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2013年02月20日

「長時間会社にいるのが役割」ってワケじゃないでしょ…?!

~働き方を変える 下~


経済協力開発機構(OECD)の2010年版統計によれば、週60時間以上労働する男性就業者の比率は、日本が18%に対して先進諸国は軒並み7%以下だ。かつて「働きアリ」とやゆされた日本人の長時間労働は正社員を中心に依然続いている。しかし、労働時間1時間あたりの国内総生産(GDP)を国際比較すると、日本は他の先進諸国に比べて著しく低い。(中略)

筆者らは、文部科学省・日本学術振興会委託事業の一環で、日本のグローバル企業の欧州現地法人に勤務する管理職層約350人を調査した。日本から欧州の海外現地法人に転勤した労働者が、現地の働き方に影響を受けて労働時間をどのように変えたかを検証した。

日本人労働者の労働時間は欧州への転勤後に大幅に減少し、現地採用の管理職層に近い水準になっていた。この傾向は、仕事量の変化や景気循環の違いなど他の条件を統計的に一定にしたうえでも変わらず、特に仕事上、日本人との関わりが少なく、現地の人々と関わる割合が高い人ほど労働時間の減少幅も大きかった。

また聞き取り調査からは、余暇を楽しむために短時間で効率的に仕事を仕上げるという欧州の職場環境に身を置くことで、残業を前提とした日本的な働き方を見直すきっかけとなったという声が多数聞かれた。例えば、日本では社内会議のために過度に美しい資料を作成したり、事前に関係者に広く根回しをしたりするなど、いわゆる「社内サービス」に費やされる不毛な労働時間も多かった。しかし、欧州勤務を経験したことで、こうした利益を生み出さない部分にまで過度な丁寧さを求める職場慣行の存在が再認識できたという。

これらの結果は、労働時間には周囲の働き方の影響を受けやすいという「ピア(同僚)効果」があり、職場の環境次第で非効率な働き方を是正することは不可能ではないことを示唆している。(後略)

出所:2013年2月20日 日本経済新聞 朝刊

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日本人の長時間労働は、欧米各国から揶揄されることが多い。私自身は、「なんでもかんでも短時間だったらOK!」なんて思っているわけでは無いのだけれど…。

ただ、「長い時間を労働時間に割いているのに生産性は著しく低い」というこの記事を読んだ上で、周りを見渡してみると、「確かに、残業時間と比例して成果が出ているわけじゃないよな~」と感じることは少なくない、というか「すごく多い!」。

これって、『組織』にとっても『働く人』にとっても何のメリットももたらさない。まぁ、残業手当を生活費の一部と考えているごく一部の一般職にとっては金銭的なメリットはあるのだろうけれど…。

記事で紹介されていた『日本から欧州の海外現地法人に転勤した労働者の働き方の変化』にあるように、長時間労働は、日本人のDNAってわけではなさそうだ。


かっこよく働いて、高い付加価値を生む職業人が増えることが大切だ。まずはひとりひとりが、『組織における自身の役割を再確認する(少なくとも、長時間会社にいるのが役割じゃないでしょ…)』ところからはじめてみるのもいいんじゃないだろうか。


  


Posted by オルベア at 20:58Comments(0)新聞記事

2013年02月12日

若者『何もせず』44%…?

~社会参加 意欲あれど行動は…~


静岡県教育委員会が、静岡県内在住の30歳未満を対象として実施したアンケート調査の結果が紹介されていた。

「今の社会に問題があるか?」の質問に対し「よく当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と思っている若者は87.4%。で、「社会の役に立つことをしたい」「どちらかといえばしたい」も71.2%と、決して少なくない若者が、社会の動静に関心を持っていることがうかがえる。

その一方で、「社会の役に立つことをしているのか」の問いには、44.8%が「何もしていない」と…。

この記事読んで「なんだ、今の若者は~!」っていうのは簡単だけど、「お前はどうなんだ?」と聞かれた時に自信を持って「私は社会の役に立っている!」っていえる人ってどれだけいるんだろう?

若者のウチ44.8%が「何もしていない」ということは、裏を返せば55.2%は「何か社会に役立つことをしている」ということで、世の中には、世代を問わず「何もしていない人」と「何かしている人」がいるっていういたってシンプルな事実があるだけ…。


『若者「何もせず」』って批判するだけじゃなく、先ずは自分が「何か社会に役立つこと」をはじめなくっちゃ…。ですネ!?


出所:2月8日 静岡新聞 朝刊
  


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2013年02月11日

『企業情報の積極発信を』はいいけれど…

~14年卒の学生の就活 中小へ高まる関心~


静岡県内各地で大学や民間企業の就職ガイダンスが開かれ、2014年春卒業の大学生などの就職活動が本格化している。
そんな中、「学生の中小企業への関心が少しずつ高まっており、中小企業には学生向けの積極的な情報提供が求められている」という記事が…。


出所:平成25年2月8日 静岡新聞 朝刊

記事にもあるように、「学生が中小企業にも目を向けているのも事実!」というか、もともと地方の多くの学生は、大手志向が強かったわけじゃないんじゃない?「どんな会社があるのか?」「どんな基準で仕事を選べばいいのか?」がわからないだけじゃないだろうか…。

例えば、記事に出ている静岡大学。カウンセリング時には、「中小企業情報はどうやって集めるんですか?」って聴かれることが多いのに、記事にも出てきた就職説明会では、人だかりが出来るのは、行政やインフラ系他、知名度のある企業ばかりだったし…。

その一方で、一番気になるのは『各社は学生が将来ビジョンを描けるよう、分かりやすい企業情報を提供していく必要がある』というこの記事の最後のくだり。

モノには順番がある訳で…。新卒採用を考えている企業は、分かりやすい説明の前に、先ずは『採用した社員をどの様に育成していくのか』を真剣に考えて欲しい。社会の仕組みが分からない学生たちを、目先の労働力としてだけを考えて採用するんじゃ、お互いが不幸になってしまう。

「この会社で頑張ってみよう!」と考える学生が、選んで良かった(甘やかせというのとは全く違います)と思える様な体制がつくれている、若しくはつくろうと努力しているということが、新卒採用の必要条件だと思うのだけど…。


その上で、『企業情報をわかりやすく提供する!』ということだったら、この記事に納得です。
  


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2012年10月06日

働きやすい会社2012 パナソニック、再び首位

~日本経済新聞 本社調査~


日本経済新聞社は29日、主要企業を対象に実施した2012年の「働きやすい会社」調査の結果をまとめた。3年ぶりに総合首位となったパナソニックをはじめ、電機各社が上位を占める傾向が続いた。グローバル化に即した人材採用や、育児・介護との両立支援など働く環境の変化に素早く対応した企業が高い評価を得た。(中略)

パナソニックは前年の4位から順位を上げ、09年以来の総合首位。テーマ別でも「人材の採用・育成」と「多様な人材の活用」で2位に入った。グローバルに活躍できる人材の獲得に向け、中国や北米などに「リクルートセンター」を設けて現地で人材を一括採用。12年度は通年で1100人を採用し、来年度も同水準を予定している。(後略)

出所:2012年9月30日 日本経済新聞 朝刊

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う~ん、毎年恒例の『働きやすい会社ランキング』。パナソニックが首位ですか…。

2011年度の電機大手8社業績によれば、日立製作所が2期連続で過去最高となる最終黒字を計上する一方で、パナソニック、ソニー、シャープといったテレビを主軸に据える企業が過去最大の最終赤字。パナソニックの首位、なんか違和感を感じるな~。

まぁ、「期毎の業績で働きやすさを判断するわけじゃないんだから、業績の善し悪しについてとやかく言うんじゃない!?」なんていわれちゃうかもしれませんが…。

企業の存続は、企業にとって必要条件であるわけで、一時的な赤字はやむを得ないにしても、テレビを主軸にしている電機大手が何処に向かっているのかが見えてこないのが非常に気になってしまいます。いくら働きやすい会社であっても続けられなくなっちゃったら元も子もないですから…。

会社が「働きやすい環境を提供する」のと並行して、従業員は、自分の置かれた立場や状況の中で「主体的に会社を変えていこう!」と意識することも大切なんじゃないでしょうか?


会社(法人)は、そこに集う個人の集合体なんだから!


  


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2012年08月13日

入社3年「昇進いや」37% 

~民間調査 学生に戻れたら 44%「再就活する」~


一般社団法人・日本経営協会(茂木友三郎会長)の調査で、就職3年前後の社員の37.4%が「昇進したくない」と考えていることがわかった。いつまで働きたいかの質問には「転職できる実力がつくまで」が約3割でもっとも多く「定年まで」を上回る。44.4%は学生に戻れるなら「もう一度就職活動する」と回答。就職前のイメージと現実の違いが転職願望を強め、昇進意欲の低さにつながっているようだ。

日本経営協会が大学や大学院、専門学校を出て就職3年前後の社員700人を対象に今年6月に初めて調査した。現在の会社でどこまで昇進したいかとの問いには、25.4%が部長・課長職と答え、係長・リーダーが22.3%、経営陣が12.7%で、4割弱は昇進したくないと回答した。会社の雰囲気や人間関係が「学生時代に抱いたイメージより悪い」と答えた人のほうが昇進したくない割合が高かった。

今の会社でいつまで働き続けたいかとの質問には「転職できる実力がつくまで」が最多の29.3%。「定年まで働き続けたい」は19%で、終身雇用をイメージするのは2割弱にとどまっている。

日本生産性本部が今春入社した新入社員を対象に実施した調査では「今の会社に一生勤めたい」が6割を超えて過去最高だった。「入社3年を経た若者と新入社員の間には職場への思いに大きな変化が起きている可能性がある」(日本経営協会)という。

出所:2012.8.13日本経済新聞 朝刊

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「昇進いや!」が37%だって…?「う~ん、また内向き志向の若者に対する批判の記事かな…?」と思いつつ、記事を読んでみた。

で、実際のアンケートの質問は、正確には「昇進したいか?」ではなく「今の会社で昇進したいか?」という内容。この質問に対し、4割弱の若者が「今の会社では、昇進したくない」と答えているというわけだ。

加えて、経営者協会が発表したこの調査結果のサマリーを読んでみると、【若手社員の職業観】についての問いでは、『モチベーションが下がる理由』の1位が『職場の倫理観の欠如、不正、不祥事に気付いた時』(34.9%)だったり、『希望する職場』の1位が『上司や部下の立場に関係なく意見が言える』職場(48.3%)、などという結果…。

せっかくがんばって仕事しようと思っていたのに、「入ってみたら、旧態依然とした職場環境にがっかり!?」という若者が多いことが推察される。


この記事を読んで、「すぐにやりたい仕事が出来るわけじゃない。若者の根気が足りないだけだ!」と切り捨てちゃうのは簡単かもしれない。

ただ、わたしたち自身(おやじ世代)が、「事なかれ主義に陥っていないか?」「今の日本の会社の閉塞感の原因はわたしたちにあるのでは?」と自問自答することからはじめる必要もあるのでは、と感じさせられた記事でした。


  


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2012年05月30日

パート労働条件見直し 厚労省方針

~「正社員並み待遇」10万人増~


厚生労働省は正社員と同じ働き方をする有期契約のパート労働者の待遇を正社員並みにするように制度を見直す方針だ。約10万人のパートの労働条件が改善される一方、企業にとっては負担増になる。制度の見直しに必要なパート労働法の改正案を来年の通常国会をめどに提出することを目指す。

厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会の分科会に29日に見直し案を提示する。パート労働者は(1)仕事の内容が同じ(2)転勤などの働く仕組みが同じ(3)実質的に無期契約――のすべての条件を満たした場合のみ、正社員と同じ待遇にすることが企業に義務付けられている。このうち「実質的に無期契約」という条件を削除する方針を決めた。

現状で正社員待遇を受けているパート労働者は全体の1.3%の約18万人。条件の緩和によって対象は約29万人にまで広がる見込み。具体的には、給与や福利厚生施設の利用、教育・訓練などを正社員と同じにする。

ただ、保護の対象が広がることに一部の企業が反発する可能性もある。通勤手当をパート労働者にも支給するかなど、労使の意見対立が残る点もある。厚労省は今後、細部を詰めたうえで、来年の法案提出につなげる方針だ。

出所:2012年5月29日 日本経済新聞 朝刊

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「同じ仕事をする人は、同じ処遇で働けるようにする」。このことに、異論がある人はいないだろう。

心配なのは、「この施策を実施することによって、企業の生産性が大幅にUPするのか?」ということ。記事を読む限りでは、「施策の実行による生産性のUP」に関する視点があるようには思えない。

であると心配なことが…。賃金の総原資が変わらず、パート労働者の労働条件を正社員に合わせるには、「1.利益を削って(あるいは赤字になって)でも、原資を捻出する」or「2.正社員の処遇を悪くする」のいずれかを選択しなくてはならないハズ(小学校の算数レベルの話ですネ)。


新聞は「一部の企業が反発する!」なんていう中途半端な論評じゃなく、「厚労省は、二択のどちらを選ばせるつもりなの?」くらいのことを書いて欲しいな~、と思ってしまった。


  


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2012年05月29日

知名度より仕事内容 就職、地元志向に拍車

~大学や自治体、Uターン支援~


来春卒業する学生の就職活動で、出身地での就職を目指す動きに拍車がかかっている。「地域の役に立ちたい」との思いや、企業の規模や知名度より仕事の内容を重視する姿勢を、インターネットの普及で中小企業の情報収集が比較的容易になったことなどが後押ししている。中小企業の採用活動はこれからが本番。Uターン就職を支援する大学や自治体も多く、こうした傾向はさらに強まりそうだ。(中略)

都市部での大企業への就活は志願者が集中しがちで、競争が厳しい。生活コストも高い。これまでも景気の波を受けるたび、「安全策」としてUターン・Iターン就職が注目を集めたが、最近の学生の声を聞くと「地域の役に立ちたい」との積極姿勢が目立つ。(中略)
静岡県は首都圏や地元の学生向けに夏に実施している県内企業を巡るバスツアーを、今年は9回と昨年度の3倍に増やす。「魅力のある企業が地元に多数あることを知ってほしい」と就活生へのPRに余念がない。(中略)

企業側はどうか。四国のある地方銀行は「地元に貢献したいと訴える、目的意識のはっきりした学生が増えた」と指摘。全国信用金庫協会(東京)は「経済が低迷を続ける中で育った世代だけに、金銭欲や物欲より目に見えない成果を求めているのでは」と分析する。
中小企業は通年採用しているケースが多く、大企業の採用が一段落する6月以降、就活が本格化する。リクルートは「大学側も、地方の中小企業に目を向けるよう指導を強めており、学生に徐々に浸透している。今後もこうした傾向は強まるだろう」とみている。

出所:2012年5月28日 日本経済新聞 朝刊

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大学生の仕事選びの基準が、『企業の規模や知名度』から、『仕事内容』や『地域の役に立ちたいとの思い』に変化しているっていう記事ですね。

「仕事選びの着眼点が多様化(?)している」ということについては、素直に「いいね!」と思います。それが、『仕事内容』や『地域の役に立ちたい』という想いなのであれば、尚のことです。

ただ、実際に学生たちと接している中で、彼らのコメントを「額面通りに受け取っていいのか?」と、疑いの目で見ているもう一人の自分がいます。例えば、記事にある四国の地方銀行のコメントに「地元に貢献したいと訴える、目的意識のはっきりした学生が増えた」とあるけれど、「ほんとかな~?」なんて思っちゃうわけです(学生のみなさん、気を悪くしないでネ!?)

確かに、面接で「地元に貢献したい」と訴える学生は増えたと思うけれど、更に突っ込んだ質問をすると「大手はハードルが高そうだし、競争も激しいから…」とか「親元から通えば、経済的に楽だから…」とか、意外と現実的な考え方で企業選びをしている学生が多いことに気付きます。まぁ、学生の側も、深堀した質問を受けてはじめて自分の応募理由に気付くケースも少なくはないのですが…。

少しだけ心配なのは、「『地元指向』『中小企業指向』のベースにあるモノが、『内向き』『後ろ向き』じゃなければいいけれど…」ということ。


まぁ、働く目的は十人十色でよいと思っている私が、言うべきことじゃないのかもしれませんが…(笑


  


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2012年05月28日

縁故採用はルール違反か

~行政、公平な方法求める~


大企業の新卒採用活動がヤマ場を迎えている。一般に採用は「公平な方法で行うべきだ」といわれるが、一方で知人や社員の「縁故」を頼った採用も少なからずある。縁故採用は法律上、問題があるのだろうか。

公平な採用活動を義務付けたルールは、実は少ない。法律で明確に定めているのは、採用時の性差別などを禁じた男女雇用機会均等法と、年齢を理由に採用で差別することを禁じた雇用対策法の2つだ。

労働基準法では、労働者の思想信条によって賃金などで差をつけることを禁じているが、これは雇用後の話。「縁故採用を禁止する法律はない」(厚生労働省就労支援室)のが実態だ。(中略)

採用では「応募者に広く門戸を開き」、本人の「適性・能力以外の点を採用の条件にしない」ことを求めている。厚労省就労支援室は「企業には社会的責任もあるので、就職活動をする人は基本的に広く応募してほしい」と話す。

ただ、実際にはある程度絞った形で採用活動をする場合も目立つ。例えば理系の大学院生は、教授の紹介で企業の研究職に就くことが多い。企業にとって、特定分野での技能を持った人材を集めやすいからだ。今年2月には岩波書店が「著者の紹介状あるいは社員の紹介」を採用選考の応募資格としたことが話題になった。岩波は著名出版社だが、採用は若干名。応募人数が多くなれば採用側の事務負担も見逃せなくなる。(後略)

出所:2012年5月28日 日本経済新聞 朝刊

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縁故採用の是非を、法務の観点から説明した記事。厚生労働省のコメントを要約すると、「縁故採用を禁止する法律はないけれど、企業には社会的責任もあるので、幅広く(公平に)公募してね!」といった結論になるようだ。

そんな中、法的な問題は別にして、私自身が考える『縁故採用』についてコメントしてみたい。

日本の学歴社会の中で育ってきた私は、かつて『縁故』という言葉に違和感があって、「情報は平等に提供されなくてはならない」と考えていた。『縁故』=『非正規ルート(裏口入学)』みたいなイメージがあり、「正々堂々と正面突破することが大切だ!」などと考えたということだ。

ところが、企業の採用担当としての活動や、再就職する方のカウンセリングをする中で、「『縁故』も悪くない。『縁故』、大いにありじゃない!?」という様に感じるようになり、最近では「転職を考えたら、まずは『縁故』を考えてみて…」と話すようにしている。何故かと言うと…

まず、採用担当の立場で言うと、「『縁故』での応募者は、人柄についての心配が少ないケースが多い」ということ。応募者がどの程度の職務スキルを有するかは別にして、紹介者だって、安心して紹介できる人でなければ紹介しない。また、かつてと違って、「『縁故』で紹介されたからお付き合いで採用する」などという企業は皆無だし、紹介者もそんなことは百も承知なので、採用基準に満たなければ、当然、採用には至らない。ということで、最近では、『縁故』での応募者には積極的に会うようにしているし、よい結果につながっている。

次に、カウンセラーの立場で言うと、「今やっている仕事が嫌で、後先考えずに辞めてしまう人が多いなぁ~」と思う。新卒ならばまだしも、社会経験のある大人(?)が職を辞すのだったら、会社に辞表を出す前(もしくは、ハローワークに行く前)に、友人・知人に就職の相談をしてみてもいいんじゃないかと思う。その際の相談は、「いいところがあったら紹介してくれないか」といった他力本願ではなく、「今までこんな経験を積んできた、経験を活かせるところの情報を持っていないか?」といった前向きな情報収集だ。「仕事をして報酬を得る」といった自律の精神なしに就職を成就することは難しいわけだし…。まぁ、こんな話をしても、多くの求職者は、「友達にだけは、求職相談なんてしたくない!」というのだけれど…。

前述したように、『縁故』に対する企業の考え方も変化してきている。「なんとか私を雇ってください」と懇願するような応募者とはお会いしたくないが、「貴社のために、こんな風にお役にたてるハズ!」という応募者だったら「是非とも会いたい!」という人事担当者は、少なくないと思うのだけど、どうだろう?

以上、私自身は、ハローワークや求人情報誌、求人サイトを使った就職活動だけじゃなく、自分自身のネットワークを駆使した求職活動を考え、実行するのが大切だと思っている。


公平性が重要であることを否定するつもりはないけれど、企業にとって採用の善し悪しが事業の盛衰に直結するわけで…。労働市場が需要と供給のバランスで成り立っている以上、何をもって「公平」と言えるのかを、今一度、考えてみる必要もあるんじゃないかと思う。


  


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2012年05月14日

大学に「ハローワーク」 500カ所、相談員常駐へ

~厚労省、地元企業など紹介~


厚生労働省は職業紹介・相談業務にあたる公共機関ハローワークの窓口を全国の大学に設置する方針を固めた。専門相談員が500カ所の大学に常駐し、学生の就職を支援する。大企業や有名企業に目を向けがちな学生に、優秀な人材を求める地元の中小企業やベンチャー企業を紹介することで新卒雇用を底上げする狙い。政府が6月にまとめる若者雇用戦略に盛り込み、来年度の設置を目指す。(中略)

具体的には、来年度から大学に窓口の設置を始め、最終的には500程度の大学に設置することを目指す。専門相談員の不足が見込まれる場合は、来年度予算で増員要求する。窓口は大学の求めに応じて設置するが、地方の国公立大学、歴史の浅い私立大学を主な対象に想定している。

大学の窓口では、専門相談員が無料で個別の就職相談に応じる。学生の話を聞いて、自己PRや履歴書の書き方、面接の対応方法を指導する。学生の希望に合った企業を紹介するだけでなく、地域で成長している中小企業などと学生を結びつけることで雇用のミスマッチを解消する。中小企業は学生の採用意欲が強くても資金的な余裕がないため、民間の求人情報会社を使って学生を集めることが難しい面もある。(後略)

出所:2012/5/13付 日本経済新聞 朝刊

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私は、昨今の大学生の就職内定率が低迷している現状を、「社会問題だ!」と考えているので、若者支援の施策を考え実行することには大賛成だ。

ただ問題なのは、「正確な新卒労働市場の把握が出来ているか?」とそれに付随して「施策は的確か?」ということ…。

まず、「正確な新卒労働市場の把握」について、記事では「大企業や有名企業に目を向けがちな学生…」との記載があるが、はたしてそうなんだろうか?確かに、「大手企業じゃなきゃいや!」という学生もいるけれど、地方の多くの学生は、大手企業に対しての就職活動で結果が出なければ、中小企業にターゲットを変更している。

その際、学生からは「中小企業の情報がない!」という話が出て、「だったら中小企業はもっと情報発信を…!」ということになるわけだが…。

そもそも「新卒を受け入れる意欲や素地のある地元の中小企業やベンチャー企業の労働市場がどの程度あるのか?」がわからない。また、中小企業に新卒採用をする気持ちがあったとしても、「受入体制のサポートがないまま、中小企業が新卒を受け入れることが出来るのか?」という疑問も頭をもたげてしまう。


で、仮に「正確な新卒労働市場の把握」が出来たとして、次のステップ。「大学の窓口で、専門の相談員が無料で個別相談に応じる」とあるけれど、ここでいう専門家とは、どんな人をイメージしているのだろうか?

昨年度、ある大学のキャリアセンターの職員に、「『行政の緊急雇用対策で、相談員を派遣してくれる』との話が来た」という話を聞いた。その方曰く、「仕事がなくて、緊急雇用で採用された人が、学生に就職のアドバイスが出来るなんて、到底、考えられない」と言って受け入れを断ったとおっしゃっていた。


私は、現在の日本のキャリアカウンセラー(もしくは、就職相談員?)の社会的地位も待遇もけっして高くないと思っている(別な見方をすれば、「敷居が低い」とも言えるが…)。

本当に専門の相談員を配置する気があるのなら、そのあたり(地位と質の向上)から考える必要もあるんじゃないかと思う。


  


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2012年02月01日

高校生就職内定率85%

~12月末、前年比6.9ポイント上回る~


静岡労働局が30日発表した今春卒予定の県内高校生求人・求職状況によると、2011年12月末時点の就職内定率は85.0%と前年同月を6.9ポイント上回った。未内定者は957人と前年同期を78人下回っている。(中略)

静岡労働局は未内定者にハローワークへの登録を勧め、常駐する学卒ジョブサポーターが、個人の希望に合わせた求人開拓や情報提供を行っていく。

また、3月に県内4カ所で就職面接会を実施し、年度内の就職を後押しする。

出所:1月31日 静岡新聞

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高校生の就職内定率がUPしているという記事に、少しだけホッとします。もちろん学生の努力もあるんだろうけど、「各高校の進路指導の先生の頑張りが大きいよな~」と思います。

そんな中、「内定率アップのために必要な要素って何だろう?」と考えているのだが…。

昨年末から1月末にかけて、静岡県中部地区の高校の就職・進路状況を収集する機会があった。で…

最初に情報収集できた数校については、「就職希望者でまだ決まっていないのは数名」との答え。「あれ~、労働局のデータや報道されている状況とちょっと違うんじゃ…?」という疑問がわいてきた。

で、情報収集できた最後の一校、「まだ、60%くらいしか決まっておらず、かなり苦戦している」との話。で、なんとなく女子学生の就職が厳しい様で…。

ということで、あらためて『高校 求人・求職・就職の状況』(静岡労働局・平成23年12月末)で内定率を見てみると、男子学生89.2%に対し女子学生79.7%と10ポイント近く差があるじゃないですか…。

あくまで(高校の進路指導の先生の話や、女子大生との会話を通しての)仮説ですが、女子学生の場合、親が未だに「いい会社(?)に就職できないんだったら、あせって就職しなくてもいいんじゃない!?」とアドバイスしているんじゃないかと推察したんだけど、どうなんでしょう?

ということで、現時点での私の考える『内定率アップのために必要な要素』は、『本人の意識』『学校の先生の熱意』に加えて、『親の影響』(実は、これが一番大きい?)をあげたいと思います。

もうひとつ気になるのは、『就職率』だけじゃなく、就職後の『職場定着』の問題。こちらに関しても思うところはあるのですが…。

本日は、ここまで。

  


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2012年01月21日

女子大に新役割

~リーダー育成に力~


共学人気に押され気味だった各地の女子大が、新しい役割に挑戦している。「企業や地域で活躍できる女性リーダーの育成」だ。まだ少ない指導的立場の女性を増やそうと、女子大ならではの授業を展開。共学校との違いをアピールしている。

国立お茶の水女子大は2009年からリーダー育成教育を本格敵に開始。社会の第一線で活躍する講師が「求められる女性リーダー像」を講義する科目や、企業の商品開発チームに加わりながら組織をまとめる手法を学ぶ科目など、多彩な授業に取り組んでいる。

頼住光子教授は「企業や地域のリーダーは力で押すタイプが多かったが、社会が複雑化し生き方も多様化した今、人の意見に耳を傾け共感で物事を進めるタイプも必要だ。そうしたリーダーに向く人材は女性に多く、育成は女子大の重要な役割」と話す。

同様の教育に取り組む私立椙山女子学園大の東珠実教授は、他の共学校での授業経験から「共学は男子がリーダー、女子が補佐役に回る傾向があるが、女子だけにリーダー育成授業をやるわけにはいかない。しかし男子への遠慮が要らない環境なら、女子学生は背中を押されれば伸び伸びとリーダーシップを発揮する」と女子大の利点を強調する。(後略)

出所:1月19日 静岡新聞 夕刊

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リーダー不在が指摘される日本において、『リーダー育成に力』を入れる大学が増えていくことには、多いに歓迎したい。

多種多様なリーダーが排出されることを期待するし、記事にある女子大の取り組みには、多いに注目したい。ということで、趣旨には多いに賛成なのだが…。

記事には、椙山女子学園大の東珠実教授の「共学は男子がリーダー、女子が補佐役に回る傾向がある…」のコメントがあったし、もちろんそんな側面はあると思う。ただ、その一方で、「女子学生の方が男子学生よりもエネルギッシュだったり、リーダーシップがとれている場合も少なくない!」とも感じる。

女性がリーダーシップを発揮できないのは、「育成が出来ていない」ということよりも、日本社会が男性中心でまわっていることに原因があるんじゃないかとも思うのだが…。

私自身は、それを女子学生の就活の場面などを見て感じる。「社会に出てからも、会社の牽引役としてリーダーとしての役割を演じたい!」と考えている女子学生が、就活をはじめてしばらくすると、日本の多くの会社の現実を知り、「自分が活躍できる場は、ないんじゃないか?」と落ち込むことは少なくない。

例えば、「海外営業として、バリバリ活躍したいと思っていたのに、女性には、その役回りは期待されていない様だ」などと落ち込むというケースだ。


ということで、「女子大でリーダー育成を進める一方で、社会の側が女性リーダーに大きな役割を期待する様な素地を創っていくことが大切だよな~」と考えさせられた記事でした。


  


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2012年01月12日

パートへ厚生年金適用拡大

~中小企業は猶予~


厚生労働省は社会保障と税の一体改革案に盛り込んだパート労働者の厚生年金・企業健保への加入拡大で、当面は従業員300人以下の企業で働くパートの猶予をする方針だ。中小企業の保険料負担が急増しないよう対象者を絞る。(中略)

厚生年金・企業健保の拡大はパート労働者への給付を手厚くする狙い。ただ、激変緩和措置の内容次第では、負担増に企業の反発が強まる可能性もある。(後略)

出所:1月11日 日本経済新聞

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「パートへ厚生年金適用拡大」という記事だけど、よくわからない?で、何処がわからないかというと…。

そもそも厚生年金の対象にならない労働者は、国民年金に加入するというのは周知の事実。また、国民年金は、対象者のみが保険料負担するのに対し、厚生年金は、対象者と企業の折半で、且つ年金の支給金額も違うということも常識。

確かに、中小企業にとって厚生年金の対象になる社員が増えるのは大きな負担だから、従業員300人以下の中小企業に猶予を設けるという話は、わからないでも無い。

ただ、これって、労働者Aさんが、同じ時間働いても、勤める会社の企業規模によって、厚生年金の対象者になれる場合となれない場合があるということになるんだよね。

それでなくても、現在の日本の年金制度は、つじつまが合ってないのに、こんな継ぎ接ぎだらけの改革案で大丈夫なんだろうか?と思ってしまった(僕の記事の読み込み方が、おかしいのかな~?)。


う~ん、こんなネガティブなネタを、新年初Blogに取り上げてしまった…(苦笑


  


Posted by オルベア at 22:56Comments(0)新聞記事

2011年12月15日

「正社員主義」が蝕む雇用

~規制強化に死角はないか~


子ども手当、高速道路無料化、高校授業料の無償化と、民主党が2009年の政権交代時に掲げた公約は次々に後退した。

だが今も健在の政策がある。労働規制の強化だ。

仕事があるときに働く登録型派遣や製造業派遣を原則禁止とする労働者派遣法改正は成立の見通しが立っていないが、それにもめげずに現在、働き方や雇用する側の自由度を下げる動きが2つ進行中だ。いずれも労働政策審議会が年内に答申をまとめる。規制強化は二の矢、三の矢が繰り出されている。

一つはパートや派遣、契約社員など期間を定めて契約を結ぶ「有期労働」全体への規制だ。有期労働契約を結べる仕事を一時的、季節的な業務に限ったり、契約の更新回数に上限を設けたりするというものだ。(中略)

もう一つは60歳以降の雇用についてだ。厚生年金の支給開始年齢引き上げに伴い、定年後も働きたい人は65歳までの雇用を企業に義務づけようとの動きがある。継続雇用は今は勤務評価が一定以上などの基準を労使で設ければ対象者を限れるが、基準を廃止し、希望者全員が来ようされるようにすべきだという。

こうした規制強化の停留にあるのは正社員こそが本来の雇用形態と考え、その人たちを保護する「正社員主義」だ。(中略)

非正規で働く人や若者の雇用に十分な手当をせず制度変更を進めるのは責任ある態度とはいえない。20年前に5人に1人だった非正規社員は3人に1人に増えた。15~24歳の完全失業率は直近9月で7.2%に達する。政策はこれらの現実に目配りする必要があるはずだ。(中略)

年功賃金など正社員の既得権を守ったままでは国全体の雇用は安定しない。時代遅れの正社員主義が日本を蝕む。

出所:11月13日 日本経済新聞 中外時評:論説副委員長 水野裕司

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興味深い記事だったので、現役大学生が、どんな風に感じるのかを知りたくて、授業の際に感想をレポートしてもらった。

以下に抜粋を…。

先ずは、【有期労働規制】について

「現在、非正規雇用で働いている人は多く、規制強化すれば、その分、影響を受ける人がいる。働き方や雇用する側の自由度も下がります。」「有期雇用で働いている人は750万人もおり、もし規制によって正社員を増加させようとしたら、並行してリストラをしなくてはならない」「今は、有期労働を有効利用してなんとかやりくりしている企業の方が多いと思います。その様な企業にとっては、とても負担が大きい政策だと思います」等、【反対】意見が圧倒的。

とはいえ、「雇っている側は他人事かもしれないが、有期雇用で働いている人は不満がたまっている。雇われる側の立場も理解することが大切」「正社員雇用率が年々減り、非正規社員の雇用率が年々上昇している。そういった中で、期間を定めて労働契約を結ぶと、派遣やパートの人はますます苦しくなってしまう」「日本は『正社員主義』のままでよいと思った。日本は昔から正社員を雇い、年功序列賃金や終身雇用制度だった。そして振り返ると、そのころの社会は活気にあふれていた」等の【賛成】派も…。

その他、「とりあえず、正社員・非正規社員という言葉がなくなればいいと思う」「今の正社員主義を変える、古い考え方を変えていかなければ、職は安定しないと思う」等の意見も…。

僕も正社員・非正規なんて分け方をしているようじゃ、この問題は解決しないように思います。


もう一つは、【60歳以降の雇用延長】について

こちらも昨今の新卒採用の難しさを反映してか、「60歳以上の人が働いたら、その分、新卒者など若者の雇用が減ってしまうから」「正社員を守るために、非正規社員や新規採用者の人たちが犠牲になってしまうから。私は定年まで政府が介入する必要は無いと思います」等の【反対】が圧倒的。

ただし、「厚生年金の支給引き上げになってしまった場合、もし定年退職が60歳だったらその空白の時間の賃金はどうしたらよいか困ってしまう。なので、65歳までの雇用を義務づけることは、賛成」「職場に高齢者がいることで、若い社員に自分が今まで経験したことを教えることが出来る。高齢者がいきいきしている職場は接待に成功している企業だと思います」なんて意見も…。


全体を通して、こんな意見を書いてくれる学生もいたことを紹介しておきたいと思います。

■今回の記事を見て、必死で努力を続けている者が報われない現実に違和感を覚えました。私は仕事とは自分が必死になれて、且つ第3者に何かを伝えたり与えたり出来ることが本当の魅力であると思います。

■年功賃金などの今までの正社員の権利や当たり前のことをこれからも続けていたら、日本全体の雇用は安定しないと思った。これからの世の中(日本)を担っていくのは、自分たちであると改めて思いました。

■すべての人たちを平等に考えて行くことは、かなり難しいことかもしれない。


学生たちのレポートを読ませてもらい、「『年齢・性別・置かれた環境に関わらず、疑問に思ったコトを解決していこうという姿勢』を大切にしなくちゃ!」と考えさせられました。



  


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2011年10月22日

遅い就職活動 学生に焦り

~経団連方針10月→12月に変更~


経団連の方針で大学3年生の就職活動が例年より2ヶ月遅れの12月開始になったことが、就職戦線に影響を与えている。

採用情報が載る就活サイトはいまだ本格オープンせず、昨年は既に始まっていた企業説明会も自粛。空前の就職難の中で活動時間が短くなり、学生の表情には焦りが浮かぶ。大学側もセミナー内容を変更するなど対応に追われている。

出所:10月21日 日本経済新聞

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う~ん、「学生の表情には焦りが浮かぶ」だって…。まぁ、焦っている学生もいるのはわかるけど、首都圏と地方の違いだろうか?僕の知っている学生たちは、比較的のんびり構えている様だ。

むしろ焦っているのは、学生たちの心の動きが読めない企業の採用担当者の方なんじゃないの…?

そんなことよりも、僕が一番「イヤだな~」と思うのは、メディアの就活の取り上げ方だ。『学生に焦り』『今年度も“超氷河期”』等々、いらんコピーが踊ることによって、就活のコトを何も心配していなかった学生までが、「私たち、大丈夫なんだろうか~?」と萎縮しはじめちゃう。

採用担当者としての立場で言わせていただければ、企業は意欲あふれる学生を迎え入れようと、時間とお金をかけて採用活動に取り組んでいるわけで…。「一緒に働く仲間を見つけたい」とは思っていても、「採用してやる」なんて気持ちはこれっぽっちも無いんだヨ!?


「社会に出て、がんばって働きたい!」って気持ちさえあれば、心配なんていらない。メディアからの情報なんて気にせずに、ガンバロ~!!


  


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2011年09月18日

「夫が働き、妻は家庭に」32%

~県民意識調査~


静岡県がまとめた「男女共同参画に関する県民意識調査」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考え方について、県民の32.6%が「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した。「反対」「どちらかといえば反対」と回答した人は58.4%だった。

男女別で見ると、男性の41.2%が賛成の意を示し、51.5%が反対の意を示した。一方、女性の64.7%が反対の意を示し、2009年の調査より1.8ポイント増加した。

また「社会全体でみた場合、男女が平等であると思うか」という問いには、全体の70.5%が「男性優遇」と回答。「平等」としたのは15.6%にとどまった。

調査は郵送形式で今年7月に実施。577人(回答率28.5%)から回答を得た。

出所:9月16日 日本経済新聞

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へぇ~、「夫は外で働き、妻は家庭に」という考え方、「賛成」32.6%、「反対」58.4%なんだって…。僕だったら、「どちらって答えるかな…?と」考えた。

う~ん、「賛成」と「反対」の二択じゃ難しいな~。だって、妻にも働いてもらわなくっちゃ生活していけないもの…(苦笑

そういった意味じゃ、男性の41.2%が「賛成」っていうのは、僕にとって驚くべき数値だ。単に、僕が甲斐性なしなだけかもしれないけれど…(汗


「私は将来、専業主婦希望です!」なんていう女子大生に対し、「そんな時代じゃないよ!」と言っている僕だけど、もしかしたら、そんな妻を望む男性も、結構多いのかもしれないネ?!


  

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2011年09月10日

1年以内の離職率上昇

~高卒18.5% 大卒13%~


県内事業所に就職した2010年3月新規学卒者のうち、1年間で離職した高卒者は18.5%と前年を5.8ポイント上回ったことが静岡労働局の調べで分かった。中卒者は50.6%と2人に1人が仕事を辞めている。離職率は大卒、短大等卒も前年を上回り、厳しい就職戦線の一方で、若者の早期離職も増加している状況が浮き彫りとなった。(中略)

10年3月卒はリーマン・ショックの影響で県内求人が大幅に落ち、高卒の求人数は7千人台と過去最低となり、高卒以上の内定率もデータが残る1995年以来、3番目に低かった。学生らは少ない求人の中で就職したものの、職種や条件などが合わずに早期離職につながったとみられる。

静岡労働局は「職業に対する意識啓発や、ジョブサポーターによる職業講話などを強化する必要がある」(職業安定課)と指摘する。11年3月に卒業した学生に対する求人数も前年を下回っていることから、「今後も離職率が増加する可能性がある」と懸念している。

出所:9月9日 静岡新聞

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「石の上にも3年!」と言われ、新卒で入社した会社に勤め続けるのが常識だった30年前、社会人になってたった3年の間に3つの職場を転々とした私には、若者を頭ごなしに批判することなど出来ないけれど…

現代社会において、キャリアを積まないままの離転職は不利であることに間違いは無い。ましてや、リーマン・ショック後の厳しい労働市場の現状を考えると「やっと就職できたのに、1年で辞めてしまうなんてもったいない~」と思っちゃう。

そんな観点から考えると、静岡労働局の『職業意識の啓発』や『職業講話』への取り組み強化の姿勢は評価していいんじゃないだろうか。

ただその一方で、早期離職って「若者だけが悪いのかな~?」と思ってしまう自分がいる。若者たちを採用した企業は、「彼らを育てる努力をしているのだろうか?」「もしかしたら、辞めることを前提とした採用計画を立てている企業もあるんじゃ…?」などという疑問が沸いてくる。

早期離職対策と言うと、『働き手に対する啓蒙活動』ばかりが、クローズアップされるけれど、併せて『企業(経営者)に対しての啓蒙活動』も考えていかないと、「片手落ちなんじゃない…!?」と感じちゃう!!


※関連情報:9月13日(静岡)、15日(三島)、16日(浜松)で、『若年者に対する職場定着セミナー』で講師を務めさせていただきます。


  

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2011年09月03日

ワーカーホリックも悪くない

~仕事と生活の比重 人それぞれ~


-ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)に違和感があるとか。

「生活の充実があってこそ人生の生きがいや喜びは増すので、仕事と生活の比重を程良く保つのが大切だとワーク・ライフ・バランス論者は主張します。その中で仕事に比重を置いた人生がまるで悪であるかのような批判を聞きます。でも仕事に没頭する人生はほんとうに間違いなのでしょうか。働く意義を軽んじている印象をワーク・ライフ・バランス論から受けます」

「欧米ではワーク・ライフ・バランスが実現していると吹聴されますが、それも疑問です。国連で働き、世界各国の人々と同じ職場で過ごしました。日本と比べれば家族を大切にし、生活を尊重する傾向が強いかもしれませんが、個人差も大きい。早朝から深夜まで働き、休日も返上するようなワーカーホリックは国籍や性別に関係なく、存在します」(中略)

「語感の問題もありますが『ワーク・ライフ・バランス』だと、仕事と生活は半々が好ましいとイメージしがちです。実際そう誤解している人も少なくありません。でも何に人生の重きを置くかは人それぞれ。心から仕事を楽しめるならば比重が80対20でも構わないし、過程を重視したいなら20対80でも問題はない。大切なのは比重を自ら選べ、それに応じた働き方が実現出来ることです」

出所:8月22日 日本経済新聞(領空侵犯) 朝刊

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上記は、元国連事務局長 明石康 氏のインタビュー記事だ。

「仕事に没頭する人生はほんとうに間違いなのでしょうか。働く意義を軽んじている印象をワーク・ライフ・バランス論から受けます」という明石氏のコメントを読んで、多くの人は「『仕事に没頭する人生が間違いだ』なんて思っていない!」と言うのかも…。

けれども、私自身【サラリーマンとの会話の場】でも、【新卒の就活時の面接】でも「ワーク・ライフ・バランスを大切にしたい…!」というコメントを聞くことがすっごく多いし、その中に「働き過ぎはよくないよネ!」というニュアンスを感じちゃうのも事実。まさに明石氏の受ける印象と同じだ。

私自身は、「バランスをとるのもいいけれど、【仕事もプライベートもほどほど】じゃ、さびしいよネ!?」と思っている。その場で感想を述べる場合もあれば、心の中でつぶやくだけの場合もあるのだけれど…。

そもそも仕事とプライベートって表裏一体。無理にバランスを取ろうとするんじゃなく、自分の好きな様に目一杯生きるのがいいんじゃないだろうか。


加えて、脚注に…
【もうひと言】  国際競争も激しい。ほどほどの働き方では日本再生は難しい。
との記述も…。


自分の好きな生き方をイメージする際、環境がどう変化しているのかを知っておく必要もあるだろうな~!?


  

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2011年08月26日

大切なのはノーということ

~ジョブズ氏 破壊と創造~


スティーブ・ジョブス氏がアップルを仲間と創業し、カリフォルニア州ロスアルトス市の自宅でパソコンを開発してから35年。スマートフォンやタブレットの市場を開拓し、既存パソコンを自ら脇役に追いやったジョブズ氏の歩みは、破壊と創造の繰り返しだった。

本人は技術者ではない。「大切なのはノーと言うこと」が身上で、製品の使いやすさや美しさに徹底してこだわる「最もうるさいユーザー」だ。(中略)

24日時点ではジョブズ氏の病状は明らかにされていない。米メディアでは重病説が流れる一方、元気にしているようだという報道もあった。

出所:8月26日 日本経済新聞
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アップル製品との最初の出会いは、7年ほど前。当時、高校進学祝いに「MD(音楽プレイヤー)が欲しい」と言った娘に、「これからは、iPodだよ!!」と勧めたのが最初のコト。それまで、井深大&盛田昭夫のSONY信者(?)であった私がアップルに鞍替えした瞬間だ。

以降、iPod、iPod shuffle・touch、iPhoneと…、いつの間にか我が家には、両手に余るほどのアップル製品が…。

私にとってのアップルは、まさにスティーブ・ジョブスそのもの。記事を読んで、あらためて「ジョブズの『破壊と創造』の魅力に魅せられていたんだな~」と思った。

現時点では、ジョブズ氏の病状は不明だが、「元気にしている」ことを信じたい。


また、ジョブス氏を見習い、『【Yes or Noの判断】が出来る眼』『【No!】と言える勇気』の2つを得るための努力を惜しまない様にしたいとも感じた。


  

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2011年08月05日

今春の大卒就職率61%

~進路未定19%、10万7千人~


今春大学を卒業した人のうち就職した人の割合は昨年より0.8ポイント増の61.6%だったことが4日、文部科学省の学校基本調査速報で分かった。リーマンショック後の雇用悪化で前年比の下落幅が過去最大だった昨年とほぼ横ばいで、2000年頃の就職氷河期に次ぐ低水準となった。

大学卒業後に正社員にならず、進学もしない「進路未定」は計10万7,134人で、卒業者の19.4%を占めた。文科省は「雇用環境は依然厳しい」としている。(中略)

就職率は国公私立大の卒業生の中で就職した人の割合。先月、文科省と厚生労働省が発表した「就職内定率」は就職希望者に占める内定者の割合で、91.0%だった。

大卒者数は1万1,366人増の55万2,794人。このうち就職した人は1万1,356人増の34万546人。「進学も就職もしていない」は814人増の8万7,988人(15.9%)、「アルバイトなど一時的な仕事」は186人減の1万9,146人(3.5%)、「大学院などへの進学」は1,897人減の7万642人(12.8%)。(後略)

出所:8月5日 静岡新聞

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平成15年度の55.1%を底に上昇していた就職率は、平成20年度には69.8%まで上昇したものの、平成21年度以降は低下し、平成23年度は61.6%。「え~、大卒就職率が61%~?」なんて、驚く人もいるかもしれないけれど、現場で学生と接している人間にとっては、この状況は想定の範囲内だろう。

現場で学生の相談にのったり、実際に採用面接をしている私としては、「就職率」という数値よりも、その内容(中身)の方がず~っと気にかかる。そんな風に思っていたら、人事担当者の友人が、facebookでこんなコメントをつぶやいていた。


頑張ってるけど決まらないのか、社会のせいにしてあきらめ気分でやって案の定決まらないのか、、、面接していると心配になるケースが最近多い。。。


う~ん、同感。親や大学の心配をよそに、当事者である学生の中には「自身の就職を他人事と思っているんじゃないか?」と感じさせる者も少なくない。また、「就活にはすごく熱心だけど、これじゃ採れないな~」と感じさせちゃう学生も少なくない。就活を上手くやることばかりに目がいって、肝心の『働くことの心構え』が全く感じられない様な学生だ。

官・学では、学生と企業をマッチングさせるための施策をいろいろ考え実行しているし、今回の調査結果も次の施策を考える上での貴重な資料になるのだろうけれど…


「マッチングの仕組みづくりの前に、もっとやるべきことってあるんじゃない?」なんて、最近、強く感じてます!!


  

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2011年07月26日

7月末「内々定」4割どまり

~震災で採用擦ずれ込み~


来春入社の新卒採用で、主要企業54社のうち事実上の内定となる「内々定」を出し終えたか、7月末までに出し終えるのは計約4割であることが日本経済新聞の「採用活動に関する緊急調査」で分かった。東日本大震災で多くの企業が選考時期を遅らせたことが響いた。一般的には10月に正式内定を出すが、8月や9月に内々定を出す企業も計3割程度ある。採用活動はなお続きそうだ。(中略)

リクルートワークス研究員の徳永英子研究員は「例年だと大手企業の多くが7月には内々定を出し終えて採用活動にメドを付ける。だが今年は準大手・中堅も含め8月以降も選考を続ける企業が目立つ」と指摘する。

採用計画数に対する内々定者の比率(採用計画充足率)が90%程度、100%程度、100%超の企業は計41社。このうち8月以降も内々定を出す企業が15社あった。

出所:7月24日 日本経済新聞

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ここ何年か、就活は早期化と長期化が進んでいるけれど、今年は、震災の影響で、例年以上に長期化が進んでいるようだ。

しかも、昨今の就活サイト中心の就活は、「上手い鉄砲を数撃たなくちゃ当たらない!」ということで、長期化しているだけでなく、「一次選考が通った~!」「お祈りメールが届いた…」と、気分の浮き沈みはジェットコースターの様。

う~ん、昨今の就活の仕組み、やっぱり大きな問題を抱えていると思う。正直、僕が同じ立場だったら「テンション保ち続けられるだろうか…」と考えてしまう。

とはいえ、まだ内定を獲得できていない学生には、現在のルールの中で頑張ってもらうしかないのが現実。

彼ら・彼女らには、「もうひとがんばりして~!!」とエールを送りたい。

  

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