフ”を希望』『結婚し、子供が出来ても仕事は続けたい。もちろん家事はしっかりこなすけど、同時に仕事にも専念することで、子供に「今の時代は女性も男性と同じ様に働くんだよ、守られるだけの立場じゃないんだよ!」ということを教えてあげたい』『“バリキャリ”で働かないことを選んだ際、万一配偶者からDVを受ければ、身の危険に直結すると感じた』等々…。
■貴方が配偶者(妻)に期待するライフ・キャリアプランは?
一方、男子学生には、『配偶者にはどんなキャリアを望むか?』を知りたくて、「1.バリキャリで働いて欲しい」「2.ゆるキャリで働いて欲しい」「3.専業主婦でいて欲しい」「4.本人の意志に任せたい」の四択で聴いてみた。チャットでの感覚値だけど、想定どおり(?)「4.本人の意志に任せたい」が多かった。“本人の意志に任せる”っていうのは、“男性が外で働き女性が家を守る”という考え方がベースにあるんだろうなぁ…。
女子学生の講義終了後の感想に、『女性の“キャリア”について考えた時、まだまだ社会の中で女性の働きやすい環境は不十分であると感じた』『奥さんに専業主婦になる事を望む男性が多いのは、日本の男女の差を示していると思った。確かに専業主婦になりたいと思っている女性もいるが、周りの人や環境によって専業主婦を強いられる女性もいると思う。それは、昔から言われ続けている「女だから」「女らしく」という考え方によるものだと思う。その様な男女差を減らすには、自分の価値観を持つことが大切なのだと感じた』とのコメントもあった。
キャリアについての考え方は、十人十色だったけど、今回もらった感想のボク的『いいね!』は、『女性に対して「“バリキャリ”で働くか?」という質問自体が出ない世の中になって欲しいと思いました』かな!!
■たくさんの感想、ありがとう
以下に、学生からの感想の一部を記載しました。全部は紹介できないけれど、たくさんの感想をありがとう!!
・キャリア概論ということで、なんだか小難しい話をする授業だろうと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。思っていたより、身近なお話で、考えさせられることが多くありました。
・杉山さんが学校にあまり行かなかったというお話を聞いて、とても驚きました。いわゆる、学校で言う優等生タイプではなかった人が、今、社会で活躍・活動されているということ自体が新鮮でした。
・今回の講義で杉山さんが、「キャリアとは、広義の意味では“生き方”です」とおっしゃっていたことに納得しました。
・私のキャリアに対するイメージはプラン先行でしたが、「過ぎてみないとわからない」と聞き、いつもと違った考え方を得ることが出来ました。
・「学生生活は、自分がどんな人生を歩むのかを考える機会なんだ」という言葉がとても印象に残りました。
・お話の中で最も心に残ったメッセージは、「学生時代に、やりたいと思ったことは、余すことなく何でもやっておけ」というものです。
・例えば、「就活がうまくいかず希望の職種に就けなくても“就いた職でしか出会えない人に出会えるかもしれないし、自分が気づかなかった一面にも気付けるかもしれない”そうやって思考を変換していければいい」というお話だと受け止めました。それってざっくり言うと、「どうにかなる」ってコトだと思います。うまくいかなかった時でも、どうにかなるからその時を全力でやるという考え方に切り替えるのは大事です。でもわたし個人の意見としては、「“これでも良かったんだけど、学生時代に○○していたら、その後の道が広がったのかな”の○○を大学生のうちに探してやっておきたい」と思います。
・「他人の評価を気にするのではなく、自分の評価軸を創ることが大切」というお話が心に残りました。絶対的な答えが無い問いに対し、「正解はなんだろう?」と考えるのではなく、「これが自分の意見・答え!」としっかりいえる人間になりたいと思います。
ということで、無事(?)終了です。
※Pic:5月のとある日の静岡県立大学
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
キャリアについて考える意味Vol.5、最終回。講座のフェイズ4は『みなさんへの質問』。「お金があったら働くか?」「自身のキャリアプランに反する仕事を強いられたら?」「理想のライフ・キャリアプランは?」等の質問を投げかけてみた。
■お金があったら働く?
先ずは、「お金があったら働く?」と質問を投げかけてみた。仕事に就いたことの無い学生の多くは「仕事はお金を稼ぐためにあるんだから、就くわけない!」「やりたい仕事だったら就くかも…!?」「世間体もあるから就くかな…?」等々、働くことに消極的な反応を示すことが多いし、今回のチャットでも同じ様な印象を受けた。ボクは機会あるたびに、様々な年齢や立場の人にこの質問しているので、今までに聴いたいろんな人の話(ex.困っている人のためにボランティアしたい。自身のアイデアを試すために起業したい、etc…)を紹介した。
学生からの講義終了後の感想には、『普段アルバイトをしていると、もう働きたくないなぁと思ってしまうけど、コロナの影響でバイトが0になった時、初めて“働きたい”と思いました。人との関わりが欲しいと思ったし、自分の力を必要として欲しいと思いました(2年生)』とか、『授業終了後、実際に働いている人の意見も聴いてみたくなり、両親に質問したら、両親の答えはそろって“働く”でした。「仕事場は自分の居場所でもあるから」「人と関わらないとしんどい」「何かを作り上げる面白さはかけがえのないものだから」というのが理由でした(1年生)』等のコメントが記されていました。
■「自分のキャリアプランに反する仕事」を続けることは無意味か?
コレ、日本生産性本部で実施している「新入社員 春の意識調査」での質問で、2010年には「無意味だと思わない:83.5%、無意味だ:16.5%」だったのが、2018年には「無意味だと思わない:62.0%、無意味だ:38.0%」と無意味だと思う新入社員の増加が目立っている。今回の学生の反応からも同じ様な印象を受けた。
学生のチャットを読んだ後、「若い頃、そもそもボクにはキャリアプランなんて無かったし、こんな職業人生を歩むなんて想像すらしていなかった」「ボクに限らず、社会経験も無い中で“不変のキャリアプラン”なんて立てられるんだろうか?」等の話をした。確かに素晴らしいキャリアプランを描くことが出来、それを実現できるのは素晴らしいことかもしれないけれど、そもそもキャリアの語源はラテン語の「carrus(荷馬車)」。荷馬車の轍は通った後に残るモノなわけで…。
■貴女の理想のライフ・キャリアプランは?
ウチの会社の採用面接で、「結婚・出産後に仕事を続ける?」と質問すると、女子学生の十中八九は「続けます!」と答える。「面接だから…」というのもあるだろうし、「金銭的に働かないと無理かな…?」なんて思っている学生も少なくないんだろう。
ただ、ボクが聴きたいのは『仕事とどう付き合っていきたいか?』なので、“バリキャリ(総合職として男女の区別なく働く)で働きたい”のか“ゆるキャリ(事務職で補助的に働く)で働きたい”のか、はたまた“専業主婦志向”なのかを聴いてみた。
以下、女子学生からの講義終了後の感想抜粋。『私も専業主婦になりたいけど、せっかく大学に入って様々なことを学んでいるのだから、学んだ知識を少しでも活かせる様、専業主婦になるまでは“バリキャリ”で働きたい』『結婚して子育てするのが夢だけど、仕事をせずに専業主婦をやる気は無いので、両方実現出来る“ゆるキャリライフ”を希望』『結婚し、子供が出来ても仕事は続けたい。もちろん家事はしっかりこなすけど、同時に仕事にも専念することで、子供に「今の時代は女性も男性と同じ様に働くんだよ、守られるだけの立場じゃないんだよ!」ということを教えてあげたい』『“バリキャリ”で働かないことを選んだ際、万一配偶者からDVを受ければ、身の危険に直結すると感じた』等々…。
■貴方が配偶者(妻)に期待するライフ・キャリアプランは?
一方、男子学生には、『配偶者にはどんなキャリアを望むか?』を知りたくて、「1.バリキャリで働いて欲しい」「2.ゆるキャリで働いて欲しい」「3.専業主婦でいて欲しい」「4.本人の意志に任せたい」の四択で聴いてみた。チャットでの感覚値だけど、想定どおり(?)「4.本人の意志に任せたい」が多かった。“本人の意志に任せる”っていうのは、“男性が外で働き女性が家を守る”という考え方がベースにあるんだろうなぁ…。
女子学生の講義終了後の感想に、『女性の“キャリア”について考えた時、まだまだ社会の中で女性の働きやすい環境は不十分であると感じた』『奥さんに専業主婦になる事を望む男性が多いのは、日本の男女の差を示していると思った。確かに専業主婦になりたいと思っている女性もいるが、周りの人や環境によって専業主婦を強いられる女性もいると思う。それは、昔から言われ続けている「女だから」「女らしく」という考え方によるものだと思う。その様な男女差を減らすには、自分の価値観を持つことが大切なのだと感じた』とのコメントもあった。
キャリアについての考え方は、十人十色だったけど、今回もらった感想のボク的『いいね!』は、『女性に対して「“バリキャリ”で働くか?」という質問自体が出ない世の中になって欲しいと思いました』かな!!
■たくさんの感想、ありがとう
以下に、学生からの感想の一部を記載しました。全部は紹介できないけれど、たくさんの感想をありがとう!!
・キャリア概論ということで、なんだか小難しい話をする授業だろうと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。思っていたより、身近なお話で、考えさせられることが多くありました。
・杉山さんが学校にあまり行かなかったというお話を聞いて、とても驚きました。いわゆる、学校で言う優等生タイプではなかった人が、今、社会で活躍・活動されているということ自体が新鮮でした。
・今回の講義で杉山さんが、「キャリアとは、広義の意味では“生き方”です」とおっしゃっていたことに納得しました。
・私のキャリアに対するイメージはプラン先行でしたが、「過ぎてみないとわからない」と聞き、いつもと違った考え方を得ることが出来ました。
・「学生生活は、自分がどんな人生を歩むのかを考える機会なんだ」という言葉がとても印象に残りました。
・お話の中で最も心に残ったメッセージは、「学生時代に、やりたいと思ったことは、余すことなく何でもやっておけ」というものです。
・例えば、「就活がうまくいかず希望の職種に就けなくても“就いた職でしか出会えない人に出会えるかもしれないし、自分が気づかなかった一面にも気付けるかもしれない”そうやって思考を変換していければいい」というお話だと受け止めました。それってざっくり言うと、「どうにかなる」ってコトだと思います。うまくいかなかった時でも、どうにかなるからその時を全力でやるという考え方に切り替えるのは大事です。でもわたし個人の意見としては、「“これでも良かったんだけど、学生時代に○○していたら、その後の道が広がったのかな”の○○を大学生のうちに探してやっておきたい」と思います。
・「他人の評価を気にするのではなく、自分の評価軸を創ることが大切」というお話が心に残りました。絶対的な答えが無い問いに対し、「正解はなんだろう?」と考えるのではなく、「これが自分の意見・答え!」としっかりいえる人間になりたいと思います。
ということで、無事(?)終了です。
※Pic:5月のとある日の静岡県立大学
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
2020年05月22日
キャリアについて考える意味 Vol.4
~ 社会環境変化について ~
■トヨタ自動車社長のコメントが物議をかもしている
昨年5月、日本自動車工業会の豊田章男 会長(トヨタ自動車 代表取締役社長)は会見で、「日本の“終身雇用”を守っていくのが難しい局面に入ってきた」と話した。
“終身雇用”を巡っては、経団連 中西宏明会長(日立製作所 会長)の「企業からみると、従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」、経済同友会 桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス 代表取締役社長兼CEO)の「“終身雇用”という制度は、『制度疲労』を起こしている可能性がある」等、経済界の重鎮が終身雇用見直し論ともとれる発言をしている。
マスメディアやSNS上では、「“終身雇用”の崩壊で若手社員の給与はアップする」vs「長期雇用は“雇用制度”ではなく“経営家哲学”だ!」他…、賛否両論が渦巻いている。
■“事実”で語ろう!?
ここでは、“終身雇用”の賛否は置いといて、事実を共有しておきたい。平成30年1月発表の内閣府の資料(日本経済2017-2018)によると、男性の場合、初職(学校卒業後はじめて就いた仕事)が正社員である割合は79%。そのうち一度も退職することなく“終身雇用”パスを歩んでいる(退職回数0回)のは、30代で48%、40代で38%、50代で34%。わかりやすく言うと、50代で初職の会社に勤め続けている人は、79%×34%≒26.9%、同年代の男性の4人に一人ということになる。
女性の場合、初職が正社員である割合は76%と男性と大きな違いは無いが、“終身雇用”パスを歩んでいるのは50代で7%程度(76%×7%≒5.3%)。つまり“終身雇用”パスを歩んでいるのは、同年代の女性の20人に一人ということになる。女性の場合は、仕事を辞めちゃう人の割合も高そうだ。
ボクは政治家でもないし、学校の先生でも無いので、“日本型雇用慣行”や“終身雇用”について、自身の考えを語るつもりはないけれど、事実を知っとくことは大切だ。
■人の意識は変わらない…
かつては、“日本型雇用慣行”の代名詞的に言われていた“終身雇用”。現実は前述した通りだが、人のもつ“イメージ”が“事実”として認識されるには、多くの時間を要するとも思っている。
1991年にバブル経済が崩壊し企業のリストラが進む中(この頃、“日本型雇用慣行”は崩壊したと言われていた)、ボクは再就職支援の事業に携わっていた。リストラされた中高年の人たちが、「こんなハズじゃなかった…」と言って肩を落とす姿を見て、自分の子供たちの世代の若者には、「同じ想いをさせたくない」と考え2002年に人材コンサルティングの会社をはじめた。
けれども、20年経っても、多くの日本人(老若男女)の意識が大きく変わったとは思えない。学生の就職相談でも「親からは、大きな会社・福利厚生が整った会社に入りなさい」とアドバイスされると聞くと、「ボクが40年前に就活する際に、母親から聞かされたアドバイスと変わってないよな~?!」と思ってしまう。
■労働寿命が企業の寿命を追い越しちゃう時代!?
“終身雇用”の良し悪しは別にして、“一つの会社で一生勤めあげるモデル”が一般的ではなくなってきつつあることを知っておく必要はあるだろう。
米国の調査会社の調べによるとS&Pの株価指数を構成する米国大企業の平均寿命は1960年の60年超から20年程度に短縮化し、今後は更に一段と短くなるとのこと。日本でも帝国データバンクによると現時点の企業の平均寿命は37.16年で、今後、米国と同様に短縮化が進んでいきそうだ。
一方、みなさんが22歳で大学を卒業して70歳まで働くとすれば、仕事に従事するのは48年間。人の労働寿命が企業の寿命を追い越してしまうことになる。
■『チーズはどこへ消えた?』、知っている…?
「“環境変化”を認識するには、多くの時間を要する!」って書いたけど、より重要なのは時間よりもキッカケの方かもしれない…。そんなことを考えていたら、2000年に発売されたビジネス書『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン 著)のことを想い出した。
迷路にあった大切なもの(チーズ)がなくなるという突然の「変化」に、ある者は状況を変えようと迷路を飛び出し、ある者はそのまま迷路に残って現状を維持しようとする。バブル経済崩壊後、大手企業が次々と社員教育のテキストに採用したことも話題となって、ミリオンセラーになった。
「20年も前の本だから、既に絶版になっているだろうな〜!?」とアマゾンで検索してみたら、「今でも売ってるんだ~?!」とビックリ、“環境変化”への対応はボクたちの永遠の課題なんだろうね。
『チーズはどこへ消えた?』、寓話形式で変化への対応の重要性をやさしく説いた100ページ足らずの本なので、「環境変化への対応に躊躇しちゃいそう…!?」ってヒトは、是非、読んでみて欲しい。
※Pic:紹介した『チーズはどこへ消えた?』。ステマじゃありません。
*********************
【学生さんの感想:Thanks!!】
・仕事を意味のあるものにするのは自分次第なのだと考えました。また、雇用制度というのは時代によって変わっていくので固定観念に縛られず、柔軟な考えでその都度対応していかないといけないのだということもわかりました。
・今回の講義を聞いて思ったことはコロナによる影響で被害が及ぶのは今年の就活生だけではないということ。その現状を理解しすべきことは、自分のキャリアを考え、行動に移す準備をすることだと想いました。
・転職せずに仕事を続けている男性が思った以上に少なかったことにとても驚きました。また企業の寿命が30年以下というのは本当に短く、もし自分が何年も続けている会社に就職することになったら数年経ったら潰れてしまうのか…、という不安も持ちました。長く続けることが出来ている会社にはどんな共通点があるのかと疑問に思いました。
【学生さんからのQuestion & ボクのAnswer】
Q1.コロナウイルスの影響は就職活動にどれほど出るのか知りたいです。
A1.程度はわからないけれど、少なからず影響はあるのだと思う。ただ、いくつかの視点から分析する必要はあるんだと思う。まず第一は、影響があるのは自分だけじゃなくライバル(?)とも言える他の学生も同じだということ。第二に、採用したい企業への影響も大だ。どこの企業も、どうすれば学生と接触出来るかを模索してる。第三は、経済の停滞による企業の採用意欲の減退かな…。いずれにしても“自分が変えられること”と“自分を変え無くちゃならないこと”を整理して考える必要があると思う。
Q2.現在、コロナウイルスの影響で自宅で仕事をする会社が増えています。この体制が終息した後も行うことができれば、女性や障がいを抱えた方など様々な人が働きやすくなると思うのですか、どう思いますか?
A2.ボクは今回、ウチの会社でも急遽、リモートワークをやってみた。やる前までは「出来るのかな〜?」と疑心暗鬼だったんだけど、今はリモートワークに大きな可能性を感じている。特にウチの場合は、子育て中の社員も多いし、そもそも仕事が出来さえすれば、何処で仕事をするのかは大きな問題じゃないわけだから…。ただ、導入の際は「個々のメンバーの自律心が必要条件になるよな〜!」とも思ってます。
ということで、今日はここまで。
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
■トヨタ自動車社長のコメントが物議をかもしている
昨年5月、日本自動車工業会の豊田章男 会長(トヨタ自動車 代表取締役社長)は会見で、「日本の“終身雇用”を守っていくのが難しい局面に入ってきた」と話した。
“終身雇用”を巡っては、経団連 中西宏明会長(日立製作所 会長)の「企業からみると、従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」、経済同友会 桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス 代表取締役社長兼CEO)の「“終身雇用”という制度は、『制度疲労』を起こしている可能性がある」等、経済界の重鎮が終身雇用見直し論ともとれる発言をしている。
マスメディアやSNS上では、「“終身雇用”の崩壊で若手社員の給与はアップする」vs「長期雇用は“雇用制度”ではなく“経営家哲学”だ!」他…、賛否両論が渦巻いている。
■“事実”で語ろう!?
ここでは、“終身雇用”の賛否は置いといて、事実を共有しておきたい。平成30年1月発表の内閣府の資料(日本経済2017-2018)によると、男性の場合、初職(学校卒業後はじめて就いた仕事)が正社員である割合は79%。そのうち一度も退職することなく“終身雇用”パスを歩んでいる(退職回数0回)のは、30代で48%、40代で38%、50代で34%。わかりやすく言うと、50代で初職の会社に勤め続けている人は、79%×34%≒26.9%、同年代の男性の4人に一人ということになる。
女性の場合、初職が正社員である割合は76%と男性と大きな違いは無いが、“終身雇用”パスを歩んでいるのは50代で7%程度(76%×7%≒5.3%)。つまり“終身雇用”パスを歩んでいるのは、同年代の女性の20人に一人ということになる。女性の場合は、仕事を辞めちゃう人の割合も高そうだ。
ボクは政治家でもないし、学校の先生でも無いので、“日本型雇用慣行”や“終身雇用”について、自身の考えを語るつもりはないけれど、事実を知っとくことは大切だ。
■人の意識は変わらない…
かつては、“日本型雇用慣行”の代名詞的に言われていた“終身雇用”。現実は前述した通りだが、人のもつ“イメージ”が“事実”として認識されるには、多くの時間を要するとも思っている。
1991年にバブル経済が崩壊し企業のリストラが進む中(この頃、“日本型雇用慣行”は崩壊したと言われていた)、ボクは再就職支援の事業に携わっていた。リストラされた中高年の人たちが、「こんなハズじゃなかった…」と言って肩を落とす姿を見て、自分の子供たちの世代の若者には、「同じ想いをさせたくない」と考え2002年に人材コンサルティングの会社をはじめた。
けれども、20年経っても、多くの日本人(老若男女)の意識が大きく変わったとは思えない。学生の就職相談でも「親からは、大きな会社・福利厚生が整った会社に入りなさい」とアドバイスされると聞くと、「ボクが40年前に就活する際に、母親から聞かされたアドバイスと変わってないよな~?!」と思ってしまう。
■労働寿命が企業の寿命を追い越しちゃう時代!?
“終身雇用”の良し悪しは別にして、“一つの会社で一生勤めあげるモデル”が一般的ではなくなってきつつあることを知っておく必要はあるだろう。
米国の調査会社の調べによるとS&Pの株価指数を構成する米国大企業の平均寿命は1960年の60年超から20年程度に短縮化し、今後は更に一段と短くなるとのこと。日本でも帝国データバンクによると現時点の企業の平均寿命は37.16年で、今後、米国と同様に短縮化が進んでいきそうだ。
一方、みなさんが22歳で大学を卒業して70歳まで働くとすれば、仕事に従事するのは48年間。人の労働寿命が企業の寿命を追い越してしまうことになる。
■『チーズはどこへ消えた?』、知っている…?
「“環境変化”を認識するには、多くの時間を要する!」って書いたけど、より重要なのは時間よりもキッカケの方かもしれない…。そんなことを考えていたら、2000年に発売されたビジネス書『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン 著)のことを想い出した。
迷路にあった大切なもの(チーズ)がなくなるという突然の「変化」に、ある者は状況を変えようと迷路を飛び出し、ある者はそのまま迷路に残って現状を維持しようとする。バブル経済崩壊後、大手企業が次々と社員教育のテキストに採用したことも話題となって、ミリオンセラーになった。
「20年も前の本だから、既に絶版になっているだろうな〜!?」とアマゾンで検索してみたら、「今でも売ってるんだ~?!」とビックリ、“環境変化”への対応はボクたちの永遠の課題なんだろうね。
『チーズはどこへ消えた?』、寓話形式で変化への対応の重要性をやさしく説いた100ページ足らずの本なので、「環境変化への対応に躊躇しちゃいそう…!?」ってヒトは、是非、読んでみて欲しい。
※Pic:紹介した『チーズはどこへ消えた?』。ステマじゃありません。
*********************
【学生さんの感想:Thanks!!】
・仕事を意味のあるものにするのは自分次第なのだと考えました。また、雇用制度というのは時代によって変わっていくので固定観念に縛られず、柔軟な考えでその都度対応していかないといけないのだということもわかりました。
・今回の講義を聞いて思ったことはコロナによる影響で被害が及ぶのは今年の就活生だけではないということ。その現状を理解しすべきことは、自分のキャリアを考え、行動に移す準備をすることだと想いました。
・転職せずに仕事を続けている男性が思った以上に少なかったことにとても驚きました。また企業の寿命が30年以下というのは本当に短く、もし自分が何年も続けている会社に就職することになったら数年経ったら潰れてしまうのか…、という不安も持ちました。長く続けることが出来ている会社にはどんな共通点があるのかと疑問に思いました。
【学生さんからのQuestion & ボクのAnswer】
Q1.コロナウイルスの影響は就職活動にどれほど出るのか知りたいです。
A1.程度はわからないけれど、少なからず影響はあるのだと思う。ただ、いくつかの視点から分析する必要はあるんだと思う。まず第一は、影響があるのは自分だけじゃなくライバル(?)とも言える他の学生も同じだということ。第二に、採用したい企業への影響も大だ。どこの企業も、どうすれば学生と接触出来るかを模索してる。第三は、経済の停滞による企業の採用意欲の減退かな…。いずれにしても“自分が変えられること”と“自分を変え無くちゃならないこと”を整理して考える必要があると思う。
Q2.現在、コロナウイルスの影響で自宅で仕事をする会社が増えています。この体制が終息した後も行うことができれば、女性や障がいを抱えた方など様々な人が働きやすくなると思うのですか、どう思いますか?
A2.ボクは今回、ウチの会社でも急遽、リモートワークをやってみた。やる前までは「出来るのかな〜?」と疑心暗鬼だったんだけど、今はリモートワークに大きな可能性を感じている。特にウチの場合は、子育て中の社員も多いし、そもそも仕事が出来さえすれば、何処で仕事をするのかは大きな問題じゃないわけだから…。ただ、導入の際は「個々のメンバーの自律心が必要条件になるよな〜!」とも思ってます。
ということで、今日はここまで。
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
2020年05月16日
キャリアについて考える意味 Vol.3
〜ウチ(取締役を務める会社)の社員の実際〜
■成長したい人が増えている?
会社では、管理事業推進部の担当取締役を務めさせていただいている。部署名に“事業推進”って付いているのは、単に管理するだけでなく事業推進の役割を担っていることを社内に示したいから(うまくやれているかどうかは別の話…(苦笑 )。
それはさておき、ウチのメンバーに限らず、学生も社員も「成長したい!」って言う人が本当に多い!!で、それを聴いたボクは「どうなったら成長したって言えるの…、30歳になった時にどうなっていたい?」なんて質問してしまうのだけど…。
ほとんどの人は、具体的なイメージを持たないまま、呪文の様に「成長!!成長!?」と唱えているだけの様に感じる。学生のみなさんは、意地悪な人事担当者にこんな質問をされた際にドギマギしない様に準備しておくといい。
■成長したいメンバーと育成したい上司
一方で、「メンバーを育成したい!」という管理職も多い。ボクも昔は、同じ様なことを言っていたかもしれないので、偉そうなことは言えないが、何十年か社会人をやっていて思うことは、「人を育成するなんて、おこがましいよな〜」ってこと。
社会人としての基本である“報・連・相”がキチッと出来たり、“営業のコツ”を教えたり等、業務が円滑に進むための指導するコトは出来るかもしれないけれど、それは単なる技術指導で、ボクのイメージする育成とは違う。
そんな中、先日、人事考課のヒアリングで入社5年目のメンバーから、「上司は、何でも知っていると思っていたけれど、杉山さんは知らないコトが多いですよね?!」というコメントをもらった。それを聴いてボクはなんか嬉しかった。どんな背景での話なのかをご存じないみなさんが、嬉しい理由を推察するのは難しいと思うけど、ボクは『1年後の彼がどうなっているのか?!』が、とっても楽しみだ。
■想い出したこと
昨今、七五三転職(※注)が社会問題だと言われているが、ボクは大学卒業して、3年しないうちに3つ(企業・公務員)の団体を経験した。転職の主な理由は「休みが少ない」「仕事にやりがいを感じられない」だ。
3つ目の会社は、創業から10年ほどのアルバイトタイムス(求人情報誌のDOMOを発行している)という会社で、社員数は10名程だった。入社の決め手は、当時珍しかった『完全週休2日制!』と『求人情報の会社だから、次に転職する際の情報も多そう?!』という超安易な理由だ。結果的に、この会社では、営業、企画、編集・制作、流通事業、人材関連事業etc…、様々な仕事を経験した。経験しなかったのは、今ウチでやっている管理部門のシゴトくらいだろう。
いろいろやらせてもらったけど、上司である創業社長(満井義政さん)から指導を受けた覚えがない。とはいえ、満井さんには“感謝”の気持ちしかない。技術指導をしてもらったことは一切ないが、多くの機会を与えてくれたことが、その後のボクの人生のとても大きな財産になったと感じている。
結果、アルバイトタイムスのグループには、JASDAQに上場する直前までの17年間お世話になった。そして、入社時に思っていた『次の条件のいい会社』を見つけることなく、自身で起業する道を選んだ。
■離職は悪いこと?
ウチは大学生の就活では、比較的人気のある企業だと思うけど、ご多分にもれず退職者は少なくない。『期待して入社してくれたメンバーが辞めてしまうこと』が寂しくないと言えば、嘘になるけど、辞めないことが良いことだとも思っていない。
あくまで私見だが、『メンバーには自分のために自分を磨き続けて欲しいし、プロの職業人としてどこででも戦える実力をつけて欲しい』と思っている。ボクたち経営の役割は、メンバーが“踊り甲斐を感じられるステージを用意すること”であり、“ウチのステージで踊り続けたいと思ってくれる様なステージを用意すること”だと思っている。
だから、新進気鋭のベンチャー企業に転職したり、地域課題解決のための会社を起こしたりするメンバーの退職は、「次のステージでの活躍への期待や興味」と「ステージが用意できない自身の力不足を嘆く気持ち」が入り交じる。会社としては、大きな損失だから…。
■成長の先にあるもの
授業でもお話したとおり、キャリアの語源は、ラテン語の「carrus(荷馬車)」。キャリアとは、車輪の通った轍を意味する。
学生のみなさんには、「自身の成長の先に何があるのか?将来どうなっていたいのか?」を想像して欲しい。重要なのは、『思った通りになること』ではなく、『“想像した未来”に向かって歩み始めること自体』なんだと思う。
先週、ウチの新卒採用面接(今年はWeb面接)で、学生さんから「若い頃、苦労した経験があったら教えてください」という質問があった。会社の取締役やっている人は苦労の先に取締役というポジションが与えられたと思ったのだろう。面接官であるもうひとりの取締役が「毎日が苦労の連続だよ!若い頃も苦労したコトはたくさんあるけど、今の方がもっと苦労している」と答えた。ボクにとって“もわが意を得たり”の回答だった。
“想像した未来”に向かって歩み続けたとしても、『思った通りになる可能性』は高くない。けれども、人生は想像していなかった自分になれるから面白いんじゃない?
※注)七五三転職:正社員で入社した会社を、中学卒業者で7割、高校卒業者で5割、大学卒業者で3割が3年以内に退職してしまう現象。
***********************************************
【学生さんの感想:Thanks!!】
・何かを始める時に「成長したい」と言ってしまいがちだけど、何をもって成長したとするかの自分の中にはっきりした基準があるわけでもないし、様々な経験をした結果あとから振り返った時に成長したと言えるようになるのかなと思いました。
・“私は人を育成できないから”という発言が面白かった。長くキャリアを積んできて、それが出た結論なんだと深く感じました。確かにいい営業マンにさせることはたくさんの人が出来ると思いますが、そうでは無いんですよね。
・成長とは多少なりとも他人の影響はあるかもしれないが、一番は自分自身によることであることを気づかされた。
・夢を見つけ、そのために今の仕事をやめて一から、また新しいことを始めていく方がいると聴いて、かっこいいなと思いました。たとえお金が稼げない職業だとしても自分がやりたいことならばそれも良い、周りの目を気にして仕事を選ぶのではなく自分がやりたいと思えるようなことをできたらと考えるようになりました。
【学生さんからのQuestion & ボクのAnswer】
Q1.将来、フリーランスで働きたいと思っています。スキルを磨くための踏み台として会社に就職するのは良いことだと思いますか?
A1.“踏み台”というコトバには抵抗があるけど、「“就職=就社”ではない!?」って考えれば、“自分のために仕事に就く”コトは大いにアリだと思う。ただ、ボクはスキルUPを単なる技術や知識の向上と考えるのではなく、もう少し広義に捉えて欲しいとも思う。スキルは、『会社で果たすべき役割』をしっかり担ってこそ、身につくものだと思う。
Q2.なぜ、貴社では若いうちから上司をさせたりするのですか?
A2.う〜ん、これは「なぜ、上司は若くちゃダメなんですか?」って逆質問したくなっちゃう質問かも…。「任せれば、頑張って成果を出してくれそうだ?!」って思えれば、年齢に関わらず任せるのはむしろ必然だと思う。マネジメントの本読むだけじゃ、マネジメントが出来る様にはならないでしょ。
ということで、今日はここまで。
※Pic:アルバイトタイムの企画担当の頃、レーサーのスポンサーをしていた時のもの。上司からシゴトを教えてもらった記憶は無いが、機会を与えてもらえた。感謝の気持ちしかない。
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
■成長したい人が増えている?
会社では、管理事業推進部の担当取締役を務めさせていただいている。部署名に“事業推進”って付いているのは、単に管理するだけでなく事業推進の役割を担っていることを社内に示したいから(うまくやれているかどうかは別の話…(苦笑 )。
それはさておき、ウチのメンバーに限らず、学生も社員も「成長したい!」って言う人が本当に多い!!で、それを聴いたボクは「どうなったら成長したって言えるの…、30歳になった時にどうなっていたい?」なんて質問してしまうのだけど…。
ほとんどの人は、具体的なイメージを持たないまま、呪文の様に「成長!!成長!?」と唱えているだけの様に感じる。学生のみなさんは、意地悪な人事担当者にこんな質問をされた際にドギマギしない様に準備しておくといい。
■成長したいメンバーと育成したい上司
一方で、「メンバーを育成したい!」という管理職も多い。ボクも昔は、同じ様なことを言っていたかもしれないので、偉そうなことは言えないが、何十年か社会人をやっていて思うことは、「人を育成するなんて、おこがましいよな〜」ってこと。
社会人としての基本である“報・連・相”がキチッと出来たり、“営業のコツ”を教えたり等、業務が円滑に進むための指導するコトは出来るかもしれないけれど、それは単なる技術指導で、ボクのイメージする育成とは違う。
そんな中、先日、人事考課のヒアリングで入社5年目のメンバーから、「上司は、何でも知っていると思っていたけれど、杉山さんは知らないコトが多いですよね?!」というコメントをもらった。それを聴いてボクはなんか嬉しかった。どんな背景での話なのかをご存じないみなさんが、嬉しい理由を推察するのは難しいと思うけど、ボクは『1年後の彼がどうなっているのか?!』が、とっても楽しみだ。
■想い出したこと
昨今、七五三転職(※注)が社会問題だと言われているが、ボクは大学卒業して、3年しないうちに3つ(企業・公務員)の団体を経験した。転職の主な理由は「休みが少ない」「仕事にやりがいを感じられない」だ。
3つ目の会社は、創業から10年ほどのアルバイトタイムス(求人情報誌のDOMOを発行している)という会社で、社員数は10名程だった。入社の決め手は、当時珍しかった『完全週休2日制!』と『求人情報の会社だから、次に転職する際の情報も多そう?!』という超安易な理由だ。結果的に、この会社では、営業、企画、編集・制作、流通事業、人材関連事業etc…、様々な仕事を経験した。経験しなかったのは、今ウチでやっている管理部門のシゴトくらいだろう。
いろいろやらせてもらったけど、上司である創業社長(満井義政さん)から指導を受けた覚えがない。とはいえ、満井さんには“感謝”の気持ちしかない。技術指導をしてもらったことは一切ないが、多くの機会を与えてくれたことが、その後のボクの人生のとても大きな財産になったと感じている。
結果、アルバイトタイムスのグループには、JASDAQに上場する直前までの17年間お世話になった。そして、入社時に思っていた『次の条件のいい会社』を見つけることなく、自身で起業する道を選んだ。
■離職は悪いこと?
ウチは大学生の就活では、比較的人気のある企業だと思うけど、ご多分にもれず退職者は少なくない。『期待して入社してくれたメンバーが辞めてしまうこと』が寂しくないと言えば、嘘になるけど、辞めないことが良いことだとも思っていない。
あくまで私見だが、『メンバーには自分のために自分を磨き続けて欲しいし、プロの職業人としてどこででも戦える実力をつけて欲しい』と思っている。ボクたち経営の役割は、メンバーが“踊り甲斐を感じられるステージを用意すること”であり、“ウチのステージで踊り続けたいと思ってくれる様なステージを用意すること”だと思っている。
だから、新進気鋭のベンチャー企業に転職したり、地域課題解決のための会社を起こしたりするメンバーの退職は、「次のステージでの活躍への期待や興味」と「ステージが用意できない自身の力不足を嘆く気持ち」が入り交じる。会社としては、大きな損失だから…。
■成長の先にあるもの
授業でもお話したとおり、キャリアの語源は、ラテン語の「carrus(荷馬車)」。キャリアとは、車輪の通った轍を意味する。
学生のみなさんには、「自身の成長の先に何があるのか?将来どうなっていたいのか?」を想像して欲しい。重要なのは、『思った通りになること』ではなく、『“想像した未来”に向かって歩み始めること自体』なんだと思う。
先週、ウチの新卒採用面接(今年はWeb面接)で、学生さんから「若い頃、苦労した経験があったら教えてください」という質問があった。会社の取締役やっている人は苦労の先に取締役というポジションが与えられたと思ったのだろう。面接官であるもうひとりの取締役が「毎日が苦労の連続だよ!若い頃も苦労したコトはたくさんあるけど、今の方がもっと苦労している」と答えた。ボクにとって“もわが意を得たり”の回答だった。
“想像した未来”に向かって歩み続けたとしても、『思った通りになる可能性』は高くない。けれども、人生は想像していなかった自分になれるから面白いんじゃない?
※注)七五三転職:正社員で入社した会社を、中学卒業者で7割、高校卒業者で5割、大学卒業者で3割が3年以内に退職してしまう現象。
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【学生さんの感想:Thanks!!】
・何かを始める時に「成長したい」と言ってしまいがちだけど、何をもって成長したとするかの自分の中にはっきりした基準があるわけでもないし、様々な経験をした結果あとから振り返った時に成長したと言えるようになるのかなと思いました。
・“私は人を育成できないから”という発言が面白かった。長くキャリアを積んできて、それが出た結論なんだと深く感じました。確かにいい営業マンにさせることはたくさんの人が出来ると思いますが、そうでは無いんですよね。
・成長とは多少なりとも他人の影響はあるかもしれないが、一番は自分自身によることであることを気づかされた。
・夢を見つけ、そのために今の仕事をやめて一から、また新しいことを始めていく方がいると聴いて、かっこいいなと思いました。たとえお金が稼げない職業だとしても自分がやりたいことならばそれも良い、周りの目を気にして仕事を選ぶのではなく自分がやりたいと思えるようなことをできたらと考えるようになりました。
【学生さんからのQuestion & ボクのAnswer】
Q1.将来、フリーランスで働きたいと思っています。スキルを磨くための踏み台として会社に就職するのは良いことだと思いますか?
A1.“踏み台”というコトバには抵抗があるけど、「“就職=就社”ではない!?」って考えれば、“自分のために仕事に就く”コトは大いにアリだと思う。ただ、ボクはスキルUPを単なる技術や知識の向上と考えるのではなく、もう少し広義に捉えて欲しいとも思う。スキルは、『会社で果たすべき役割』をしっかり担ってこそ、身につくものだと思う。
Q2.なぜ、貴社では若いうちから上司をさせたりするのですか?
A2.う〜ん、これは「なぜ、上司は若くちゃダメなんですか?」って逆質問したくなっちゃう質問かも…。「任せれば、頑張って成果を出してくれそうだ?!」って思えれば、年齢に関わらず任せるのはむしろ必然だと思う。マネジメントの本読むだけじゃ、マネジメントが出来る様にはならないでしょ。
ということで、今日はここまで。
※Pic:アルバイトタイムの企画担当の頃、レーサーのスポンサーをしていた時のもの。上司からシゴトを教えてもらった記憶は無いが、機会を与えてもらえた。感謝の気持ちしかない。
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
2020年05月06日
キャリアについて考える意味 Vol.2
〜ボクが学生と接する中、感じること〜
■よくある就職相談
学生の就職相談で多いのが、就活の三大鬼門?(自己分析、ES、面接)の一つでもある「エントリーシート(以下、ES)の添削依頼。ESは、何かの意図を持って書いているハズ(?)だから、「このES、面接官に何を伝えたくて書いたの?」などと質問するのだが…。質問(例:学生時代頑張ったことは?)に対する答えは丁寧に書かれているけれど、それを通して採用担当者に何を伝えたいという意図が無いまま書いているコトが多い様に感じる。
そんなコトもあって、最近は添削の依頼があると「添削はしないけど、このES読んで聴いてみたいと思ったことを質問するよ!?」などと前置きしてから相談業務に入ることも少なくない。
■意図を持った発言が出来ているか?
就職相談では、他にも似たような場面に出くわす。例えば、「面接の時に〇〇聴かれたら、なんて答えれば良いですか?」という質問。質問に対する答えは“人それぞれ”だし“採用側の質問の意図”が解らないのに、「なんて答えればよいのか?」って言われても困ってしまう。逆に、「就活マニュアルに『この質問にはこう答えろ!』と書いてあるんだが、違和感がある」なんていう学生の言葉には、ホッとする。
あと、(採用担当の)「何か質問ありますか?」の問に対して、「残りの学生生活、何をすればいいですか?」って質問にも困ってしまう。ボクは、本番(ウチの会社)の面接では「あなたは何をやればいいと思う?」と逆質問し、「あなたがやりたいと思ったコトをやればいいよ!」と返している。意地悪だね…(笑
■答えはひとつ?
今回の講義では、「学校の試験以外に答えが一つに決まっているものを教えて!?」という問いかけをさせていただいた。ボクには、陸上競技の様なイコールコンディション(コレとて道具の進歩で全くのイコールとは言えなくなってきている…)で行われる競技以外は、一つしか答えがないケースを思い浮かべることが出来ない。更に、チームには、技術的に優れている人だけじゃなく、リーダーシップに秀でた人、ムードメーカー等、いろんなメンバーが必要で、誰か一人だけで成り立つモノじゃない。ボクがF-1や自転車のロードレースが好きな理由は、“不公平で、スーパースター一人の力だけじゃ勝てないコト”なのかもしれない。
答えはひとつじゃない。“人それぞれの答えがある”ハズだし、“置かれた状況によって答えは変わっていくモノ”という当たり前が共有できていない様な気がする。
■自分の基準を持つことの大切さ
ボクたちは、学校教育の中で、“正解は一つ”と刷り込まれ続けてきた様な気がする。現在、小・中・高校で推し進められているキャリア教育でよく聴く「なりたい自分を見つけよう!」っていうコトバも、視野を狭める一つの要因になっていないだろうか。「どんな職業に就きたい?」と言われても「なりたい自分が見つからない?」と悩み立ち止ってしまう学生は少なくない。
更に、社会経験の浅い学生に、「なりたい自分は明確です!」って断言されちゃうのはもっと心配だ。そういう学生によくよく話を聴くと、単に“知名度が高かったり福利厚生の整った会社”に入ることだけが目的になってしまっているケースが少なくない。そんな会社選びをして、入社2〜3年でウチに転職してくる学生もいるからな〜?!
誰かに与えられた目標とか基準じゃなく、自分のモノサシを持つことが大切なんだと思う。
*********************************
【学生さんの感想:Thanks!!】
・面接の質疑応答での「(学生が)やっておいた方がいいことは?」のお話を聴いて、自分のやりたいことに挑戦しようと思えるようになりました。
・学校の試験以外、答えは一つではないということにとても納得しました。大学生のうちにやりたいことをやり、机上の勉強では学べないことを様々な分野で挑戦して、自分の視野を広げたいなと思いました。
・「なりたい自分なんてあとから見つかる」「就活で焦ることなんてない」という言葉がとても心に残りました。
・私は高校まで、周りからの評価ばかり気にしていました。そして、誰かが持っている答えにたどり着くことを目的に行動していました。まずは、自分がやりたいことを考えてみることからはじめてみようと思いました。
・私は成績がいいわけではありませんが他人からの評価を気にしすぎているのかもしれないと思いました。しかし、自分が死ぬ時に後悔しないためにも、自分と向き合って、自分が幸せで充実していると思える人生なら、それが一番だと思いました。
・自分は、良い会社に入って、業務をこなせるようになり、昇進していくことが「成長」であったり、「キャリア」を積んでいくことだと思っていたので、正直ギクッとしました。
・この授業は、“いい企業”に就くためには何をしたらいいかの答えを見つけるために受講した。いわゆる“いい企業”に入るコトを目的にしていた自分は、耳が痛くなるような思いでした。
・何事に関しても自分の基準を設けようと思いました。会社の基準に合わせることも必要な場面は多々あると思うが、会社の基準の一歩先に行った基準を設け、ほかと違う質の良い働きをすることでキャリアを育てたい。
・授業を聴いたことによって、“自分で考えて自分で決める”のが重要なのではないかと思いました。
・私は、将来の夢がなく、大卒という学歴のために大学進学を選択したようなものですが、今回の授業を受けて、今の生活がただの学歴として終わってしまうことは非常に残念なことだと感じました。
【学生さんからのQuestion】
・何かを始めるときどこから勇気や自信が湧いてくるのですか?
・何か行動を起こす時に、周りの反応や評価を考えて、積極的に行動できないです。これは、自意識過剰でしょうか?
【ボクのAnswer】
“勇気や自信”“自意識過剰”に対する答えになるかはわからないけれど、『勇気を持たないと始められない』場合と『とりあえず始めてみる』場合の2つがある様に思う。で、ボクの場合、多いのは『とりあえず始めてみる』ですね。趣味なんかは、圧倒的にコレ!!
『勇気を持たないと始められない』場合…。う〜ん、今まででの一番は、18年前の起業かな?当時、前職では取締役だったし、家族もいたから…。で、なんで踏み切れたかというと、将来を俯瞰するに足り得る情報を持っていたからだと思う。簡単に言うと、大手企業も雇用の保証をしなくなる中、今いる会社が未来永劫まで面倒見てくれるわけではない、“自分の足で立つ術”を習得することが、結果的にリスク回避につながると考えたからかな。
ちょうど、父親が亡くなった頃だったので、「人間、いつかは死ぬんだ!だったら好きなようにやろう!!」と実感できたのも大きいかもしれない。
ということで、今日はここまで。
※Pic:20代前半、流行りはじめたWSFにハマってた時期があります。
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
■よくある就職相談
学生の就職相談で多いのが、就活の三大鬼門?(自己分析、ES、面接)の一つでもある「エントリーシート(以下、ES)の添削依頼。ESは、何かの意図を持って書いているハズ(?)だから、「このES、面接官に何を伝えたくて書いたの?」などと質問するのだが…。質問(例:学生時代頑張ったことは?)に対する答えは丁寧に書かれているけれど、それを通して採用担当者に何を伝えたいという意図が無いまま書いているコトが多い様に感じる。
そんなコトもあって、最近は添削の依頼があると「添削はしないけど、このES読んで聴いてみたいと思ったことを質問するよ!?」などと前置きしてから相談業務に入ることも少なくない。
■意図を持った発言が出来ているか?
就職相談では、他にも似たような場面に出くわす。例えば、「面接の時に〇〇聴かれたら、なんて答えれば良いですか?」という質問。質問に対する答えは“人それぞれ”だし“採用側の質問の意図”が解らないのに、「なんて答えればよいのか?」って言われても困ってしまう。逆に、「就活マニュアルに『この質問にはこう答えろ!』と書いてあるんだが、違和感がある」なんていう学生の言葉には、ホッとする。
あと、(採用担当の)「何か質問ありますか?」の問に対して、「残りの学生生活、何をすればいいですか?」って質問にも困ってしまう。ボクは、本番(ウチの会社)の面接では「あなたは何をやればいいと思う?」と逆質問し、「あなたがやりたいと思ったコトをやればいいよ!」と返している。意地悪だね…(笑
■答えはひとつ?
今回の講義では、「学校の試験以外に答えが一つに決まっているものを教えて!?」という問いかけをさせていただいた。ボクには、陸上競技の様なイコールコンディション(コレとて道具の進歩で全くのイコールとは言えなくなってきている…)で行われる競技以外は、一つしか答えがないケースを思い浮かべることが出来ない。更に、チームには、技術的に優れている人だけじゃなく、リーダーシップに秀でた人、ムードメーカー等、いろんなメンバーが必要で、誰か一人だけで成り立つモノじゃない。ボクがF-1や自転車のロードレースが好きな理由は、“不公平で、スーパースター一人の力だけじゃ勝てないコト”なのかもしれない。
答えはひとつじゃない。“人それぞれの答えがある”ハズだし、“置かれた状況によって答えは変わっていくモノ”という当たり前が共有できていない様な気がする。
■自分の基準を持つことの大切さ
ボクたちは、学校教育の中で、“正解は一つ”と刷り込まれ続けてきた様な気がする。現在、小・中・高校で推し進められているキャリア教育でよく聴く「なりたい自分を見つけよう!」っていうコトバも、視野を狭める一つの要因になっていないだろうか。「どんな職業に就きたい?」と言われても「なりたい自分が見つからない?」と悩み立ち止ってしまう学生は少なくない。
更に、社会経験の浅い学生に、「なりたい自分は明確です!」って断言されちゃうのはもっと心配だ。そういう学生によくよく話を聴くと、単に“知名度が高かったり福利厚生の整った会社”に入ることだけが目的になってしまっているケースが少なくない。そんな会社選びをして、入社2〜3年でウチに転職してくる学生もいるからな〜?!
誰かに与えられた目標とか基準じゃなく、自分のモノサシを持つことが大切なんだと思う。
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【学生さんの感想:Thanks!!】
・面接の質疑応答での「(学生が)やっておいた方がいいことは?」のお話を聴いて、自分のやりたいことに挑戦しようと思えるようになりました。
・学校の試験以外、答えは一つではないということにとても納得しました。大学生のうちにやりたいことをやり、机上の勉強では学べないことを様々な分野で挑戦して、自分の視野を広げたいなと思いました。
・「なりたい自分なんてあとから見つかる」「就活で焦ることなんてない」という言葉がとても心に残りました。
・私は高校まで、周りからの評価ばかり気にしていました。そして、誰かが持っている答えにたどり着くことを目的に行動していました。まずは、自分がやりたいことを考えてみることからはじめてみようと思いました。
・私は成績がいいわけではありませんが他人からの評価を気にしすぎているのかもしれないと思いました。しかし、自分が死ぬ時に後悔しないためにも、自分と向き合って、自分が幸せで充実していると思える人生なら、それが一番だと思いました。
・自分は、良い会社に入って、業務をこなせるようになり、昇進していくことが「成長」であったり、「キャリア」を積んでいくことだと思っていたので、正直ギクッとしました。
・この授業は、“いい企業”に就くためには何をしたらいいかの答えを見つけるために受講した。いわゆる“いい企業”に入るコトを目的にしていた自分は、耳が痛くなるような思いでした。
・何事に関しても自分の基準を設けようと思いました。会社の基準に合わせることも必要な場面は多々あると思うが、会社の基準の一歩先に行った基準を設け、ほかと違う質の良い働きをすることでキャリアを育てたい。
・授業を聴いたことによって、“自分で考えて自分で決める”のが重要なのではないかと思いました。
・私は、将来の夢がなく、大卒という学歴のために大学進学を選択したようなものですが、今回の授業を受けて、今の生活がただの学歴として終わってしまうことは非常に残念なことだと感じました。
【学生さんからのQuestion】
・何かを始めるときどこから勇気や自信が湧いてくるのですか?
・何か行動を起こす時に、周りの反応や評価を考えて、積極的に行動できないです。これは、自意識過剰でしょうか?
【ボクのAnswer】
“勇気や自信”“自意識過剰”に対する答えになるかはわからないけれど、『勇気を持たないと始められない』場合と『とりあえず始めてみる』場合の2つがある様に思う。で、ボクの場合、多いのは『とりあえず始めてみる』ですね。趣味なんかは、圧倒的にコレ!!
『勇気を持たないと始められない』場合…。う〜ん、今まででの一番は、18年前の起業かな?当時、前職では取締役だったし、家族もいたから…。で、なんで踏み切れたかというと、将来を俯瞰するに足り得る情報を持っていたからだと思う。簡単に言うと、大手企業も雇用の保証をしなくなる中、今いる会社が未来永劫まで面倒見てくれるわけではない、“自分の足で立つ術”を習得することが、結果的にリスク回避につながると考えたからかな。
ちょうど、父親が亡くなった頃だったので、「人間、いつかは死ぬんだ!だったら好きなようにやろう!!」と実感できたのも大きいかもしれない。
ということで、今日はここまで。
※Pic:20代前半、流行りはじめたWSFにハマってた時期があります。
注)このブログは、2020年4月22日(水)静岡県立大学 キャリア概論を聴講してくれた学生を対象に書いています。聴いていない方には解りにくい部分もあるかもしれないことをご承知おきください。
2020年05月04日
キャリアについて考える意味 Vol.1
〜新型コロナウイルス感染拡大の最中、キャリアについてお話をする機会をいただきました!〜
例年登壇の機会をいただいている静岡県立大学のキャリア概論Ⅰ(津富宏 教授)で、今年もお話をする機会をいただきました。例年と大きく違うのは、コロナ禍の影響で主な受講対象である1年生は入学式も無く、未だ同級生と1度も顔を合わせることも無い中でのWebでの授業であるということ。こんな状況だからこそ、「キャリアとは何か?」「キャリアについてなぜ考える必要があるのか?」という問いかけをしたいと思い、授業の構成を考えてみた。
大きな流れは、パラレルワーカー(人材コンサルタント、企業経営者、大学講師)という働き方を選んだボクの自己紹介から始まって、『1.ボクが学生と接する中、感じること』『2. ウチ(取締役を務める会社)の社員の実際』『3. 社会環境変化について』『4. みなさんへの質問』という4つのフェーズで整理してみた。また、資料は「スマホで参加する学生も少なくないだろうから、文字を大きくポイントだけを載せよう!」とか「ワンウェイになる可能性大だから、後半は質問も織り交ぜよう!」とか、無い知恵絞って作成した。
ボクにとっては初のWeb授業。今回は、当該科目の1回目であり、概ね70名の学生も(たぶん)Web授業は初体験ということで、「果たして90分(ボクの持ち時間は概ね60分強)持つのだろか…?」という不安いっぱいでスタートした。確かにリアルな反応を感じ取ることは難しいのだけれど、学生の顔がモニターに映っていることもあり、喋り手としては比較的安心して話が出来る。
また当初は『4. みなさんへの質問』についても、質問を投げかけた後、しばらく時間を置いてから調査結果の開示をしようと考えていたのだが…。zoomのチャットボタンを見つけ「何番の答えを選んだか?チャットで教えて!」と投げかけることにより、ボクが参加学生の考えを把握出来るだけじゃなく、他の学生にも解答の全体像が共有され気づきを与えられるトコロも悪くない。実際、学生の感想にも「いろんな考え方の学生がいることに驚いた」「対面では言い辛いことでもネットを通じてだったら言えるので続けて欲しい」等の感想も少なくなかった。直に学生と接するのに越したことはないとは思うけど、マスプロ授業で双方向のコミュニケーションに悩んでいるボクには、Web授業もツールのひとつとしては“アリ”と思える経験となった。
とここまで、“Web授業体験記”みたいになってしまったけど、超ひさしぶりにBlogを書こうと思った理由は実はソコじゃない。授業終了後の学生のコメント(考えたこと、質問等)を読ませてもらい、「こりゃ、ボクの感想やボクなりの回答を返すのが礼儀だろう!?」と思ったから…。ということで、数回に分けて一部、学生のコメントも引用しつつ、ボクなりのコメントを綴ってみようと思う。
ということで、今日はここまで。
※Pic:大学卒業後、1社目を9ヶ月で退職。最初の冬の伊勢神宮。
例年登壇の機会をいただいている静岡県立大学のキャリア概論Ⅰ(津富宏 教授)で、今年もお話をする機会をいただきました。例年と大きく違うのは、コロナ禍の影響で主な受講対象である1年生は入学式も無く、未だ同級生と1度も顔を合わせることも無い中でのWebでの授業であるということ。こんな状況だからこそ、「キャリアとは何か?」「キャリアについてなぜ考える必要があるのか?」という問いかけをしたいと思い、授業の構成を考えてみた。
大きな流れは、パラレルワーカー(人材コンサルタント、企業経営者、大学講師)という働き方を選んだボクの自己紹介から始まって、『1.ボクが学生と接する中、感じること』『2. ウチ(取締役を務める会社)の社員の実際』『3. 社会環境変化について』『4. みなさんへの質問』という4つのフェーズで整理してみた。また、資料は「スマホで参加する学生も少なくないだろうから、文字を大きくポイントだけを載せよう!」とか「ワンウェイになる可能性大だから、後半は質問も織り交ぜよう!」とか、無い知恵絞って作成した。
ボクにとっては初のWeb授業。今回は、当該科目の1回目であり、概ね70名の学生も(たぶん)Web授業は初体験ということで、「果たして90分(ボクの持ち時間は概ね60分強)持つのだろか…?」という不安いっぱいでスタートした。確かにリアルな反応を感じ取ることは難しいのだけれど、学生の顔がモニターに映っていることもあり、喋り手としては比較的安心して話が出来る。
また当初は『4. みなさんへの質問』についても、質問を投げかけた後、しばらく時間を置いてから調査結果の開示をしようと考えていたのだが…。zoomのチャットボタンを見つけ「何番の答えを選んだか?チャットで教えて!」と投げかけることにより、ボクが参加学生の考えを把握出来るだけじゃなく、他の学生にも解答の全体像が共有され気づきを与えられるトコロも悪くない。実際、学生の感想にも「いろんな考え方の学生がいることに驚いた」「対面では言い辛いことでもネットを通じてだったら言えるので続けて欲しい」等の感想も少なくなかった。直に学生と接するのに越したことはないとは思うけど、マスプロ授業で双方向のコミュニケーションに悩んでいるボクには、Web授業もツールのひとつとしては“アリ”と思える経験となった。
とここまで、“Web授業体験記”みたいになってしまったけど、超ひさしぶりにBlogを書こうと思った理由は実はソコじゃない。授業終了後の学生のコメント(考えたこと、質問等)を読ませてもらい、「こりゃ、ボクの感想やボクなりの回答を返すのが礼儀だろう!?」と思ったから…。ということで、数回に分けて一部、学生のコメントも引用しつつ、ボクなりのコメントを綴ってみようと思う。
ということで、今日はここまで。
※Pic:大学卒業後、1社目を9ヶ月で退職。最初の冬の伊勢神宮。
2019年01月14日
キャリア開発論、終了!!
~後期授業終了、備忘録~
講師を務めさせていただいている常葉大学の『キャリア開発論Ⅰ(後期授業)』、今年もなんとか15回終了しました。昨年の備忘録は、コチラ
昨年との大きな違いは、「1.大学で用意した書籍を使っての授業であったこと」と「2.教育学部160名、造形学部100名と大幅に受講生が増えたこと(学部別に同様の講義を実施)」の2点かな…。
進行自体は、書籍の流れに沿って進めたけれど、僕がこれまで職業人として悩んできたこと&今も悩んでいること等をモチーフに、就活のHow toを学ぼうなんて思うんじゃなく、「自分らしく充実した4年間を過ごすことが大切!!」ということを伝えることを意識した。
また、出席簿替わりに学生に提出してもらっている感想についても「学生との2Wayコミュニケーションは譲れない!!」と、継続することに決めた。次の授業のはじめに、学生との相互理解を深めるために有益そうな感想を読み上げたのだが…
半年間ありがとうございました。「毎回、授業で感想が読まれるように書こう」ということを目標にこの紙を書いていましたが、ほとんど達成することができました。やった〜。自分の人生についてあまり考えたことがなかったので、受講してよかったなと思っています。本当にありがとうございました!!また将来のことや人生で困った時に相談させてもらいますね。
なんてコメントをもらえると、「たくさん時間を掛けた甲斐があったな?!」とニンマリしちゃう。で、15回目に関しては、学生へのフィードバックが出来ないので、嬉しかったコメントをBlogに残しておくことにしよう。
最初、キャリアデザインと聞いて、安定した職業とか聞かされるのかなぁと思っていましたが、いざやってみると自分のことの分析や生き方などが勉強できておもしろかったです。生き方、というか新しい考え方や見方が身に付いたし、すごくためになったなと感じます。ありがとうございました。
多くの学生は、キャリアデザインと聞いた瞬間、「安定した仕事に就くためのお説教をされるんじゃ…」なんて想像するんじゃないかな?
教育学部に入ったからには、教師になろうと思って過ごしていたけど、その他の道もあるんだということを教えてもらえた授業でした。自分と向きあい、自分がやりたいことは何か、興味をひかれるものは何かを探すとともに、様々な人と出会い、自分の知らない世界に飛び込むような、そんな大学生活にしたいと思います。ありがとうございました。
これまでの授業を通して教員しか頭に無かった自分からの脱却が出来たのかと思います。本当に教員になりたいのか、どうして教員なのかあらためて見直していきたいと思いますし、一般企業も視野に入れつつ今後のキャリアを考えていきたいです。
教育学部に限らず、専門性を学ぶ学部に入った学生は“その仕事に就くコト自体”が目的になってしまうケースも少なくないと思う。この感想を書いてくれた学生がどんなキャリアを歩むのかは分からないけれど、もし先生になったとしたら、きっといい先生になってくれるんじゃないだろうか!?
15回の授業、ありがとうございました!先生のお話してくれた授業の内容は、ぶっちゃけ他の必須科目よりもずっと役に立つと思いました(先生の話し方が、すごくフレンドリーで好きです)。私はやりたいことも分からず、将来のビジョンなんてまったくないままこの学校に入り、なんとなく毎日すごしていました。けれど、世の中の会社のこと、自分の良い所、いろんな働く人の声がわかるこの授業は、私にとって新鮮で、すごくためになりました。
15回授業を学んで感じたことは、大学生の自分、もっと色んな事を体験して視野や価値観のバリエーション多くすべきだなと感じます。学生のうちに、年代の違う人や様々な人と関わり、コミュニケーションをとることで、自分以外の存在や、世の中について学び、社会に出た時への成長の一歩になると思う。一度きりの人生なんだから、やっぱり楽しまなきゃな、死んだ時になんだかんだ幸せかもと思って、目を瞑れる人生にしたいと思います。私は私ありがとうございました
この授業を15回通して受けてみて、自分の人生について考えることがこれまでよりもずっと多くなったし、自分自身で考えてみることの大切さを知ることができたと思います。働き方なども含め、自分がこれからの人生をどのように生きていくのか、自分にとって何が正解かを自分自身で決めていくこと、それに向かって自分から動くこと、自分なりに努力することを忘れずに、日々を有意義なものに過ごしていきたいと思います。
自分が本当にやりたいことをするのは難しいことだとずっと思っていた。けれど、難しくしているのは、本当にやりたいこと以外の他の欲(世間体や今あるものを失う不安感)で、そのために我慢はしたくない。どうするべきなんだろう?と考えると人生はつくづく難しい。どうにだってなるから。けれど、自分がどうしたいのか、常に向き合ってそのための必要な努力をとことんすることが、やりたいことに近づけると思った。
今回の講義で感じたことは、答えのない問いに対して果敢に向かっていきたい。世界は答えのない問だらけなのに、学校は答えのある問題しかやらない。やはり、教員になる人間としても答えのない問いに対してどのようなアプローチの仕方があるか、これは様々な経験を通して学べるものだと思います。だから、大学生活では、多少リスクを犯してまでも色々なことにチャレンジしていきたい。
この授業は後期の授業で一番楽しみな授業だった。授業を受ける度に自分の考え方に変化が起きているのを実感できた。
この15回の授業は他の授業とは全く違うもので、あらためて自分について考えることが出来る貴重な時間でした。自分のキャリアについてもっと考えていきたいです。
こんなコメントをくれた学生たちに、「こちらこそありがとう!!」と言いたいね。
Thank you !!
※昨日の日本平と愛用のロードバイク。本文とは関係ありません。
講師を務めさせていただいている常葉大学の『キャリア開発論Ⅰ(後期授業)』、今年もなんとか15回終了しました。昨年の備忘録は、コチラ
昨年との大きな違いは、「1.大学で用意した書籍を使っての授業であったこと」と「2.教育学部160名、造形学部100名と大幅に受講生が増えたこと(学部別に同様の講義を実施)」の2点かな…。
進行自体は、書籍の流れに沿って進めたけれど、僕がこれまで職業人として悩んできたこと&今も悩んでいること等をモチーフに、就活のHow toを学ぼうなんて思うんじゃなく、「自分らしく充実した4年間を過ごすことが大切!!」ということを伝えることを意識した。
また、出席簿替わりに学生に提出してもらっている感想についても「学生との2Wayコミュニケーションは譲れない!!」と、継続することに決めた。次の授業のはじめに、学生との相互理解を深めるために有益そうな感想を読み上げたのだが…
半年間ありがとうございました。「毎回、授業で感想が読まれるように書こう」ということを目標にこの紙を書いていましたが、ほとんど達成することができました。やった〜。自分の人生についてあまり考えたことがなかったので、受講してよかったなと思っています。本当にありがとうございました!!また将来のことや人生で困った時に相談させてもらいますね。
なんてコメントをもらえると、「たくさん時間を掛けた甲斐があったな?!」とニンマリしちゃう。で、15回目に関しては、学生へのフィードバックが出来ないので、嬉しかったコメントをBlogに残しておくことにしよう。
最初、キャリアデザインと聞いて、安定した職業とか聞かされるのかなぁと思っていましたが、いざやってみると自分のことの分析や生き方などが勉強できておもしろかったです。生き方、というか新しい考え方や見方が身に付いたし、すごくためになったなと感じます。ありがとうございました。
多くの学生は、キャリアデザインと聞いた瞬間、「安定した仕事に就くためのお説教をされるんじゃ…」なんて想像するんじゃないかな?
教育学部に入ったからには、教師になろうと思って過ごしていたけど、その他の道もあるんだということを教えてもらえた授業でした。自分と向きあい、自分がやりたいことは何か、興味をひかれるものは何かを探すとともに、様々な人と出会い、自分の知らない世界に飛び込むような、そんな大学生活にしたいと思います。ありがとうございました。
これまでの授業を通して教員しか頭に無かった自分からの脱却が出来たのかと思います。本当に教員になりたいのか、どうして教員なのかあらためて見直していきたいと思いますし、一般企業も視野に入れつつ今後のキャリアを考えていきたいです。
教育学部に限らず、専門性を学ぶ学部に入った学生は“その仕事に就くコト自体”が目的になってしまうケースも少なくないと思う。この感想を書いてくれた学生がどんなキャリアを歩むのかは分からないけれど、もし先生になったとしたら、きっといい先生になってくれるんじゃないだろうか!?
15回の授業、ありがとうございました!先生のお話してくれた授業の内容は、ぶっちゃけ他の必須科目よりもずっと役に立つと思いました(先生の話し方が、すごくフレンドリーで好きです)。私はやりたいことも分からず、将来のビジョンなんてまったくないままこの学校に入り、なんとなく毎日すごしていました。けれど、世の中の会社のこと、自分の良い所、いろんな働く人の声がわかるこの授業は、私にとって新鮮で、すごくためになりました。
15回授業を学んで感じたことは、大学生の自分、もっと色んな事を体験して視野や価値観のバリエーション多くすべきだなと感じます。学生のうちに、年代の違う人や様々な人と関わり、コミュニケーションをとることで、自分以外の存在や、世の中について学び、社会に出た時への成長の一歩になると思う。一度きりの人生なんだから、やっぱり楽しまなきゃな、死んだ時になんだかんだ幸せかもと思って、目を瞑れる人生にしたいと思います。私は私ありがとうございました
この授業を15回通して受けてみて、自分の人生について考えることがこれまでよりもずっと多くなったし、自分自身で考えてみることの大切さを知ることができたと思います。働き方なども含め、自分がこれからの人生をどのように生きていくのか、自分にとって何が正解かを自分自身で決めていくこと、それに向かって自分から動くこと、自分なりに努力することを忘れずに、日々を有意義なものに過ごしていきたいと思います。
自分が本当にやりたいことをするのは難しいことだとずっと思っていた。けれど、難しくしているのは、本当にやりたいこと以外の他の欲(世間体や今あるものを失う不安感)で、そのために我慢はしたくない。どうするべきなんだろう?と考えると人生はつくづく難しい。どうにだってなるから。けれど、自分がどうしたいのか、常に向き合ってそのための必要な努力をとことんすることが、やりたいことに近づけると思った。
今回の講義で感じたことは、答えのない問いに対して果敢に向かっていきたい。世界は答えのない問だらけなのに、学校は答えのある問題しかやらない。やはり、教員になる人間としても答えのない問いに対してどのようなアプローチの仕方があるか、これは様々な経験を通して学べるものだと思います。だから、大学生活では、多少リスクを犯してまでも色々なことにチャレンジしていきたい。
この授業は後期の授業で一番楽しみな授業だった。授業を受ける度に自分の考え方に変化が起きているのを実感できた。
この15回の授業は他の授業とは全く違うもので、あらためて自分について考えることが出来る貴重な時間でした。自分のキャリアについてもっと考えていきたいです。
こんなコメントをくれた学生たちに、「こちらこそありがとう!!」と言いたいね。
Thank you !!
※昨日の日本平と愛用のロードバイク。本文とは関係ありません。
2018年08月16日
働くということ
〜 黒井千次 著 〜
「衣食住が満たされていたら、あなたは働きますか?」。私がキャリア支援セミナーやカウンセリングでよく聴く質問だが、あなただったら何と答えるだろう。
「えっ、お金があるのになぜ働くの?」という“働かない派”も少なくないけれど、同じ“働く派”でも「社会に貢献したい」「成長したい」という人から「暇になると人間堕落するし…」「世間体もあるしなぁ…」等々、働く目的は様々だ。
ということで、説得力のある答えを求め続ける中で出会った一つがこの本。黒井千次氏の著書『働くということ』。
黒岩氏は1932年生まれ。1955年に富士重工(現SUBARU)入社、1970年に同社を退社するまでの15年の会社員としての体験を振り返り、氏の考える『働くということ』の意味と意義をまとめた書籍だ。実社会を目前にした大学生に向けて書かれた様だけど、正直、1982年3月の初版から36年も経っているので、「あまり参考にはならないんじゃないか?」と疑心暗鬼で読みはじめたのだが…。
入社前は、イメージする小説家となるため、実社会で生きる最初の数年を会社員として過ごそうという、ある種不純な動機でスタートした会社員生活。それが、実際に働き出してみると、次第に“会社の仕事が自分の内部に入り込んできて、与えられた仕事が単に与えられたものにとどまらず、我を忘れている瞬間があることに気づいてく”という実体験に基づく心の変遷が、読む人を惹きつける。
「社会・経済環境が変わっても、働くことの本質が大きく変わる訳じゃないのかもな~!?」などと感じつつ、一気に読破した。
目次を見ると、“仕事が自分の中に入るまで”“人は金のみのために働くのか”“会社員は職業か”“企業意識と職業意識”“働くことと遊ぶこと”なんて文書が並んでる。「どんなことが書いてあるんだろう?」とちょっとでも興味を持ってくれたのであれば、是非、手に取って読んでみて欲しい。
お奨めです!!
「衣食住が満たされていたら、あなたは働きますか?」。私がキャリア支援セミナーやカウンセリングでよく聴く質問だが、あなただったら何と答えるだろう。
「えっ、お金があるのになぜ働くの?」という“働かない派”も少なくないけれど、同じ“働く派”でも「社会に貢献したい」「成長したい」という人から「暇になると人間堕落するし…」「世間体もあるしなぁ…」等々、働く目的は様々だ。
ということで、説得力のある答えを求め続ける中で出会った一つがこの本。黒井千次氏の著書『働くということ』。
黒岩氏は1932年生まれ。1955年に富士重工(現SUBARU)入社、1970年に同社を退社するまでの15年の会社員としての体験を振り返り、氏の考える『働くということ』の意味と意義をまとめた書籍だ。実社会を目前にした大学生に向けて書かれた様だけど、正直、1982年3月の初版から36年も経っているので、「あまり参考にはならないんじゃないか?」と疑心暗鬼で読みはじめたのだが…。
入社前は、イメージする小説家となるため、実社会で生きる最初の数年を会社員として過ごそうという、ある種不純な動機でスタートした会社員生活。それが、実際に働き出してみると、次第に“会社の仕事が自分の内部に入り込んできて、与えられた仕事が単に与えられたものにとどまらず、我を忘れている瞬間があることに気づいてく”という実体験に基づく心の変遷が、読む人を惹きつける。
「社会・経済環境が変わっても、働くことの本質が大きく変わる訳じゃないのかもな~!?」などと感じつつ、一気に読破した。
目次を見ると、“仕事が自分の中に入るまで”“人は金のみのために働くのか”“会社員は職業か”“企業意識と職業意識”“働くことと遊ぶこと”なんて文書が並んでる。「どんなことが書いてあるんだろう?」とちょっとでも興味を持ってくれたのであれば、是非、手に取って読んでみて欲しい。
お奨めです!!
2018年07月04日
未来をつくるキャリアの授業
~ 最短距離で希望の人生を手に入れる! 渡辺 秀和 著~
「本の帯」にある“東京大学が使用する「キャリアデザイン」の教科書”のコピーにつられて読んでみた。
この本を端的に説明するのであれば、“経営企画、営業、経理・財務、人事等々の文系エグゼクティブ向けの転職指南書”かな…。著者の渡辺秀和氏は、コンコードエグゼクティブグループという人材紹介会社のCEOだという事もあってか、労働市場の変化とそれに伴う内・外資企業の採用に関するスタンス、および人材紹介、ヘッドハンティング、就活関連メディアの特性・利用方法等々がポイントを押さえて的確に書かれている。
転職を考えるみなさんには、「読んでみたら…!!」とお勧めしたいし、アマゾンンのレビューで「キャリアはこういう事が知りたかった」「希望の人生を手に入れたいすべての学生にお薦め」等の好意的なコメントが並ぶのも頷ける。
とはいえ、勉強は出来るかもしれないけれど社会人経験の無い東大生がキャリアデザインの授業を受講した際、「この本(教科書)から何を学ぶのだろう?」という興味(疑問)も湧いてくる。
本書では、「“キャリアデザイン”とは、単に年収アップや有名企業に転職することではない」と謳ってはいるけれど…。読み間違えて「この本に書かれた定石のレールに乗せられていることに気づかぬまま、単にリスク回避の術を習得しただけ!?」なんてコトにならなきゃいいけど等、いらん心配をしてしまう。
特に、第5章の起業についてのくだり…。 “手堅く、安全に「起業」する”方法として、「(コンサルティングファームやベンチャーキャピタルをはじめとするプロフェッショナルファームで)戦略コンサルティング経験を積んで起業するコトがリスク回避に役立つ」等の記述を読む中、「確かにリスクは減るかもしれないけれど、起業する上で“もっと大切なコト”があるんじゃないの?」などと思えてしまう。
中身も濃くてとってもいい本だけど、「“キャリアデザイン”の教科書じゃなく、参考資料としての利用だったらアリかな?!」と思った一冊でした。
「本の帯」にある“東京大学が使用する「キャリアデザイン」の教科書”のコピーにつられて読んでみた。
この本を端的に説明するのであれば、“経営企画、営業、経理・財務、人事等々の文系エグゼクティブ向けの転職指南書”かな…。著者の渡辺秀和氏は、コンコードエグゼクティブグループという人材紹介会社のCEOだという事もあってか、労働市場の変化とそれに伴う内・外資企業の採用に関するスタンス、および人材紹介、ヘッドハンティング、就活関連メディアの特性・利用方法等々がポイントを押さえて的確に書かれている。
転職を考えるみなさんには、「読んでみたら…!!」とお勧めしたいし、アマゾンンのレビューで「キャリアはこういう事が知りたかった」「希望の人生を手に入れたいすべての学生にお薦め」等の好意的なコメントが並ぶのも頷ける。
とはいえ、勉強は出来るかもしれないけれど社会人経験の無い東大生がキャリアデザインの授業を受講した際、「この本(教科書)から何を学ぶのだろう?」という興味(疑問)も湧いてくる。
本書では、「“キャリアデザイン”とは、単に年収アップや有名企業に転職することではない」と謳ってはいるけれど…。読み間違えて「この本に書かれた定石のレールに乗せられていることに気づかぬまま、単にリスク回避の術を習得しただけ!?」なんてコトにならなきゃいいけど等、いらん心配をしてしまう。
特に、第5章の起業についてのくだり…。 “手堅く、安全に「起業」する”方法として、「(コンサルティングファームやベンチャーキャピタルをはじめとするプロフェッショナルファームで)戦略コンサルティング経験を積んで起業するコトがリスク回避に役立つ」等の記述を読む中、「確かにリスクは減るかもしれないけれど、起業する上で“もっと大切なコト”があるんじゃないの?」などと思えてしまう。
中身も濃くてとってもいい本だけど、「“キャリアデザイン”の教科書じゃなく、参考資料としての利用だったらアリかな?!」と思った一冊でした。
2018年05月06日
女性に伝えたい 未来が変わる働き方
〜 野村浩子 著 〜
元“日経WOMAN”編集長でもある著者の野村氏が、男女雇用機会均等法施行(1986年)後の30年を振り返りつつ、新しい時代の「働き方」「生き方」を探るという本。
日頃から、「“女性の働き方”を一括りになんか出来ないよ〜!?」と思っている私ではありますが、雇均法施行とほぼ同時期の1984年に職業人生のスタートを切った野村氏が、この30年をどの様に見ているのか、興味津々で読んでみました。
結論から言ってしまうと、「とっても良い本!」でした。働き方は十人十色ではありますが、仕事との付き合い方を解りやすく分類・分析しているので、とても読みやすいし腹落ちする内容でした。章立てを見ると、「女性をどんな風に分類しているか?」「全体がどんな構成になっているか?」が推察出来ると思うので、備忘録代わりに以下に目次を記載しておきます。
第1章 仕事と子育て両立編:“残業できる人、できない人”“家事・育児を手放せない人、任せられる人”
第2章 ライフコース編:“専業主婦か、キャリア女性か”“扶養枠を超える人、超えない人”“子どものいる人、いない人”
第3章 働く女性の30年(A面・正社員):“総合職か、一般職か”“雇均法施行から30年、どう変わったか?”
第4章 働く女性の30年(B面・非正規女子):“非正規で働く女性”“シングルマザー”
第5章 キャリア編:“管理職になりたい人、なりたくない人”“女性起業家”
第6章 これからの働き方、生き方を探る:“2極化の時代に、どう働くか”
タイトルには、“女性に伝えたい”とありますが、女性だけで仕事をする訳じゃ無いんだし…。仕事仲間や配偶者としての役割を担う立場でもある“男性”、従業員と雇用契約を結ぶ立場にある“経営者”、働き方改革の旗振り役である“政治家やお役人”のみなさんにも、読んでもらいたいと思った本でした。
元“日経WOMAN”編集長でもある著者の野村氏が、男女雇用機会均等法施行(1986年)後の30年を振り返りつつ、新しい時代の「働き方」「生き方」を探るという本。
日頃から、「“女性の働き方”を一括りになんか出来ないよ〜!?」と思っている私ではありますが、雇均法施行とほぼ同時期の1984年に職業人生のスタートを切った野村氏が、この30年をどの様に見ているのか、興味津々で読んでみました。
結論から言ってしまうと、「とっても良い本!」でした。働き方は十人十色ではありますが、仕事との付き合い方を解りやすく分類・分析しているので、とても読みやすいし腹落ちする内容でした。章立てを見ると、「女性をどんな風に分類しているか?」「全体がどんな構成になっているか?」が推察出来ると思うので、備忘録代わりに以下に目次を記載しておきます。
第1章 仕事と子育て両立編:“残業できる人、できない人”“家事・育児を手放せない人、任せられる人”
第2章 ライフコース編:“専業主婦か、キャリア女性か”“扶養枠を超える人、超えない人”“子どものいる人、いない人”
第3章 働く女性の30年(A面・正社員):“総合職か、一般職か”“雇均法施行から30年、どう変わったか?”
第4章 働く女性の30年(B面・非正規女子):“非正規で働く女性”“シングルマザー”
第5章 キャリア編:“管理職になりたい人、なりたくない人”“女性起業家”
第6章 これからの働き方、生き方を探る:“2極化の時代に、どう働くか”
タイトルには、“女性に伝えたい”とありますが、女性だけで仕事をする訳じゃ無いんだし…。仕事仲間や配偶者としての役割を担う立場でもある“男性”、従業員と雇用契約を結ぶ立場にある“経営者”、働き方改革の旗振り役である“政治家やお役人”のみなさんにも、読んでもらいたいと思った本でした。
2018年03月31日
キャリアを手放す勇気
〜石井てる美 著〜
仕事柄、『キャリアを手放す勇気』というタイトルに惹かれて手に取ってみた。
著者は、東大大学院卒・マッキンゼーを経てお笑い芸人に転身した石井てる美氏。とはいえ、私は石井氏がどんな芸人なのか(ヒラリー・クリントンのモノマネをやっていること位は知っていた)も知らないし、実はそれほど内容に期待していたわけではなかったのだが…。
就活時、他の多くの東大生と同じ様に一流企業を受験。結果、「目指すべきはそのトップ集団」という価値観のもとマッキンゼーというステータスの権化の様な超一流企業の内定を得、職業人生のスタートを切る。
受験、進学、就職、いろんなことがたまたまうまくいき、どんなことも「頑張ればどうにかなる」と思い込んでいたものの、マッキンゼーでの仕事で初めて超えられない壁にぶつかり、「車がひいてくれたらいいのに…」と思うまでに追い詰められる。
その後、マッキンゼーを辞める決断をし、お笑い芸人を目指すことになるわけだが…。マッキンゼーを辞めて6・7年くらいは、後悔こそしないものの、悩みもがきながら生きてきた石井氏。お笑い芸人になって「心からよかった」「決断は正しかった」と思える様になったのはここ1・2年だとのこと。
そんな今だって、翻訳のアルバイトをしながらの芸人生活をしている石井氏を見て「もったいない」という人もいるのかもしれないが、私には石井氏がとっても輝いて見える。
ということで、予想を裏切り「キャリアのコトを真面目に語る、とっても良い本」でした。
※注:2013年7月に発行された「マッキンゼーを辞めた理由」を加筆・修正し文庫化した本。
仕事柄、『キャリアを手放す勇気』というタイトルに惹かれて手に取ってみた。
著者は、東大大学院卒・マッキンゼーを経てお笑い芸人に転身した石井てる美氏。とはいえ、私は石井氏がどんな芸人なのか(ヒラリー・クリントンのモノマネをやっていること位は知っていた)も知らないし、実はそれほど内容に期待していたわけではなかったのだが…。
就活時、他の多くの東大生と同じ様に一流企業を受験。結果、「目指すべきはそのトップ集団」という価値観のもとマッキンゼーというステータスの権化の様な超一流企業の内定を得、職業人生のスタートを切る。
受験、進学、就職、いろんなことがたまたまうまくいき、どんなことも「頑張ればどうにかなる」と思い込んでいたものの、マッキンゼーでの仕事で初めて超えられない壁にぶつかり、「車がひいてくれたらいいのに…」と思うまでに追い詰められる。
その後、マッキンゼーを辞める決断をし、お笑い芸人を目指すことになるわけだが…。マッキンゼーを辞めて6・7年くらいは、後悔こそしないものの、悩みもがきながら生きてきた石井氏。お笑い芸人になって「心からよかった」「決断は正しかった」と思える様になったのはここ1・2年だとのこと。
そんな今だって、翻訳のアルバイトをしながらの芸人生活をしている石井氏を見て「もったいない」という人もいるのかもしれないが、私には石井氏がとっても輝いて見える。
ということで、予想を裏切り「キャリアのコトを真面目に語る、とっても良い本」でした。
※注:2013年7月に発行された「マッキンゼーを辞めた理由」を加筆・修正し文庫化した本。
2018年03月16日
社員ゼロ!会社は「1人」で経営しなさい
〜山本憲明 著〜
『社員ゼロ!会社は「1人」で経営しなさい』というタイトルに惹かれて読んでみた。
日本の総人口・生産年齢人口共に減少を続けていく中、経済規模が縮小していくことは避けられない。また、周囲を見渡せば、「安定している!!」と思われていた大企業が合併したり、外資の傘下に入ったり、はたまた倒産したりと、大企業にしがみつく働き方が現実的ではなくなってきている。
そんな中、この本は、税理士・経営コンサルタントでもある著者が、自身の経験に基づき、「緩やかな衰退を前向きに生きるには“一人親方がおすすめ!”」と提唱している。時代を俯瞰的に見ての内容だし、何より著者自身が実践していることをベースに書いているので、説得力がある。
ちょっとだけ気になったのは、「会社経営のポイントは“維持”することであり“成長”することを考えるな」という趣旨の著述。“維持”が重要だということに異論は無いけれど、自分にちょうどいいボリュームでの“維持”は決して楽じゃない。というか、そんなに都合よくコトは進みません(私の実感…汗)。
タイトルに惹かれて読んだけど、内容的には『フリーランスの心得!!』ですね。とはいえ、内容も想像どおりの良書でした…。
現在、どこかの会社で働いているけれど、「このままでいいんだろうか?!」などと悶々としている方にお勧めです。
『社員ゼロ!会社は「1人」で経営しなさい』というタイトルに惹かれて読んでみた。
日本の総人口・生産年齢人口共に減少を続けていく中、経済規模が縮小していくことは避けられない。また、周囲を見渡せば、「安定している!!」と思われていた大企業が合併したり、外資の傘下に入ったり、はたまた倒産したりと、大企業にしがみつく働き方が現実的ではなくなってきている。
そんな中、この本は、税理士・経営コンサルタントでもある著者が、自身の経験に基づき、「緩やかな衰退を前向きに生きるには“一人親方がおすすめ!”」と提唱している。時代を俯瞰的に見ての内容だし、何より著者自身が実践していることをベースに書いているので、説得力がある。
ちょっとだけ気になったのは、「会社経営のポイントは“維持”することであり“成長”することを考えるな」という趣旨の著述。“維持”が重要だということに異論は無いけれど、自分にちょうどいいボリュームでの“維持”は決して楽じゃない。というか、そんなに都合よくコトは進みません(私の実感…汗)。
タイトルに惹かれて読んだけど、内容的には『フリーランスの心得!!』ですね。とはいえ、内容も想像どおりの良書でした…。
現在、どこかの会社で働いているけれど、「このままでいいんだろうか?!」などと悶々としている方にお勧めです。
2018年03月07日
就職相談から見える学生のマインド
~静大発“ふじのくに”創生シンポジウムにて~
去る3月2日、静大発“ふじのくに”創生シンポジウム『学生の地元就業・定着支援の方策を探る』のプログラムの中で、基調報告の機会をいただいた。当日、お話しした内容を備忘録替わりにまとめてみた。
※基調報告のタイトル『就職相談から見える学生のマインド』は、静岡大学の就職相談業務に携わっていることから付けられたものである。
■ 自己紹介~起業のきっかけ
私がキャリア・クリエイトを興したのは、2002年2月。前職で再就職支援事業に携わる中、リストラの対象となった上場企業の社員が「こんなハズじゃなかった…」と肩を落とすのを見て、「次世代の若者にこんな思いをさせちゃいけない!」と思ったことがキッカケだ。
起業した年の7月、厚労省の諮問機関である「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書が公表された。以下がその前文だ。
経済社会環境が急激に変化し続け、予測のつかない不透明な時代となり、労働者、個人は一回限りの職業人生を、他人任せにして、大過なく過ごせる状況ではなくなってきた。
すなわち、自分の人生を、どう構想し実行していくか、また、現在の変化にどう対応すべきか、各人自ら答えを出さなければならない状況となってきている。
この報告書が発表される5年程前から労働市場の現場で再就職支援事業に携わっていた私にとっては、「何をいまさら…」と感じさせる内容だったが、厚労省発の報告であることに日本の労働政策の大きな転換点だと感じたことを覚えている。また、ひねくれ者の私は「各人自ら答えを出さなければならない…」という表現に、「自分の人生に自らが答えを出すのは当たり前の話!?そもそも、今までがおかしかったんじゃない?!」とも感じた。
現在の日本は、この報告書が発表された当時と比べ、より自律を求める社会になっていると考えていいだろう。この報告書は、私が物事の判断をする上での“前提”だ。
■ 就職相談業務を通して感じること
現在、大学での就職相談業務に携わる中、非常に多い相談が「私のES添削してください」「模擬面接をお願いします」。就職相談の看板を掲げているのだから、当然のニーズではあるのだが、アドバイスする私として困ってしまうケースは少なくない。
ESについては、何を伝えたくて書いた書類なのかが見えてこない。圧倒的に多いのが『過去アピールの書類』、アピールすること自体は何ら問題ないのだが、「過去をアピールして、相手に何を伝えたいのか?」が見えてこない。
面接について言えば、「コレを聴かれたら、何て答えればいいですか?」という質問が多い。質問者の意図と自身の思惑によって答えは違ってくるはずなのだが、自身の思惑自体が希薄なケースが圧倒的に多い。
ESや面接の指導を通して、「多くの学生は“内定の獲得”のみを目的としているのかも…」と感じる。漠然と「大きな会社・安定した会社の内定を得たい」「地元で就職したい」、はたまた「出来れば社会に出たくない」「人並の生活が出来れば多くは望んでない」等は考えているが、自分の将来を俯瞰するという視点は持てていない(私もそうだった様に…汗)。
アドバイスする側も、「“内定を得た後のコトを考えるキッカケを与える”ことを意識する必要があるよな~」と感じる。
■ ある高校教師からの手紙
とはいえ、学生たちが「内定を得るコトだけを目的にする」のも無理はない。何年か前、高校の進路指導の先生たちに”社会経済環境の変化とキャリアの関連”についてお話しさせていただく機会があり、その時話を聴いてくださったある先生からご丁寧な手紙をいただいた。手紙の内容は、「学生は、現状に満足している」「高度成長期ならいざ知らず、何でもそろっているこの時代に、彼らに何を目指せと言えばいいのでしょう…」といったモノだった。
「確かにそうだよな~」と思った。ただ、現実を考えると「現状を維持するだけでもかなりの努力が必要なんじゃないの?!」とも思う。経済的な側面から考えたら「日本の一人あたりのGDPは、先進諸国の中で万年下位に低迷」している。このまま、少子高齢化が進んでいけばこの状況はますます悪化していくハズだ。日本の社会では、「付加価値が上がらなければ、収入も増えないし経済的に豊かな生活はおくれない」という当たり前の事実が共有されていないコトが問題だ。
実は、目指すものなく生きてきたのは、学生だけじゃない。かつて再就職支援の現場でサポートしたビジネスマンは、「こんなハズじゃなかった(じゃ~、どんなハズだったんだろう?)」と言っていた。もうすぐ還暦を迎える私の同輩の中にも、「もう仕事したくない!!」と定年を楽しみにしている輩は少なくない。
多くの日本人が、「”知らない誰かのために人生を歩んできた”のかもしれない?!」などと、ふと考えてしまう。
■ シューカツとは…
就活(大学生活)とは、“自身の人生をどう生きるのかを考える機会”なんだと思う。キーワードとしては、業種・職種、規模や安定性、地域(エリア)etc…が挙げられるだろう。その際、『自分の人生を自分のために生きる(働く)』という視点を忘れないで欲しい。
また、どう生きるかを考える際には、内省するだけじゃなく、社会・経済環境や自身の周囲の変化に興味を持ち、生きた情報を得るコトが大切だと思う。
「情報源がどこなのか?」も重要なポイントだ。たぶん、学校の先生・父兄他、周囲の大人たちがみんなのコトを心配していろいろなアドバイスをしてくれると思う。親切なアドバイスには感謝の気持ちを持って対応して欲しいと思うが、それをどう判断するかの“決定者は自分自身”であることを忘れないように…!!
先日、大学主催の就活父兄相談会で、あるお父さんから「私は商社勤めで苦労してきました。娘には、苦労させたくない。大きな工場の事務の仕事は無いでしょうか?」という相談があった。私なりの答えは返したつもりだが、現実に疎い大人が少なくないことも知っておく必要がある。
ここで、私が担当する大学の授業で、「日本的雇用慣行が崩壊しつつある中、どんな働き方・生き方をしたいか?」と問うた際の学生からのレポート2例を紹介したい。
<例1>
私は安定した会社に就業し生活していきたいと考えます。授業で、大きいと安定はイコールで無いと学びましたが、親からできるだけ大きくて安定した会社に入って欲しいと育てられ、また地域のコミュニティーなどでも、大きくて安定した会社に入った子は優秀であるとよく耳にします。
大きな会社に入った方が、社会的評価は高いと考えます。そのため、私は不安や心配の少ない上記の様な会社を希望し、生きていきたいと考えます。
<例2>
“雇用の流動化”が進むということは、私たち労働者にとって自由が増えるとともに、より一層自身の選択の重要性が高まると思います。そのため、私は自分の好きなことを仕事にしたいという思いがより強くなりました。
これからの時代、大手企業に就職すれば安泰だという時代でも無くなってくると思うので、“どこの会社に入りたい”ということよりも、何を仕事にするのかということをもっと良く考えた方が良いのかなと思いました。
同じ授業を受けても、感じ方・捉え方は人それぞれ。どんな選択をしてもよいけれど、「自分で決める!」というスタンスを忘れないで欲しい。
■ 自分のために働く〜静岡で働くということ
本日のテーマが「学生の地元就業・定着支援の方策を探る」なので、地域というキーワードに絞って話をしたい。
就職相談の現場、および実際の採用試験の場面で「静岡が大好き!!」「静岡に恩返ししたい!!」という学生は少なくない。私はちょっぴり意地悪なので、ついつい「ほかの地域で生活したことないのに、何故、静岡が好きだってわかるの?」「恩返し、10年早いんじゃない?」などと質問してしまうことがある。
実は、親元で暮らしたかったり、地元の友人と離れたくないという理由であることは少なくない(それはそれで良いけれど、面接官にとって重要な話ではない)。
職業人生のスタートを切るにあたって、第一に「自分のために働く!」「自分で決める(親に忖度しない)!」を意識して欲しい。チャレンジしたい仕事があるんだったら、都会に出てみるのも良いし、もちろん静岡で働くんでもOKだ。ただし、“静岡(地元)で働くことを目的化”して欲しくない。
また、支援する側は、地元就業・定着支援に際し“若者の側に立った視点”で実施することが大切だ。
街や会社の付加価値を上げるには、そこに住まう人の“数”よりも“質”が重要なんだと思う。ひとりひとりが“自分のために働けば、街や会社の付加価値は上がっていく”。「いきいき働きたい!」「生活を楽しもう!」という人が増えれば、街は自然と元気になるハズだ。一度、地元を出た人が「戻ってきたい!」「地元に恩返ししたい!!」と思った際の雇用の受け皿づくりだって出来るだろう。
そういった意味で、静岡で活き活き暮らしたい若者が増えるのは大歓迎だ!!
最後に…、一度きりの人生を「こんなハズじゃなかった」としないためにも、自ら答えを出して欲しい。
去る3月2日、静大発“ふじのくに”創生シンポジウム『学生の地元就業・定着支援の方策を探る』のプログラムの中で、基調報告の機会をいただいた。当日、お話しした内容を備忘録替わりにまとめてみた。
※基調報告のタイトル『就職相談から見える学生のマインド』は、静岡大学の就職相談業務に携わっていることから付けられたものである。
■ 自己紹介~起業のきっかけ
私がキャリア・クリエイトを興したのは、2002年2月。前職で再就職支援事業に携わる中、リストラの対象となった上場企業の社員が「こんなハズじゃなかった…」と肩を落とすのを見て、「次世代の若者にこんな思いをさせちゃいけない!」と思ったことがキッカケだ。
起業した年の7月、厚労省の諮問機関である「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書が公表された。以下がその前文だ。
経済社会環境が急激に変化し続け、予測のつかない不透明な時代となり、労働者、個人は一回限りの職業人生を、他人任せにして、大過なく過ごせる状況ではなくなってきた。
すなわち、自分の人生を、どう構想し実行していくか、また、現在の変化にどう対応すべきか、各人自ら答えを出さなければならない状況となってきている。
この報告書が発表される5年程前から労働市場の現場で再就職支援事業に携わっていた私にとっては、「何をいまさら…」と感じさせる内容だったが、厚労省発の報告であることに日本の労働政策の大きな転換点だと感じたことを覚えている。また、ひねくれ者の私は「各人自ら答えを出さなければならない…」という表現に、「自分の人生に自らが答えを出すのは当たり前の話!?そもそも、今までがおかしかったんじゃない?!」とも感じた。
現在の日本は、この報告書が発表された当時と比べ、より自律を求める社会になっていると考えていいだろう。この報告書は、私が物事の判断をする上での“前提”だ。
■ 就職相談業務を通して感じること
現在、大学での就職相談業務に携わる中、非常に多い相談が「私のES添削してください」「模擬面接をお願いします」。就職相談の看板を掲げているのだから、当然のニーズではあるのだが、アドバイスする私として困ってしまうケースは少なくない。
ESについては、何を伝えたくて書いた書類なのかが見えてこない。圧倒的に多いのが『過去アピールの書類』、アピールすること自体は何ら問題ないのだが、「過去をアピールして、相手に何を伝えたいのか?」が見えてこない。
面接について言えば、「コレを聴かれたら、何て答えればいいですか?」という質問が多い。質問者の意図と自身の思惑によって答えは違ってくるはずなのだが、自身の思惑自体が希薄なケースが圧倒的に多い。
ESや面接の指導を通して、「多くの学生は“内定の獲得”のみを目的としているのかも…」と感じる。漠然と「大きな会社・安定した会社の内定を得たい」「地元で就職したい」、はたまた「出来れば社会に出たくない」「人並の生活が出来れば多くは望んでない」等は考えているが、自分の将来を俯瞰するという視点は持てていない(私もそうだった様に…汗)。
アドバイスする側も、「“内定を得た後のコトを考えるキッカケを与える”ことを意識する必要があるよな~」と感じる。
■ ある高校教師からの手紙
とはいえ、学生たちが「内定を得るコトだけを目的にする」のも無理はない。何年か前、高校の進路指導の先生たちに”社会経済環境の変化とキャリアの関連”についてお話しさせていただく機会があり、その時話を聴いてくださったある先生からご丁寧な手紙をいただいた。手紙の内容は、「学生は、現状に満足している」「高度成長期ならいざ知らず、何でもそろっているこの時代に、彼らに何を目指せと言えばいいのでしょう…」といったモノだった。
「確かにそうだよな~」と思った。ただ、現実を考えると「現状を維持するだけでもかなりの努力が必要なんじゃないの?!」とも思う。経済的な側面から考えたら「日本の一人あたりのGDPは、先進諸国の中で万年下位に低迷」している。このまま、少子高齢化が進んでいけばこの状況はますます悪化していくハズだ。日本の社会では、「付加価値が上がらなければ、収入も増えないし経済的に豊かな生活はおくれない」という当たり前の事実が共有されていないコトが問題だ。
実は、目指すものなく生きてきたのは、学生だけじゃない。かつて再就職支援の現場でサポートしたビジネスマンは、「こんなハズじゃなかった(じゃ~、どんなハズだったんだろう?)」と言っていた。もうすぐ還暦を迎える私の同輩の中にも、「もう仕事したくない!!」と定年を楽しみにしている輩は少なくない。
多くの日本人が、「”知らない誰かのために人生を歩んできた”のかもしれない?!」などと、ふと考えてしまう。
■ シューカツとは…
就活(大学生活)とは、“自身の人生をどう生きるのかを考える機会”なんだと思う。キーワードとしては、業種・職種、規模や安定性、地域(エリア)etc…が挙げられるだろう。その際、『自分の人生を自分のために生きる(働く)』という視点を忘れないで欲しい。
また、どう生きるかを考える際には、内省するだけじゃなく、社会・経済環境や自身の周囲の変化に興味を持ち、生きた情報を得るコトが大切だと思う。
「情報源がどこなのか?」も重要なポイントだ。たぶん、学校の先生・父兄他、周囲の大人たちがみんなのコトを心配していろいろなアドバイスをしてくれると思う。親切なアドバイスには感謝の気持ちを持って対応して欲しいと思うが、それをどう判断するかの“決定者は自分自身”であることを忘れないように…!!
先日、大学主催の就活父兄相談会で、あるお父さんから「私は商社勤めで苦労してきました。娘には、苦労させたくない。大きな工場の事務の仕事は無いでしょうか?」という相談があった。私なりの答えは返したつもりだが、現実に疎い大人が少なくないことも知っておく必要がある。
ここで、私が担当する大学の授業で、「日本的雇用慣行が崩壊しつつある中、どんな働き方・生き方をしたいか?」と問うた際の学生からのレポート2例を紹介したい。
<例1>
私は安定した会社に就業し生活していきたいと考えます。授業で、大きいと安定はイコールで無いと学びましたが、親からできるだけ大きくて安定した会社に入って欲しいと育てられ、また地域のコミュニティーなどでも、大きくて安定した会社に入った子は優秀であるとよく耳にします。
大きな会社に入った方が、社会的評価は高いと考えます。そのため、私は不安や心配の少ない上記の様な会社を希望し、生きていきたいと考えます。
<例2>
“雇用の流動化”が進むということは、私たち労働者にとって自由が増えるとともに、より一層自身の選択の重要性が高まると思います。そのため、私は自分の好きなことを仕事にしたいという思いがより強くなりました。
これからの時代、大手企業に就職すれば安泰だという時代でも無くなってくると思うので、“どこの会社に入りたい”ということよりも、何を仕事にするのかということをもっと良く考えた方が良いのかなと思いました。
同じ授業を受けても、感じ方・捉え方は人それぞれ。どんな選択をしてもよいけれど、「自分で決める!」というスタンスを忘れないで欲しい。
■ 自分のために働く〜静岡で働くということ
本日のテーマが「学生の地元就業・定着支援の方策を探る」なので、地域というキーワードに絞って話をしたい。
就職相談の現場、および実際の採用試験の場面で「静岡が大好き!!」「静岡に恩返ししたい!!」という学生は少なくない。私はちょっぴり意地悪なので、ついつい「ほかの地域で生活したことないのに、何故、静岡が好きだってわかるの?」「恩返し、10年早いんじゃない?」などと質問してしまうことがある。
実は、親元で暮らしたかったり、地元の友人と離れたくないという理由であることは少なくない(それはそれで良いけれど、面接官にとって重要な話ではない)。
職業人生のスタートを切るにあたって、第一に「自分のために働く!」「自分で決める(親に忖度しない)!」を意識して欲しい。チャレンジしたい仕事があるんだったら、都会に出てみるのも良いし、もちろん静岡で働くんでもOKだ。ただし、“静岡(地元)で働くことを目的化”して欲しくない。
また、支援する側は、地元就業・定着支援に際し“若者の側に立った視点”で実施することが大切だ。
街や会社の付加価値を上げるには、そこに住まう人の“数”よりも“質”が重要なんだと思う。ひとりひとりが“自分のために働けば、街や会社の付加価値は上がっていく”。「いきいき働きたい!」「生活を楽しもう!」という人が増えれば、街は自然と元気になるハズだ。一度、地元を出た人が「戻ってきたい!」「地元に恩返ししたい!!」と思った際の雇用の受け皿づくりだって出来るだろう。
そういった意味で、静岡で活き活き暮らしたい若者が増えるのは大歓迎だ!!
最後に…、一度きりの人生を「こんなハズじゃなかった」としないためにも、自ら答えを出して欲しい。
2018年02月12日
江副浩正
〜馬場マコト・土屋洋 著〜
リクルート出身者でもある、馬場マコト・土屋洋 両氏が、多くの証言や膨大な資料を基に、江副浩正氏の実像をあぶり出した本。
江副氏は、多くの日本人にとって昭和のバブル期に政・財界を巻き込んで起こった贈収賄事件であるリクルート事件の主人公かもしれないが…。30余年にわたり情報ビジネス・人材ビジネスに携わってきた私にとって、江副氏は優秀な経営者という域を超えた“日本の産業構造変革を成し遂げたヒーロー”でありスペシャルな存在だ。1983年にリクルートが日軽金ビルを購入したことで、世間は大騒ぎになった。TVのニュース番組が「製造業の代表的企業である日軽金が、得体の知れない新興企業に飲み込まれた…!?」というニュアンスで報じていたことが強く印象に残っている。496頁というボリュームにもかかわらず、迫力と熱量に引き込まれて一気に読破した。
全21章のうち、前半の第11章あたりまでは、江副氏の生い立ち・東大新聞の営業をしていた学生時代から、起業・事業の多角化により成功の階段を駆け上がっていく様子が…。後半は、店頭登録に絡む疑惑報道・裁判の様子が、江副氏の心の変化を織り交ぜながら描かれている。
すべてが読みどころなので、ご興味を持たれた方には読まれることを強くお勧めしますが、以下は、私の備忘録。
前半部分で特に印象深かったのは、リクルートコスモスが快進撃を続ける中での、不動産業界のパーティーでの業界大手経営陣のやりとり。
業界のパーティーで顔を合わせた住友不動産の安藤太郎会長は、ばったり顔を合わせた三井不動産の江戸英雄相談役に思わずこう言った。
「うちでは上司の鞄持ち程度しかしていない年齢の人たちが、土地情報を入手して2,3日後に購入の結論を出している。信じられないことだ」
江戸も頷きながら返した。
「江副君という人は、旧財閥系の組織で育ったわれわれには、とうてい及びもつかない発想をする人ですね。あの時代への斬りこみ方は、大企業に身を置いた者にはとてもまねができませんよ」
江副氏の “自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ”“社員皆経営主義”の具現化を周囲の経営者が、どう視ていたかがよく解る。
後半部分で印象深かったのは、疑惑の中にあろうとも信頼できる友人の存在。その一、検察やメディアに対して、「還流株」にかかわったとの疑惑をかけられた友人のやりとり。
「初めから株の譲渡は江副の好意だ。代償など一つもない」
「だろう、俺も同じだ。江副から頼むよと言われた。だから回した。友だちの好だ」
新倉の言う通りだ。別に打算はない。菅原は日ごろ感じていることをしみじみと語った。
「彼ら(メディア)は、世間には損得とは無関係に動く人間がいるとは考えもしないんだ。人はみな、自分と同じくカネのためにしか動かないと思っている。江副の不幸は、そんなやつらににらまれたことだ」
その二、リクルートの社章・ビルのデザインから始まり、社外取締役となる亀倉雄策の存在。
亀倉は「経営とデザインの一体化」を願い、戦後の日本経済の成長とともに歩んできた。リクルートの成長もまた、亀倉のデザインとともにあった。江副は、その恩義を忘れず、ビルデザインや総合レジャー開発という新しい領域に自分の才能を導いてくれた。
そのうえに、社外取締役として経営にまで参画させてくれた。その江副が、世間からあらゆる罵詈雑言を浴び、苦しんでいる。潮が引くように、多くの人が江副と疎遠となっていくなか、立っていられないほどに消耗し自死の誘惑に耐えている。
それを放っておけるか。この男の傍らに寄り添い、最後のひとりになっても良いから彼と同じ道を歩もう。
亀倉デザイン研究所をリクルート本社ビル内に移すことに決め、江副に電話をかけた。
「大変ありがたいお申し出ですが、先生の晩年を汚すことになりかねません。お気持ちだけいただき、先生のお引っ越しはご遠慮させていただきます」
「いや、もう私は決めたんです。いまの事務所は年内で解約します」
電話を置くと、亀倉はすぐに、事務所引っ越しの案内状づくりに取り掛かった。
お互いが尊敬・信頼しあえる人に出会えることは、最高の幸せであり、何よりの財産だとつくづく感じさせる。
最後に、常に心に留めておきたいと思った一文。
江副が師と仰ぐドラッカーもまた言う。
「凡人に非凡なことをさせるのが組織の目的である」
ならば、優秀な人材がその能力をフルに発揮すれば、かなりのことができる。では、社員をそうし向けるにはどうすればいいか。組織のために働くのではなく、自分のために働く。これが個人を成長させる近道だ。そして、成長し続ける個人が集まる組織は強い。それなら、その制約は少ないほうがいい。社員が可能な限り自由に働ける制度と風土づくりをめざした。
まったく書評の体を成していませんが、とにかく良い本でした。
リクルート出身者でもある、馬場マコト・土屋洋 両氏が、多くの証言や膨大な資料を基に、江副浩正氏の実像をあぶり出した本。
江副氏は、多くの日本人にとって昭和のバブル期に政・財界を巻き込んで起こった贈収賄事件であるリクルート事件の主人公かもしれないが…。30余年にわたり情報ビジネス・人材ビジネスに携わってきた私にとって、江副氏は優秀な経営者という域を超えた“日本の産業構造変革を成し遂げたヒーロー”でありスペシャルな存在だ。1983年にリクルートが日軽金ビルを購入したことで、世間は大騒ぎになった。TVのニュース番組が「製造業の代表的企業である日軽金が、得体の知れない新興企業に飲み込まれた…!?」というニュアンスで報じていたことが強く印象に残っている。496頁というボリュームにもかかわらず、迫力と熱量に引き込まれて一気に読破した。
全21章のうち、前半の第11章あたりまでは、江副氏の生い立ち・東大新聞の営業をしていた学生時代から、起業・事業の多角化により成功の階段を駆け上がっていく様子が…。後半は、店頭登録に絡む疑惑報道・裁判の様子が、江副氏の心の変化を織り交ぜながら描かれている。
すべてが読みどころなので、ご興味を持たれた方には読まれることを強くお勧めしますが、以下は、私の備忘録。
前半部分で特に印象深かったのは、リクルートコスモスが快進撃を続ける中での、不動産業界のパーティーでの業界大手経営陣のやりとり。
業界のパーティーで顔を合わせた住友不動産の安藤太郎会長は、ばったり顔を合わせた三井不動産の江戸英雄相談役に思わずこう言った。
「うちでは上司の鞄持ち程度しかしていない年齢の人たちが、土地情報を入手して2,3日後に購入の結論を出している。信じられないことだ」
江戸も頷きながら返した。
「江副君という人は、旧財閥系の組織で育ったわれわれには、とうてい及びもつかない発想をする人ですね。あの時代への斬りこみ方は、大企業に身を置いた者にはとてもまねができませんよ」
江副氏の “自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ”“社員皆経営主義”の具現化を周囲の経営者が、どう視ていたかがよく解る。
後半部分で印象深かったのは、疑惑の中にあろうとも信頼できる友人の存在。その一、検察やメディアに対して、「還流株」にかかわったとの疑惑をかけられた友人のやりとり。
「初めから株の譲渡は江副の好意だ。代償など一つもない」
「だろう、俺も同じだ。江副から頼むよと言われた。だから回した。友だちの好だ」
新倉の言う通りだ。別に打算はない。菅原は日ごろ感じていることをしみじみと語った。
「彼ら(メディア)は、世間には損得とは無関係に動く人間がいるとは考えもしないんだ。人はみな、自分と同じくカネのためにしか動かないと思っている。江副の不幸は、そんなやつらににらまれたことだ」
その二、リクルートの社章・ビルのデザインから始まり、社外取締役となる亀倉雄策の存在。
亀倉は「経営とデザインの一体化」を願い、戦後の日本経済の成長とともに歩んできた。リクルートの成長もまた、亀倉のデザインとともにあった。江副は、その恩義を忘れず、ビルデザインや総合レジャー開発という新しい領域に自分の才能を導いてくれた。
そのうえに、社外取締役として経営にまで参画させてくれた。その江副が、世間からあらゆる罵詈雑言を浴び、苦しんでいる。潮が引くように、多くの人が江副と疎遠となっていくなか、立っていられないほどに消耗し自死の誘惑に耐えている。
それを放っておけるか。この男の傍らに寄り添い、最後のひとりになっても良いから彼と同じ道を歩もう。
亀倉デザイン研究所をリクルート本社ビル内に移すことに決め、江副に電話をかけた。
「大変ありがたいお申し出ですが、先生の晩年を汚すことになりかねません。お気持ちだけいただき、先生のお引っ越しはご遠慮させていただきます」
「いや、もう私は決めたんです。いまの事務所は年内で解約します」
電話を置くと、亀倉はすぐに、事務所引っ越しの案内状づくりに取り掛かった。
お互いが尊敬・信頼しあえる人に出会えることは、最高の幸せであり、何よりの財産だとつくづく感じさせる。
最後に、常に心に留めておきたいと思った一文。
江副が師と仰ぐドラッカーもまた言う。
「凡人に非凡なことをさせるのが組織の目的である」
ならば、優秀な人材がその能力をフルに発揮すれば、かなりのことができる。では、社員をそうし向けるにはどうすればいいか。組織のために働くのではなく、自分のために働く。これが個人を成長させる近道だ。そして、成長し続ける個人が集まる組織は強い。それなら、その制約は少ないほうがいい。社員が可能な限り自由に働ける制度と風土づくりをめざした。
まったく書評の体を成していませんが、とにかく良い本でした。
2017年09月12日
日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?
~ ロッシェル・カップ 著 ~
“日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?”う~ん、おもいっきり憂鬱な気分にさせられるタイトルだなぁ!?
著者は、職場における異文化コミュニケーションと人事管理を専門とするコンサルタント。大手金融機関の東京本社勤務を経て、現在は多くの日本企業のコンサルティング活動を行っているということもあり、日本の職場の実態を認識した上での考察であるのが特徴だ。
かつては、「会社人間」と揶揄された私たち日本人だが、いろんなところで「日本人のやる気の無さ?!」が言われている。昨今、社員にやる気を起こさせるためにエンゲージメント(社員の企業に対する関与の度合いと、仕事に対する感情的つながり)が重要だと言われているが、いろんな調査から日本企業のエンゲージメントレベルが他国と比較してかなり低いという傾向が出ている様だ。
日本の労働生産性が低い(2015年国民ひとりあたりのGDPは、OECD加盟国35カ国中20位)のは、周知の事実だと思うけど「モチベーションが低い社員ばかりの集団だったら、労働生産性が低いのは当たり前だよな~」と思いつつ、モチベーションが低い理由を知りたくって読んでみた。
社員のモチベーション低下の背景には、日本の雇用制度が以下の3つの環境変化に対応しきれなくなってきたことが挙げられている。第1の変化は、60年代~70年代の高度成長期からの急激な成長の衰え。第2の変化は、経済のグローバル化により、諸外国から日本市場の開放を求められたこと。第3の変化は、バブル経済崩壊とそれに続く長期不況。この様な環境変化に対し、早期退職制度や一時解雇の実施、非正規社員の雇用増加策を行ってきたものの、うまく機能させることが出来ない。そして何より、成長を前提とした人事管理が出来ないためにすべての社員(厳密には、すべての男性正社員という方が当たっているかも…)が出世することが難しくなってきたという見立てだ。
そんな背景の中、氏は「仕事の定義の明確化」「各社員のスキルと能力の判断」「社員の将来の計画を立てるキャリアパスの構築」etc…を通し、「日本の人事管理を完全に考え直す必要がある」と説いている。わかりやすく言えば、「個人の目標を明確に定義したり業績に基づいた賃金制度を取り入れるなど、“アメリカ式”の勤務評価システムへの移行が必要だ」ということだ。
まぁ、個々の対応策については理解も納得もする一方で、「“アメリカ式”の勤務評価システムが機能しているのは、アメリカのどんな企業なんだろう?」「旧来型の製造業などでもうまく機能してるんだろうか?」という疑問も湧いてくる。
ひとつの会社内だけで完結する課題であれば、日本でも出来る企業はあると思うけれど、コトはもっと複雑なんだと思う。今の日本にとって必要なのは、個々の会社の人事管理制度改革ではなく、“企業と社員のもたれあいの構図(空気感)”を打破することなんじゃないかと思えてきた。
ということで、唐突ですが第8章(最終章)からの抜粋を…。
「自分の人生に対する展望を持たない者は、他人の人生の展望の一部になってしまう」。新しい環境の下、企業が自分に魅力的なキャリアパスを用意してくれることを当てにすることは、もはやできなくなっている。自分がどんな仕事をして何を達成したいのか、自分で考える時がきている。(中略)
これは、企業に忠実であるのをやめることではない。また、仕事に力を入れないということでもない。それは、自分と自分の興味・関心を企業と企業の興味・関心から分離して考えることを指している。
政府も企業も“雇用に関する空気感打破のための努力”をするのはもちろんだけど、私たちひとりひとりが「自分の人生なんだから、ちゃんと自分で考えなくっちゃネ!!」と考えさせられる一冊でした。
“日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?”う~ん、おもいっきり憂鬱な気分にさせられるタイトルだなぁ!?
著者は、職場における異文化コミュニケーションと人事管理を専門とするコンサルタント。大手金融機関の東京本社勤務を経て、現在は多くの日本企業のコンサルティング活動を行っているということもあり、日本の職場の実態を認識した上での考察であるのが特徴だ。
かつては、「会社人間」と揶揄された私たち日本人だが、いろんなところで「日本人のやる気の無さ?!」が言われている。昨今、社員にやる気を起こさせるためにエンゲージメント(社員の企業に対する関与の度合いと、仕事に対する感情的つながり)が重要だと言われているが、いろんな調査から日本企業のエンゲージメントレベルが他国と比較してかなり低いという傾向が出ている様だ。
日本の労働生産性が低い(2015年国民ひとりあたりのGDPは、OECD加盟国35カ国中20位)のは、周知の事実だと思うけど「モチベーションが低い社員ばかりの集団だったら、労働生産性が低いのは当たり前だよな~」と思いつつ、モチベーションが低い理由を知りたくって読んでみた。
社員のモチベーション低下の背景には、日本の雇用制度が以下の3つの環境変化に対応しきれなくなってきたことが挙げられている。第1の変化は、60年代~70年代の高度成長期からの急激な成長の衰え。第2の変化は、経済のグローバル化により、諸外国から日本市場の開放を求められたこと。第3の変化は、バブル経済崩壊とそれに続く長期不況。この様な環境変化に対し、早期退職制度や一時解雇の実施、非正規社員の雇用増加策を行ってきたものの、うまく機能させることが出来ない。そして何より、成長を前提とした人事管理が出来ないためにすべての社員(厳密には、すべての男性正社員という方が当たっているかも…)が出世することが難しくなってきたという見立てだ。
そんな背景の中、氏は「仕事の定義の明確化」「各社員のスキルと能力の判断」「社員の将来の計画を立てるキャリアパスの構築」etc…を通し、「日本の人事管理を完全に考え直す必要がある」と説いている。わかりやすく言えば、「個人の目標を明確に定義したり業績に基づいた賃金制度を取り入れるなど、“アメリカ式”の勤務評価システムへの移行が必要だ」ということだ。
まぁ、個々の対応策については理解も納得もする一方で、「“アメリカ式”の勤務評価システムが機能しているのは、アメリカのどんな企業なんだろう?」「旧来型の製造業などでもうまく機能してるんだろうか?」という疑問も湧いてくる。
ひとつの会社内だけで完結する課題であれば、日本でも出来る企業はあると思うけれど、コトはもっと複雑なんだと思う。今の日本にとって必要なのは、個々の会社の人事管理制度改革ではなく、“企業と社員のもたれあいの構図(空気感)”を打破することなんじゃないかと思えてきた。
ということで、唐突ですが第8章(最終章)からの抜粋を…。
「自分の人生に対する展望を持たない者は、他人の人生の展望の一部になってしまう」。新しい環境の下、企業が自分に魅力的なキャリアパスを用意してくれることを当てにすることは、もはやできなくなっている。自分がどんな仕事をして何を達成したいのか、自分で考える時がきている。(中略)
これは、企業に忠実であるのをやめることではない。また、仕事に力を入れないということでもない。それは、自分と自分の興味・関心を企業と企業の興味・関心から分離して考えることを指している。
政府も企業も“雇用に関する空気感打破のための努力”をするのはもちろんだけど、私たちひとりひとりが「自分の人生なんだから、ちゃんと自分で考えなくっちゃネ!!」と考えさせられる一冊でした。
2017年05月20日
女子高校生と“働くこと”について、話してきました!?
〜 就職活動をはじめるにあたって 〜
土曜の午前中、静岡市内の女子高校のご依頼を受け、この秋、就職活動を始める高校生6名と“働くこと”について話してきました。この講座、ご依頼を受けて4年程になります。普段は大学生の就職をサポートすることの多い私にとっては、高校生とのやりとりは、毎回、新たな気づきがあるため楽しみにしています。
そんな中、今回「すごいな〜!!」と思ったのは、学生たちから出た就職するにあたっての不安の内容です。「就職試験の内容は?」「服装やマナーが心配!?」とか「会社に入ってからに人間関係が心配…」等のよくある質問だけでなく、ハッと気づかされる様なコメントも…。
ある学生は、「学校では自分で目標を決めて頑張れたけど、就職したら“目標意識”をもって仕事が出来るのかなぁ?」と話してくれました。彼女は「社会人が、何を目指して仕事をしているのか?」が見えてこないことに不安を覚えているのです。多くの会社員は、会社から与えられた目標を果たそうという態度で臨む(←実は、果たそうと思っていない人もいるかも…)けれど、どれだけの人が“目標意識”を持って仕事に取り組んでいるでしょうか?
また、ある学生は「お給料をもらう以上に、仕事で貢献できるかが不安?!」と話してくれました。私は、「最初から出来なくても何の心配もない。その気持ちを持って仕事に取り組めば大丈夫!!」と答えましたが…。労働条件面を心配する人は多いけれど、どれだけの人が「自分が給与に見合う仕事が出来るか?」という視点を持てているでしょうか?
高校生たちのコメントに感心しきりの2時間でした。
ここ数週間、時期的に就活準備前の大学3年生の相談を受ける機会が多いのです。実は、昨日も大学3年生を対象に“エントリーシート対策等のHow toを勉強する前にやっとくことがあるだろう”という趣旨の講座をやらせていただきました。その際の大学生たちから出たのが「仕事に就くなら安定した会社がいい」「出来ることなら仕事はしたくない」等のコメント多数…。
そんなこともあったので、今日は尚更さわやかな気持ちになれたのかもしれません。
今回の講座は2回シリーズ。今日出会った6名の高校生との次回の講座が楽しみです!!
土曜の午前中、静岡市内の女子高校のご依頼を受け、この秋、就職活動を始める高校生6名と“働くこと”について話してきました。この講座、ご依頼を受けて4年程になります。普段は大学生の就職をサポートすることの多い私にとっては、高校生とのやりとりは、毎回、新たな気づきがあるため楽しみにしています。
そんな中、今回「すごいな〜!!」と思ったのは、学生たちから出た就職するにあたっての不安の内容です。「就職試験の内容は?」「服装やマナーが心配!?」とか「会社に入ってからに人間関係が心配…」等のよくある質問だけでなく、ハッと気づかされる様なコメントも…。
ある学生は、「学校では自分で目標を決めて頑張れたけど、就職したら“目標意識”をもって仕事が出来るのかなぁ?」と話してくれました。彼女は「社会人が、何を目指して仕事をしているのか?」が見えてこないことに不安を覚えているのです。多くの会社員は、会社から与えられた目標を果たそうという態度で臨む(←実は、果たそうと思っていない人もいるかも…)けれど、どれだけの人が“目標意識”を持って仕事に取り組んでいるでしょうか?
また、ある学生は「お給料をもらう以上に、仕事で貢献できるかが不安?!」と話してくれました。私は、「最初から出来なくても何の心配もない。その気持ちを持って仕事に取り組めば大丈夫!!」と答えましたが…。労働条件面を心配する人は多いけれど、どれだけの人が「自分が給与に見合う仕事が出来るか?」という視点を持てているでしょうか?
高校生たちのコメントに感心しきりの2時間でした。
ここ数週間、時期的に就活準備前の大学3年生の相談を受ける機会が多いのです。実は、昨日も大学3年生を対象に“エントリーシート対策等のHow toを勉強する前にやっとくことがあるだろう”という趣旨の講座をやらせていただきました。その際の大学生たちから出たのが「仕事に就くなら安定した会社がいい」「出来ることなら仕事はしたくない」等のコメント多数…。
そんなこともあったので、今日は尚更さわやかな気持ちになれたのかもしれません。
今回の講座は2回シリーズ。今日出会った6名の高校生との次回の講座が楽しみです!!
2017年01月24日
『職業・キャリア教育』終了しました
〜後期授業終了、備忘録Ⅱ〜
前回ブログに続き、講師を務めさせていただいている常葉大学の授業の備忘録です。
今回は、3・4年生を対象とした『職業・キャリア教育』です。この授業のテーマは、「労働者保護はどうあるべきか?」。シラバスには「労働市場が大きく変化する中、従来からの労働者保護一辺倒の労働法のままでは立ちゆかなくなっており、企業サイドの動きも見据えた上で、企業と労働者の良好なマッチングはどうあるべきかを考えたい」云々と書かせていただきました。
実は、私にはシラバスに記載した以外、もう一つ裏目標がありまして…。
授業を受講してくれる学生や就職相談の学生と接する中、『物事には必ず用意された正解があるハズ!!』と信じて疑わない学生は少なくありません(偏差値教育の弊害でしょうか…?)。就職活動で言えば、「エントリーシートには、○○と書くべき」とか「面接では、○○と答えなくちゃいけない」と信じ、自分の頭で考えることなく答えを聞きに来る学生です。
この授業では、そんな学生たちに「男女の賃金格差」「非正規社員問題」「高齢者雇用」「障害者雇用」等々、毎回1つのテーマを決め、テーマに関わる労働法の簡単な説明をした上で、グループで討論をしてもらっています。グループ討論のプロセスを通して、「立場やものの見方によって、正解は幾通りもあるんだよ!」「答えは誰かが与えてくれるモノじゃなく、自分で創っていくモノなんだよ!」ということを認識してもらうことが、私の裏目標なのです。
ということで、今回も最終回の学生の感想をピックアップしておこうと思います。
職業キャリア教育は、4年生の私にとってあまり関係ないのかなと思いながら受講しました。しかし、この授業はこれから自分がかかわっていくことがテーマにされていて、何年生であってもとても大事な授業であることを理解しました。知識がないことで、損をする様なことがない様にしていきたいと思います。
今回の授業でも先生はおっしゃっていたが、「どちらが良くてどちらが悪い」「正解と不正解」ではないということだ。考え方次第で良くも悪くもなるということだ。私の友人には「この授業は正解がないから嫌い」だという人がいる。そのような人は、考え方に多様性がなく、世の中を白と黒で分けられると信じている人だ。その人の考え方を変えるつもりはないが、私は違う。どうせ世の中に正解がないのならば、全てを考慮した上で、良い方(自分なりの答え)に考えたいと思う。
今まで学んできたことは、これからの私自身の生活に密接に関わってくるものだと感じました。これから、私自身が生きていく社会はどんな社会になっていくのか、まだ全然わからないけれど、今とは違う社会の中で生きていななければならないと思います。社会の動きをしっかりと把握して疑いの目を持って世の中を見て、損をしない生き方をしていきたいと思いました。
15回授業を受けて一番印象に残ったのは「男女雇用の格差」のことです。男女で賃金の差があったり、女性というだけで仕事が出来ても評価してもらえなかったりという会社も今もまだあるんだなと思いました。私は女なので、この話を聞いて、これから社会に出るのが不安だなと思いました。このことを踏まえて、就職活動をする上で「男女の平等は守られているのか?」「女だからと理不尽に賃金や評価を下げられることはないか?」をしっかり吟味しなければならないと思いました。
この15回で学んだことは、一見自分にはつながりがないように思えることでも、全てつながっているということ。例えば、高齢者雇用は、高齢者だけの問題に感じるが、それによって若者の雇用が少なくなってしまう問題が出るとか…。1点から見るのではなく、様々な角度から見るようにしたい。変化している時代の中で、考えていくことは必ず自分に関わり利益になると15回の授業を通して、理解することが出来た。
この授業を受けたことにより、視野が広がったと感じました。今までの自分なら自分の経験で得たことが全てで、考えられる視点も自分本位だったと思います。でも、今なら一方の視点だけでなくその逆からの視点や、多方から物事をとらえられると思います。それによって、生き方もいろいろな生き方が考えられるようになりました。授業はとても楽しく受けさせていただきました。
この授業を全て終えて、物事の考え方は1つではないのだと思った。こちらから見たら正解でも、他方から見たら正解でない場合も多いことがわかった。次に今日の社会の状況を少しではあるが、知れたことは大きい。教材のストーリーに近いことは、きっとこれから自分の身の回りでも起きるだろう。その時、法律や制度を少しでも覚えておけたら、解決策が見つかるかもしれない。
昔はひとつの会社で一生働くというのが普通でした。しかし今では、多様な働き方も受け入れられる様な世の中になってきたと感じます。私たちの世代が働くのは、今までの常識だけを信じて働くのではダメなのではないかと思いました。様々な人がいる世の中で、自分らしい働き方が出来る人になりたいと思います。
今までの授業で最も印象に残っているテーマは「男女間の労働格差」です。ずっと言われ続けている問題ではあるが、本でも男女の格差問題について言及している。先生も言っていたが、これから働いていく私たち世代の人たちが問題と向き合って解決していかなければならない。働きやすい環境を作っていきたいと思った。
15回の授業で学んだ働く上での基本的な知識はもちろん、話し合いや講義を含めて1つの物事に対し、多数の視点から考える重要性を学びました。多様な見方については、一見関係ないこともつながっていたり、悪そうなことでも良いことだったりするので、1つの考え方にとらわれないようにしたいと思いました。今後は知識と思考を活かして、変化に対応できる人間になりたいです。
就職や労働は、労働者と使用者の利害が一致した時に成立するということをあらためて感じました。これまで、就職する側の立場でしか労働時間や労働条件、雇用制度等について考えてきませんでしたが、最終的に雇うのは使用者の側であるし、使用者の一番の目的は利益を上げることです。私たちは生きていくためには働いてお金を稼ぐ必要があります。使用者の意図や目的を考慮した上で、就職を考えていきたいと思います。
「変化の激しい時代に生きていることを自覚するべき」という先生の言葉がとても印象に残った。今考えていること、起こっていることが,2〜3年先にはもう通用しないという時代に生きていると思う。これから就職活動をしていく身として、目の前のことばかりにとらわれてしまいがちだけど、もっと長い目で自分のキャリアというものを考え、なんで就職するのか?何のために働くのか?ゴールを見失わないように常に原点に立ち返ってこれからの就職活動を全力で頑張りたいと思う。
15回を振り返ってみて、「働く」ということについて「コレ」という型にはまったモデルの様なものはないのかもしれないと思いました。だからこそ、固定的な考え方や枠にはまった考え方にとらわれすぎず、クリティカルシンキングを常に持ち続けることが必要と感じました。型にはまりすぎてしまうと、現状はこれ以上どうしようもないという考えに陥り、これ以上向上しません。そうすると人生つまらないし、会社にとってもプラスの影響はないのだろうと思います。変化の激しい時代を生きていくためには、クリティカルシンキングを持つこと、そしてそのような思考を生むために常に意欲的に学び続けようという姿勢が大切なのではないのだろうかと思います。
感想を読む限り、「私の裏目標は概ね達成できたかな?」と、ホッとしております。「損をしないように…」とか「疑いの目を持って…」などという一風ネガティブなワードが目立つのは、私が「ボクは、世の中を変える提案は出来ないけれど、何かの縁で知り合ったみんなには“知識”や“情報”が無いことで損をして欲しくない」「誰かの言ったことを鵜呑みにしないで、先ずは疑ってみては?!」と話したことが印象に残ったのだと思います。
ポジティブで気持ちのいい学生たちばかりだったことも、忘れず記録に残しておかなくては…(笑
前回ブログに続き、講師を務めさせていただいている常葉大学の授業の備忘録です。
今回は、3・4年生を対象とした『職業・キャリア教育』です。この授業のテーマは、「労働者保護はどうあるべきか?」。シラバスには「労働市場が大きく変化する中、従来からの労働者保護一辺倒の労働法のままでは立ちゆかなくなっており、企業サイドの動きも見据えた上で、企業と労働者の良好なマッチングはどうあるべきかを考えたい」云々と書かせていただきました。
実は、私にはシラバスに記載した以外、もう一つ裏目標がありまして…。
授業を受講してくれる学生や就職相談の学生と接する中、『物事には必ず用意された正解があるハズ!!』と信じて疑わない学生は少なくありません(偏差値教育の弊害でしょうか…?)。就職活動で言えば、「エントリーシートには、○○と書くべき」とか「面接では、○○と答えなくちゃいけない」と信じ、自分の頭で考えることなく答えを聞きに来る学生です。
この授業では、そんな学生たちに「男女の賃金格差」「非正規社員問題」「高齢者雇用」「障害者雇用」等々、毎回1つのテーマを決め、テーマに関わる労働法の簡単な説明をした上で、グループで討論をしてもらっています。グループ討論のプロセスを通して、「立場やものの見方によって、正解は幾通りもあるんだよ!」「答えは誰かが与えてくれるモノじゃなく、自分で創っていくモノなんだよ!」ということを認識してもらうことが、私の裏目標なのです。
ということで、今回も最終回の学生の感想をピックアップしておこうと思います。
職業キャリア教育は、4年生の私にとってあまり関係ないのかなと思いながら受講しました。しかし、この授業はこれから自分がかかわっていくことがテーマにされていて、何年生であってもとても大事な授業であることを理解しました。知識がないことで、損をする様なことがない様にしていきたいと思います。
今回の授業でも先生はおっしゃっていたが、「どちらが良くてどちらが悪い」「正解と不正解」ではないということだ。考え方次第で良くも悪くもなるということだ。私の友人には「この授業は正解がないから嫌い」だという人がいる。そのような人は、考え方に多様性がなく、世の中を白と黒で分けられると信じている人だ。その人の考え方を変えるつもりはないが、私は違う。どうせ世の中に正解がないのならば、全てを考慮した上で、良い方(自分なりの答え)に考えたいと思う。
今まで学んできたことは、これからの私自身の生活に密接に関わってくるものだと感じました。これから、私自身が生きていく社会はどんな社会になっていくのか、まだ全然わからないけれど、今とは違う社会の中で生きていななければならないと思います。社会の動きをしっかりと把握して疑いの目を持って世の中を見て、損をしない生き方をしていきたいと思いました。
15回授業を受けて一番印象に残ったのは「男女雇用の格差」のことです。男女で賃金の差があったり、女性というだけで仕事が出来ても評価してもらえなかったりという会社も今もまだあるんだなと思いました。私は女なので、この話を聞いて、これから社会に出るのが不安だなと思いました。このことを踏まえて、就職活動をする上で「男女の平等は守られているのか?」「女だからと理不尽に賃金や評価を下げられることはないか?」をしっかり吟味しなければならないと思いました。
この15回で学んだことは、一見自分にはつながりがないように思えることでも、全てつながっているということ。例えば、高齢者雇用は、高齢者だけの問題に感じるが、それによって若者の雇用が少なくなってしまう問題が出るとか…。1点から見るのではなく、様々な角度から見るようにしたい。変化している時代の中で、考えていくことは必ず自分に関わり利益になると15回の授業を通して、理解することが出来た。
この授業を受けたことにより、視野が広がったと感じました。今までの自分なら自分の経験で得たことが全てで、考えられる視点も自分本位だったと思います。でも、今なら一方の視点だけでなくその逆からの視点や、多方から物事をとらえられると思います。それによって、生き方もいろいろな生き方が考えられるようになりました。授業はとても楽しく受けさせていただきました。
この授業を全て終えて、物事の考え方は1つではないのだと思った。こちらから見たら正解でも、他方から見たら正解でない場合も多いことがわかった。次に今日の社会の状況を少しではあるが、知れたことは大きい。教材のストーリーに近いことは、きっとこれから自分の身の回りでも起きるだろう。その時、法律や制度を少しでも覚えておけたら、解決策が見つかるかもしれない。
昔はひとつの会社で一生働くというのが普通でした。しかし今では、多様な働き方も受け入れられる様な世の中になってきたと感じます。私たちの世代が働くのは、今までの常識だけを信じて働くのではダメなのではないかと思いました。様々な人がいる世の中で、自分らしい働き方が出来る人になりたいと思います。
今までの授業で最も印象に残っているテーマは「男女間の労働格差」です。ずっと言われ続けている問題ではあるが、本でも男女の格差問題について言及している。先生も言っていたが、これから働いていく私たち世代の人たちが問題と向き合って解決していかなければならない。働きやすい環境を作っていきたいと思った。
15回の授業で学んだ働く上での基本的な知識はもちろん、話し合いや講義を含めて1つの物事に対し、多数の視点から考える重要性を学びました。多様な見方については、一見関係ないこともつながっていたり、悪そうなことでも良いことだったりするので、1つの考え方にとらわれないようにしたいと思いました。今後は知識と思考を活かして、変化に対応できる人間になりたいです。
就職や労働は、労働者と使用者の利害が一致した時に成立するということをあらためて感じました。これまで、就職する側の立場でしか労働時間や労働条件、雇用制度等について考えてきませんでしたが、最終的に雇うのは使用者の側であるし、使用者の一番の目的は利益を上げることです。私たちは生きていくためには働いてお金を稼ぐ必要があります。使用者の意図や目的を考慮した上で、就職を考えていきたいと思います。
「変化の激しい時代に生きていることを自覚するべき」という先生の言葉がとても印象に残った。今考えていること、起こっていることが,2〜3年先にはもう通用しないという時代に生きていると思う。これから就職活動をしていく身として、目の前のことばかりにとらわれてしまいがちだけど、もっと長い目で自分のキャリアというものを考え、なんで就職するのか?何のために働くのか?ゴールを見失わないように常に原点に立ち返ってこれからの就職活動を全力で頑張りたいと思う。
15回を振り返ってみて、「働く」ということについて「コレ」という型にはまったモデルの様なものはないのかもしれないと思いました。だからこそ、固定的な考え方や枠にはまった考え方にとらわれすぎず、クリティカルシンキングを常に持ち続けることが必要と感じました。型にはまりすぎてしまうと、現状はこれ以上どうしようもないという考えに陥り、これ以上向上しません。そうすると人生つまらないし、会社にとってもプラスの影響はないのだろうと思います。変化の激しい時代を生きていくためには、クリティカルシンキングを持つこと、そしてそのような思考を生むために常に意欲的に学び続けようという姿勢が大切なのではないのだろうかと思います。
感想を読む限り、「私の裏目標は概ね達成できたかな?」と、ホッとしております。「損をしないように…」とか「疑いの目を持って…」などという一風ネガティブなワードが目立つのは、私が「ボクは、世の中を変える提案は出来ないけれど、何かの縁で知り合ったみんなには“知識”や“情報”が無いことで損をして欲しくない」「誰かの言ったことを鵜呑みにしないで、先ずは疑ってみては?!」と話したことが印象に残ったのだと思います。
ポジティブで気持ちのいい学生たちばかりだったことも、忘れず記録に残しておかなくては…(笑
2017年01月21日
『キャリア開発論Ⅰ』終了しました
~後期授業終了、備忘録~
講師を務めさせていただいている常葉大学の『キャリア開発論Ⅰ(後期授業)』、今年も無事(?)終了しました。
この授業、低学年(1・2年生)を対象としたもので、「①将来の目標や生き方のイメージを持つこと」「②学生時代に何をすべきか考え具体的な行動を起こすこと」によって、4年間の大学生活を有意義なものにすることを目標としています。
昨今、非正規社員の拡大が社会問題化していたり、少子高齢化を背景に女性や高齢者の活躍の必要性が論じられる等、『働くこと』についての話題に事欠くことはありません。また、親からは「安定した会社に入りなさい」「大きな会社に入れば安心だ」などと言われ、低学年時から少なからず就活(どこかの会社の内定を得ること)へのプレッシャーを感じている学生は少なくありません。
とはいえ、『内定を得ること』と『働くこと』は別物であり、学生生活の延長線上に自身の職業人生があるという認識を持つ学生に出会う機会は殆どありません。多くの学生にとって、『働くこと』は自分たちにとっては別世界の話なのです。
例年、その様な背景を認識した上で、前述した授業の目標を達成すべく、学生と接することを心がけてきました。ここ数年は、「Two Wayの講義をしたい」「講義内容が意図通り伝わったか確認したい」との想いから、授業終了時、出席簿に替えて授業の感想を提出してもらい、その中から拾ったコメントを次回の講義時に紹介することにより、相互理解に努めてきました。
そんな中、今年度、一番の課題は受講人数でした。例年、90名程度でも全ての学生の感想に目を通すことは楽ではありませんでしたが、今年度の受講者は150名。「果たして、例年のスタイルでやりきれるのだろうか?」と不安いっぱいでしたが、他によいアイデアが浮かばず、初心貫徹と覚悟(?)を決めました。
スタートしてみると、「伝えたいことが伝わった!」と思える感想や「う〜ん、そういう意味ではないんだけど…」と言いたくなる様な感想はもちろんのこと、「私に気づきを与えてくれる感想・質問」もありました。回を追う毎に、感想の質も高くなっていき、90分の授業の内、前半30分程を感想の紹介に充てることになってしまいました。知識や情報を提供する時間が減ることに若干のジレンマは感じましたが、「相互理解が無いまま知識だけ増やしても意味がない」と割り切って15回、同じスタイルを通しました。
ここで、最終回の学生の感想をいくつかピックアップしておこうと思います。
今まで、こんなに自分の将来について考えることはありませんでした。やりたいこともなく、自分の将来について考えることは嫌だったし、正直、この授業を受けたのも単位稼ぎでした。しかし、今は「自分の将来のことなんだから真面目に考えなくては…」と意識を変えることが出来ました。まだやりたいことは見つからないけれど、短い大学4年間で自分の可能性を広げられるような生活を送っていきたいです。
私は今まで、ただ漠然と勉強をして、漠然と就職をして生きていければ良いかなと思っていましたが、先生の話を聴いて、その考えを見直していこうと思うようになりました。本当に自分がやりたいことを見つけて、その目標に向かって頑張ることからはじめていきたいと思います。
今までは、教師を目指しているから、他のことは考えなくても良いと思っていた。しかし現在は、教師にこだわりすぎなくても良いと思っている。この授業を受けて、自分が世の中の仕事をあまりにも知らなすぎることがわかり、やりたい仕事が無いのではなく、仕事を知らないだけだということに気づけた。まだ、就きたい仕事は具体的にはなっていないけれど、対人の仕事をやって行ければいいと思っている。
自分はずっと教員になることだけを考えてきましたが、この授業を受けて、職業をひとつに絞るにはまだ早いのかなと思うようになりました。学生の間は、空いた時間を利用して、様々な業種のアルバイトに挑戦しようと思います。意外と自分に向いている職業が見つかるかもしれません。新しい刺激をありがとうございました。
キャリア開発論を受講して思ったのは、色々なことを経験してみようということでした。今年は、接客業、海外旅行、サークルを経験しました。正直、やりたいことが見つかったという感じはしませんが、何に興味がわき、何に興味がわかないのかということは経験することによってわかった様な気がします。
私は失敗することが怖くて、いつも安全な道しか進んできませんでした。でも、「失敗してもいいんだ」と言われて、なんだかもっと楽に考えてもいいと思いました。失敗してもいいのなら、自分のやりたいことをしてみたいと思いました。背負っていかなくてはいけないことが増えていくけれど、その中で出来ることを見つけたいと思いました。
15回の講義を通し、世の中には様々な職業があるし、仕事に対する考え方は十人十色だなと思う部分もたくさんありました。私はずっと小学校教諭になりたいという夢を持っていて、夢を叶えるために大学に入学しました。この1年を通して、その夢に対する思いがとても強くなったけれど、もし教員になれなかったとしても、他にたくさん道はあるかもしれないと思えた授業でした。これからも夢に向かって頑張ります。
自分の見ている世界だけが全てじゃない。世の中には様々な仕事があり、深刻になる必要もないんだと思えた。ただ、時間を有効に使うこと、何をやってきたのかを胸をはって言えるようにならないとダメだと気づいた。
私は、イラストレーターになりたくてこの大学に入りましたが、周りの人のレベルが高いこととストレスで、この1年は絵を描くことがイヤになり、大学を辞めたいと何度も考えるようになりました。しかし、先生の「目標は変わってもいい」という話を聴き、学校帰りによく行く古着のお店のことを想い出しました。そこのお店の店員さんと仲良くなり、元々レジのアルバイトをしていることもあって、本職は古着店の店員、休日は趣味でイラストを描いて個人的に楽しむのもいいかなと考えるようになりました。新しい発見が出来てよかったです。
毎回授業を受ける毎に現実を突きつけられるというか、今の自分がどれだけ未熟で自分自身と向き合えていなかったかを自覚することが出来ました。「何をしたいのか?」とあらためて考えていくうちに、自分の目指す将来が見えてきたような気がします。前回書いた○○のこともそうですが、先ずは目の前にあることからひとつひとつ取り組んでいき、自分のやりたいことに向けて努力します。
この講義を通して、○○というサークルに入ってチャレンジしようと決めました。今までは「入りたいけど入ったら、自由な時間が削られるのではないか」とくよくよ悩んでいましたが、「入ってみなければわからないし、将来やりたいことを実現させるには、コレをやるべきだ!!」と決心し、2年から入ろうと思っています。この大学4年間をどう過ごすのかによって、私の人生は変わると思います。先生が言ってくださったとおり「なんとなく生きる」ということは絶対にしないよう、何か行動をし、考えながら生きようと思います。
この授業の中で、自分の将来への計画性のなさに悲しくなったり、趣味とどう向き合っていくのか考えることが出来たり、目標を見つけることが出来てうれしくなったりと、様々な感情で将来を見つめることが出来ました。自分のことなのにどこか他人事の様な気がしていた就職という将来に向き合うことが出来、本当によかったです。決めた目標を達成できる日が来るよう努力していこうと思います。
先生が最後に言った「なんとなく生きてほしくない」というのがとても心に刺さりました。もっと人間らしく私らしさのある人生にしたいです。すごい人に圧倒されて終わるんじゃなくて、自分がそうなりたいです。
たいへんでしたが、「毎回、学生からの感想を確認し、進めた甲斐があったなぁ…」と思える授業となりました。
ホッ…
講師を務めさせていただいている常葉大学の『キャリア開発論Ⅰ(後期授業)』、今年も無事(?)終了しました。
この授業、低学年(1・2年生)を対象としたもので、「①将来の目標や生き方のイメージを持つこと」「②学生時代に何をすべきか考え具体的な行動を起こすこと」によって、4年間の大学生活を有意義なものにすることを目標としています。
昨今、非正規社員の拡大が社会問題化していたり、少子高齢化を背景に女性や高齢者の活躍の必要性が論じられる等、『働くこと』についての話題に事欠くことはありません。また、親からは「安定した会社に入りなさい」「大きな会社に入れば安心だ」などと言われ、低学年時から少なからず就活(どこかの会社の内定を得ること)へのプレッシャーを感じている学生は少なくありません。
とはいえ、『内定を得ること』と『働くこと』は別物であり、学生生活の延長線上に自身の職業人生があるという認識を持つ学生に出会う機会は殆どありません。多くの学生にとって、『働くこと』は自分たちにとっては別世界の話なのです。
例年、その様な背景を認識した上で、前述した授業の目標を達成すべく、学生と接することを心がけてきました。ここ数年は、「Two Wayの講義をしたい」「講義内容が意図通り伝わったか確認したい」との想いから、授業終了時、出席簿に替えて授業の感想を提出してもらい、その中から拾ったコメントを次回の講義時に紹介することにより、相互理解に努めてきました。
そんな中、今年度、一番の課題は受講人数でした。例年、90名程度でも全ての学生の感想に目を通すことは楽ではありませんでしたが、今年度の受講者は150名。「果たして、例年のスタイルでやりきれるのだろうか?」と不安いっぱいでしたが、他によいアイデアが浮かばず、初心貫徹と覚悟(?)を決めました。
スタートしてみると、「伝えたいことが伝わった!」と思える感想や「う〜ん、そういう意味ではないんだけど…」と言いたくなる様な感想はもちろんのこと、「私に気づきを与えてくれる感想・質問」もありました。回を追う毎に、感想の質も高くなっていき、90分の授業の内、前半30分程を感想の紹介に充てることになってしまいました。知識や情報を提供する時間が減ることに若干のジレンマは感じましたが、「相互理解が無いまま知識だけ増やしても意味がない」と割り切って15回、同じスタイルを通しました。
ここで、最終回の学生の感想をいくつかピックアップしておこうと思います。
今まで、こんなに自分の将来について考えることはありませんでした。やりたいこともなく、自分の将来について考えることは嫌だったし、正直、この授業を受けたのも単位稼ぎでした。しかし、今は「自分の将来のことなんだから真面目に考えなくては…」と意識を変えることが出来ました。まだやりたいことは見つからないけれど、短い大学4年間で自分の可能性を広げられるような生活を送っていきたいです。
私は今まで、ただ漠然と勉強をして、漠然と就職をして生きていければ良いかなと思っていましたが、先生の話を聴いて、その考えを見直していこうと思うようになりました。本当に自分がやりたいことを見つけて、その目標に向かって頑張ることからはじめていきたいと思います。
今までは、教師を目指しているから、他のことは考えなくても良いと思っていた。しかし現在は、教師にこだわりすぎなくても良いと思っている。この授業を受けて、自分が世の中の仕事をあまりにも知らなすぎることがわかり、やりたい仕事が無いのではなく、仕事を知らないだけだということに気づけた。まだ、就きたい仕事は具体的にはなっていないけれど、対人の仕事をやって行ければいいと思っている。
自分はずっと教員になることだけを考えてきましたが、この授業を受けて、職業をひとつに絞るにはまだ早いのかなと思うようになりました。学生の間は、空いた時間を利用して、様々な業種のアルバイトに挑戦しようと思います。意外と自分に向いている職業が見つかるかもしれません。新しい刺激をありがとうございました。
キャリア開発論を受講して思ったのは、色々なことを経験してみようということでした。今年は、接客業、海外旅行、サークルを経験しました。正直、やりたいことが見つかったという感じはしませんが、何に興味がわき、何に興味がわかないのかということは経験することによってわかった様な気がします。
私は失敗することが怖くて、いつも安全な道しか進んできませんでした。でも、「失敗してもいいんだ」と言われて、なんだかもっと楽に考えてもいいと思いました。失敗してもいいのなら、自分のやりたいことをしてみたいと思いました。背負っていかなくてはいけないことが増えていくけれど、その中で出来ることを見つけたいと思いました。
15回の講義を通し、世の中には様々な職業があるし、仕事に対する考え方は十人十色だなと思う部分もたくさんありました。私はずっと小学校教諭になりたいという夢を持っていて、夢を叶えるために大学に入学しました。この1年を通して、その夢に対する思いがとても強くなったけれど、もし教員になれなかったとしても、他にたくさん道はあるかもしれないと思えた授業でした。これからも夢に向かって頑張ります。
自分の見ている世界だけが全てじゃない。世の中には様々な仕事があり、深刻になる必要もないんだと思えた。ただ、時間を有効に使うこと、何をやってきたのかを胸をはって言えるようにならないとダメだと気づいた。
私は、イラストレーターになりたくてこの大学に入りましたが、周りの人のレベルが高いこととストレスで、この1年は絵を描くことがイヤになり、大学を辞めたいと何度も考えるようになりました。しかし、先生の「目標は変わってもいい」という話を聴き、学校帰りによく行く古着のお店のことを想い出しました。そこのお店の店員さんと仲良くなり、元々レジのアルバイトをしていることもあって、本職は古着店の店員、休日は趣味でイラストを描いて個人的に楽しむのもいいかなと考えるようになりました。新しい発見が出来てよかったです。
毎回授業を受ける毎に現実を突きつけられるというか、今の自分がどれだけ未熟で自分自身と向き合えていなかったかを自覚することが出来ました。「何をしたいのか?」とあらためて考えていくうちに、自分の目指す将来が見えてきたような気がします。前回書いた○○のこともそうですが、先ずは目の前にあることからひとつひとつ取り組んでいき、自分のやりたいことに向けて努力します。
この講義を通して、○○というサークルに入ってチャレンジしようと決めました。今までは「入りたいけど入ったら、自由な時間が削られるのではないか」とくよくよ悩んでいましたが、「入ってみなければわからないし、将来やりたいことを実現させるには、コレをやるべきだ!!」と決心し、2年から入ろうと思っています。この大学4年間をどう過ごすのかによって、私の人生は変わると思います。先生が言ってくださったとおり「なんとなく生きる」ということは絶対にしないよう、何か行動をし、考えながら生きようと思います。
この授業の中で、自分の将来への計画性のなさに悲しくなったり、趣味とどう向き合っていくのか考えることが出来たり、目標を見つけることが出来てうれしくなったりと、様々な感情で将来を見つめることが出来ました。自分のことなのにどこか他人事の様な気がしていた就職という将来に向き合うことが出来、本当によかったです。決めた目標を達成できる日が来るよう努力していこうと思います。
先生が最後に言った「なんとなく生きてほしくない」というのがとても心に刺さりました。もっと人間らしく私らしさのある人生にしたいです。すごい人に圧倒されて終わるんじゃなくて、自分がそうなりたいです。
たいへんでしたが、「毎回、学生からの感想を確認し、進めた甲斐があったなぁ…」と思える授業となりました。
ホッ…
2016年12月17日
レーザーポインター新調!!
〜ふと想い出した父のこと〜
商売道具のレーザーポインター(写真、右から2番目)。「パワーポイントでのプレゼンテーションには欠かせない」ということで、10数年前に買ったものなのですが、ここのところ調子が悪くって…。
とはいえ、当時数万円した記憶があり、騙し騙し使っていたのですが、ついに限界ということで、アマゾン検索。「キヤノン製が、なんと5,715円!」ということで、即発注、中一日で本日届きました(通販って、ほんとに便利)。
せっかくなので、時代の変遷を確認しようと歴代のポインターを並べてみました。いちばん右が今回購入したキヤノンPR500-RC、早々試してみたけれど軽量コンパクトで使いやすい。で、右から2番目が長年愛用していたコクヨ製、10年前はコレを使うと結構注目された記憶があります(当時は、話し手以外に、PC操作要員がいる場合が多かった)。右から3番目はコクヨ製のレーザーポインター、ポインター機能のみなので、パワーポイントでのプレゼンテーションが主流になってからは、ほとんど使っていません(新品同様?)。
で、左端が、指示棒。クルマのアンテナみたくスライドさせるとグーッと伸びるやつです。先っぽのキャップを外すとボールペンとして使えたり、胴体に10㎝のスケールが刻んであったり、小技が効いています。今も、レーザーポインターの電池が無くなった時の緊急用に、常に鞄の中に忍ばせています。
ただ、これは僕が購入したものではなく、父の持ち物。父は技術者で、僕が10代の頃、単身赴任で“日本電信電話公社 鈴鹿電気通信学園”の教官をやっていたことがあります(たぶん、当時、使っていたモノ…)。父が何を教えていたのかは知る由もありませんが、週末、家に帰って設計図の様な書類を見ながら勉強するのを見て、「わざわざ鈴鹿から帰ってきてまで勉強することないのに?!」などと思ったことをうっすら覚えています。
せっかくなのでと、今回、この学園のことをWeb検索してみると「技術系中堅育成の総本山。日本全国、時にはアジア・アフリカからも研修に来ていた。民営化、後に3社分割されて役目が終った」との記述がありました。僕は、父親のことを何もわかっていなかったのかもしれません。
こんなことを想い出すのは、「年の瀬だから…?」「僕が歳を取ったからかな〜?」なんて考えていたら、大切なコトを想い出しました。忙しさにかまけてすっかり忘れていましたが、17年前の12月13日(今週の火曜日…汗)は、父の命日でした。「ここまでなんとかやってこられたのも、鞄の中に忍ばせていた父の指示棒のおかげだったのかも…」などとチョッピリ感傷的になってしまった年の瀬の午後でした。
年末までに、実家に線香あげに行かなくては…。
商売道具のレーザーポインター(写真、右から2番目)。「パワーポイントでのプレゼンテーションには欠かせない」ということで、10数年前に買ったものなのですが、ここのところ調子が悪くって…。
とはいえ、当時数万円した記憶があり、騙し騙し使っていたのですが、ついに限界ということで、アマゾン検索。「キヤノン製が、なんと5,715円!」ということで、即発注、中一日で本日届きました(通販って、ほんとに便利)。
せっかくなので、時代の変遷を確認しようと歴代のポインターを並べてみました。いちばん右が今回購入したキヤノンPR500-RC、早々試してみたけれど軽量コンパクトで使いやすい。で、右から2番目が長年愛用していたコクヨ製、10年前はコレを使うと結構注目された記憶があります(当時は、話し手以外に、PC操作要員がいる場合が多かった)。右から3番目はコクヨ製のレーザーポインター、ポインター機能のみなので、パワーポイントでのプレゼンテーションが主流になってからは、ほとんど使っていません(新品同様?)。
で、左端が、指示棒。クルマのアンテナみたくスライドさせるとグーッと伸びるやつです。先っぽのキャップを外すとボールペンとして使えたり、胴体に10㎝のスケールが刻んであったり、小技が効いています。今も、レーザーポインターの電池が無くなった時の緊急用に、常に鞄の中に忍ばせています。
ただ、これは僕が購入したものではなく、父の持ち物。父は技術者で、僕が10代の頃、単身赴任で“日本電信電話公社 鈴鹿電気通信学園”の教官をやっていたことがあります(たぶん、当時、使っていたモノ…)。父が何を教えていたのかは知る由もありませんが、週末、家に帰って設計図の様な書類を見ながら勉強するのを見て、「わざわざ鈴鹿から帰ってきてまで勉強することないのに?!」などと思ったことをうっすら覚えています。
せっかくなのでと、今回、この学園のことをWeb検索してみると「技術系中堅育成の総本山。日本全国、時にはアジア・アフリカからも研修に来ていた。民営化、後に3社分割されて役目が終った」との記述がありました。僕は、父親のことを何もわかっていなかったのかもしれません。
こんなことを想い出すのは、「年の瀬だから…?」「僕が歳を取ったからかな〜?」なんて考えていたら、大切なコトを想い出しました。忙しさにかまけてすっかり忘れていましたが、17年前の12月13日(今週の火曜日…汗)は、父の命日でした。「ここまでなんとかやってこられたのも、鞄の中に忍ばせていた父の指示棒のおかげだったのかも…」などとチョッピリ感傷的になってしまった年の瀬の午後でした。
年末までに、実家に線香あげに行かなくては…。
2016年09月20日
後期授業、はじまりました
〜初日、暴風警報発令で4・5限は休講の巻〜
本日より、常葉大学の後期授業スタートです。私が担当するのは、キャリア関連の授業(3コマ)で例年通りなのですが、久々の授業に少なからず緊張ぎみで登校しました。
ひとコマ目(3限:職業・キャリア教育)が終了し、次の教室に移動したタイミングで暴風警報発令、4限以降の授業が休講。急遽、空いた時間を利用して学生の“感想(出席簿代わりに感想を書いてもらってます)”を読んでいるところです。
で、この授業の内容ですが、「正社員雇用を前提とした雇用モデルのほころび」「経済のグローバル化に伴う企業の競争力強化の要請」等、労働市場が大きく変化する中、企業サイドの思惑(?)も見据えた上で、“企業”と“労働者”の良好なマッチングはどうあるべきかを、“労働法”と“経済”の両面から考えてみようというもの。ひと言でいえば、世の中が変化する中、「“正社員=安定”というステレオタイプの情報を鵜呑みにしちゃって大丈夫なのかを、よ〜く考えてみよう!?」ということ。
で、第1回の本日は、「大学卒業後、どんな就業形態で働きたいか?また、その理由を教えて…?!」というお題について、グループで討論〜意見集約を試みました。結果は、細かなニュアンスの差はあるものの、すべてのグループが「正社員になりたい。何故なら、安定(給与・賞与・退職金etc…)した収入が得られるから…」というもの。その後、私から「退職金って何で出るの?」「正社員は本当に安定しているの?」等々の質問した上で、私から「"正社員だからって安定しているとは限らない"といういくつかの事例」を紹介して本日の授業は終了しました。
ここで、学生の感想をいくつか紹介。「正社員になることは、安定した将来を保障されるのだと勝手に思い込んでいました」「安定を求める人ばかりで構成された会社は心配かもしれないと思った」「私の姉が再就職した会社は、アルバイトですがボーナス・残業・有給・保険等、正社員と同待遇。現在も楽しそうに仕事をしているのを見ると、正社員じゃなきゃダメと決めつける必要は無いかもしれないと思った」「民間企業に就職して安定的な収入をもらって出産・育児を終えて仕事復帰をするという形をぼんやり想像していたけれど、大学卒業後の自分のプランを真剣に考えていく必要があると強く感じた」「自分が思っていた“一般的”にといったことが、本当に“一般的”なのかを考えさせられた」等々の感想に「ホッ…」とひと息。
ひとりひとりの学生の声に耳を傾けるのは、たいへんですが、「頑張ろう!?」と思えた初回の講義でした。,
PS.1コマでもこの疲労感なので、他の2コマが休講になったのは、むしろ幸いだったのかも…。
本日より、常葉大学の後期授業スタートです。私が担当するのは、キャリア関連の授業(3コマ)で例年通りなのですが、久々の授業に少なからず緊張ぎみで登校しました。
ひとコマ目(3限:職業・キャリア教育)が終了し、次の教室に移動したタイミングで暴風警報発令、4限以降の授業が休講。急遽、空いた時間を利用して学生の“感想(出席簿代わりに感想を書いてもらってます)”を読んでいるところです。
で、この授業の内容ですが、「正社員雇用を前提とした雇用モデルのほころび」「経済のグローバル化に伴う企業の競争力強化の要請」等、労働市場が大きく変化する中、企業サイドの思惑(?)も見据えた上で、“企業”と“労働者”の良好なマッチングはどうあるべきかを、“労働法”と“経済”の両面から考えてみようというもの。ひと言でいえば、世の中が変化する中、「“正社員=安定”というステレオタイプの情報を鵜呑みにしちゃって大丈夫なのかを、よ〜く考えてみよう!?」ということ。
で、第1回の本日は、「大学卒業後、どんな就業形態で働きたいか?また、その理由を教えて…?!」というお題について、グループで討論〜意見集約を試みました。結果は、細かなニュアンスの差はあるものの、すべてのグループが「正社員になりたい。何故なら、安定(給与・賞与・退職金etc…)した収入が得られるから…」というもの。その後、私から「退職金って何で出るの?」「正社員は本当に安定しているの?」等々の質問した上で、私から「"正社員だからって安定しているとは限らない"といういくつかの事例」を紹介して本日の授業は終了しました。
ここで、学生の感想をいくつか紹介。「正社員になることは、安定した将来を保障されるのだと勝手に思い込んでいました」「安定を求める人ばかりで構成された会社は心配かもしれないと思った」「私の姉が再就職した会社は、アルバイトですがボーナス・残業・有給・保険等、正社員と同待遇。現在も楽しそうに仕事をしているのを見ると、正社員じゃなきゃダメと決めつける必要は無いかもしれないと思った」「民間企業に就職して安定的な収入をもらって出産・育児を終えて仕事復帰をするという形をぼんやり想像していたけれど、大学卒業後の自分のプランを真剣に考えていく必要があると強く感じた」「自分が思っていた“一般的”にといったことが、本当に“一般的”なのかを考えさせられた」等々の感想に「ホッ…」とひと息。
ひとりひとりの学生の声に耳を傾けるのは、たいへんですが、「頑張ろう!?」と思えた初回の講義でした。,
PS.1コマでもこの疲労感なので、他の2コマが休講になったのは、むしろ幸いだったのかも…。
2016年09月16日
『若手社員職場定着セミナー』終了しました
9月9日の静岡を皮切りに県内3ケ所で開催、講師を務めさせていただいた“若手社員職場定着セミナー”、本日無事(?)終了いたしました。
当該セミナーは、入社3年以内の中小企業の若手社員を対象に講義やグループディスカッション等を通して“早期離職の背景を探る”と共に、“継続して仕事に携わること”“職場定着の重要性についての理解”を深めることを目的にしたものです。
セミナーは、「1.昨今の労働市場の実体を知る」「2.自身のキャリアビジョンを描いてみよう」の2部構成。先ずは、自社の環境以外を知らぬまま働くことについての不安・不満を抱える若手社員を念頭に、労働統計データの説明やグループでの情報共有を通して、労働市場全体を俯瞰(ex.仕事、しんどいと思ってたけど、私だけじゃないんだ…)。その上で、実際に自身のキャリアビジョンを描いてみるという構成となっています。
開始前は、“職場定着”というタイトルの影響か、はたまた他社の知らない人とのグループワークをストレスと感じるのか、硬い表情だった参加者が、徐々に打ち解けて、終了時には旧知の友人の様に話をしている姿を見るのが嬉しいですね。
終了後のアンケート結果を見ると、「他社の事例が聴けたのがよかった」「同世代の人が自分と同じ様な悩みを持っているのがわかった」「辞めたいと思っていた今の仕事、もう少し続けてみようと思った」等のコメントが並んでいました。
多くの若者が、労働市場や将来を俯瞰することが出来ないまま「現状に我慢できない」という理由で“離職”し、キャリア形成の機会を逸していると感じています。“職場定着”は目的にはなり得ないと考えていますが、今回のセミナーが参加者自身の人生を考えるキッカケになったのであれば幸いです。
当該セミナーは、入社3年以内の中小企業の若手社員を対象に講義やグループディスカッション等を通して“早期離職の背景を探る”と共に、“継続して仕事に携わること”“職場定着の重要性についての理解”を深めることを目的にしたものです。
セミナーは、「1.昨今の労働市場の実体を知る」「2.自身のキャリアビジョンを描いてみよう」の2部構成。先ずは、自社の環境以外を知らぬまま働くことについての不安・不満を抱える若手社員を念頭に、労働統計データの説明やグループでの情報共有を通して、労働市場全体を俯瞰(ex.仕事、しんどいと思ってたけど、私だけじゃないんだ…)。その上で、実際に自身のキャリアビジョンを描いてみるという構成となっています。
開始前は、“職場定着”というタイトルの影響か、はたまた他社の知らない人とのグループワークをストレスと感じるのか、硬い表情だった参加者が、徐々に打ち解けて、終了時には旧知の友人の様に話をしている姿を見るのが嬉しいですね。
終了後のアンケート結果を見ると、「他社の事例が聴けたのがよかった」「同世代の人が自分と同じ様な悩みを持っているのがわかった」「辞めたいと思っていた今の仕事、もう少し続けてみようと思った」等のコメントが並んでいました。
多くの若者が、労働市場や将来を俯瞰することが出来ないまま「現状に我慢できない」という理由で“離職”し、キャリア形成の機会を逸していると感じています。“職場定着”は目的にはなり得ないと考えていますが、今回のセミナーが参加者自身の人生を考えるキッカケになったのであれば幸いです。